金市場ニュース

ニュースレター(2022年6月24日)長期金利とドルが数年来の高水準で高止まりする中で金価格は2週連続の下げへ

今週も日本に一時帰国中ですので、簡易版のニュースレターをお届けします。

週間市場ウォッチ

今週水曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1825ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.92%安となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から4.4%安でトロイオンスあたり20.88ドルとなっています。プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのPM価格から3.1%安のトロイオンスあたり913ドルと3週連続の下落となっています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムPM価格と比較して、本日午後2時の弊社チャート上での価格は0.13%高のトロイオンスあたり1862ドルと3週ぶりの上昇となっています。

今週の金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週貴金属相場は、パラジウムを除き全般下げることとなりました。そのような中、金はインフレヘッジ、安全資産の役割を持つことからも、工業用途の割合が高い銀とプラチナの下げ幅と比較しても堅固な動きを見せていました。

パラジウムに関しては、ロシアが世界の4割を供給していることからも、供給不足懸念もあり、ほぼ横ばいとなっています。

ちなみに、今週コモディティ価格は全般下げており、これは、主要中央銀行の速いペースによる利上げで景気が後退する懸念が高まっていることが背景となっています。

また、短期金利が長期金利よりも速いペースで上昇することで、イールドカーブが平坦化するのは、将来の景気後退(リセッション)を示唆するとも言われています。今週このイールドの平坦化は進んでおり、今週のチャートとしては、米国債2年ものと10年ものの利回りの推移を表すものを添付します。本日、この利回りの差は0.07と2週以来の狭さとなっています。

2年ものと10年ものの米国債の利回りの推移 出典元 セントルイス連銀

日々の金相場の動きと背景について

月曜日金相場は米国市場が祝日で閉まる中で、狭いレンジでトロイオンスあたり1837ドル前後と前週終値の水準で推移した後に1839ドルで終えていました。

米国株価市場が休場の中、ストックス欧州600指数は前週3月以来の大きな下げ幅を見せていましたが、同日は上昇して推移していたことからも、前週安全資産として購入されて20年来の高さへ上昇していたドルインデックスは、多少ながら下げていることは金のサポートとなっていました。

火曜日金相場は、ロンドン時間昼過ぎまでは前日同様レンジ内の取引となっていましたが、ロンドン時間午後に緩やかに下げてトロイオンスあたり1831ドルで終えていました。

同日欧州株価は前日に続き上昇し、ユーロと英ポンドが対ドル強含んでドルインデックスが弱含んでいましたが、その後上昇に転じ、米長期金利も上昇していたことで、金は押し下げられることとなりました。

これは、日本円が対ドル本日24年ぶりの安値をつける等、円安がドル高を誘うことともなった模様です。そのような中、日本円建て金相場は上昇し、gあたり8043円と前週月曜日以来の高さへ上昇していました。

円安は、原油価格が高止まりしていることが日本の貿易収支を悪化させるという観測、そして米財務省が10日に公表した外国為替政策報告書で日本政府による為替介入は難しいとの見方が広がったことが背景となっていました。

水曜日金相場は今週の下げ幅ほぼ取り戻し、トロイオンスあたり1847ドルと一時上昇していましたが、その後1836ドルまで押し戻されて終えていました。

これは、同日欧州株価と米株価指数先物が2営業日連続の上昇後反落し、長期金利がほぼ2週ぶりの水準へと下げていたことが、金を押上げていましたが、一週間ぶりの高さでは利益確定の売りもでていた模様です。

なお、同日発表された英消費者物価指数は前年同月比9.1%と40年ぶりの高さとなり、パウエルFRB議長の議会証言でも「(物価などの)データに機敏に反応していく」とするなど、インフレの封じ込めに向けて積極的に利上げを続ける姿勢を示し、速いペースの利上げによる景気後退懸念が広がっていました。

木曜日金相場はロンドン時間午後に米・独長期金利が大きく下げる中で、下げ幅を取り戻して、トロイオンスあたり1845ドルへと一時上昇していましたが、前日同様にその後上げ幅を失い1824ドルで終えていました。

長期金利の下げは、パウエルFRB議長が前日の議会証言で「経済の軟着陸は非常に難しい」と述べ、同日発表の米新規失業保険申請件数も前週と予想を上回ったこと、またドイツの製造業及びサービス部門のPMIも悪化して、市場の警戒感が広がり、米国及びドイツ国債が買われたことが背景となっていました。

なお、同日再び行われたパウエル議長の議会証言では、改めて高インフレに対応するために積極的な利上げを続ける姿勢を示していました。

本日金相場は、トロイオンス1817ドルと一週間ぶりの低さを付けた後、1827ドル前後の狭いレンジで推移しています。

本日世界株価は全般上昇しており、ドルと長期金利がそれぞれ20年来、11年来の高い水準で推移する中、金は動きが取りづらい状況となっています。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週14日火曜日に、市場がFRBによる0.75%の利上げを価格に織り込むことで、ドルインデックスが20年ぶり、米国債利回りが11年ぶりの高さに上昇する中で、貴金属価格が下落し、全ての貴金属の強気ポジションが減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、29%減の154トンと2021年9月28日の週以来の低さへと下げていたこと。この間金価格は前々週比1.7%安。建玉においては、前週比3.4%増と4週ぶりの増加。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットポジションは、76%減少して280トンと2週ぶりの低さで2週ぶりの減少。この間銀価格は3.9%安。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、前週6週ぶりにネットロングだったものの、先週ネットショートへ転換し、そのポジションは7.9トン。プラチナ価格は6.4%安。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは12週連続でネットショートで、41%増の8.1トンと1月18日の週以来の大きさ。この間価格は7.2%安。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに12.5トン(1.2%)減で1063トンと2週ぶりの週間の減少傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに1.07トン(0.21%)減で513トンと4週連続の残高減少傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに46トン(0.4%)増の16,956トンと6週ぶりに増加傾向となっていること。

  • 金銀比価は、今週84台で始まって本日87台と6週ぶりの高さへ上昇。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)

  • プラチナの金とのディスカウント(金との差)は、890ドルで始まり、週半ばで907ドルとほぼ2週ぶりの高さへ上昇し、本日は905ドルへ下げていること。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。

  • プラチナとパラジウムの差であるディスカウントは、今週890ドルで始まり、本日955と2週ぶりの高さへ上昇していること。ロシアのウクライナ侵攻でロシアが世界の4割を供給することからも1500ドルを超えてディスカウントが上昇後、6月に入りウクライナ戦争以前の水準へ下げていること。

  • 上海黄金交易所(SGE)の木曜日までの週平均は、前週の0.57ドルのプレミアムから今週は3.04ドルと上昇。(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。

  • コメックスの先物・オプションの取引量は、価格のボラティリティの高さで前週同様に高い水準の取引量水準であるものの、今週木曜日までの平均では、前週比金が9%減、銀が9%増、プラチナが30%増、パラジウムが14%減。銀とプラチナは3月11日の週以来の高さ。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週金相場は、引き続き主要中央銀行の金融政策関連コメント、そして主要経済指標に影響を受けていました。来週もこの傾向は続くこととなります。

そこで、月曜日の米耐久財受注、ラガルドECB総裁発言、水曜日のドイツ消費者物価指数、米国第1四半期GDPと個人消費、コアPCE、パウエルFRB議長発言などに加え、木曜日の、米個人消費支出のPCEデフレーターの数値はFRBがインフレ指標として重要としていることからも注目されることとなります。その他、金曜日の主要国のPMIデータ、ユーロ圏の消費者物価指数、米国のISM製造業景況指数なども重要となります。

詳細は主要経済指標(2022年6月27日~7月1日)ご覧ください。

ブリオンボールトニュース

ブリオンボールトは5月20日から大英図書館で始まる「金(Gold)」のエキジビションのスポンサーをさせていただいています。ご興味があれば下記のリンクでご覧ください。

http://bl.uk/events/gold

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週は日本に一時帰国していますので、お休みさせていただきます。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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