金市場ニュース

金・銀・プラチナ価格の年間の動きのパターンについて

2024年を目前にして、過去20年間の貴金属価格の月ごとの推移を追ってみました。
 
貴金属価格 のアナリストは金市場の季節ごとの傾向について語ります。
 
それは、この数十年、金価格は新年から春に向けて上昇し、その後夏に下落または狭い値動きとなり、年末にかけて更に上昇する傾向があるからです。
 
一部のアナリストは、このようなパターンは、 世界の金需要の季節的な変化と関連付けています。そして、このような価格変動が、1月から12月にかけての銀やプラチナの価格変動にもつながっていると見ているのです。
 
2024年の金価格はこのパターンを繰り返すのでしょうか。下記のインフォグラフィックスは過去20年間の金価格が暦年でどのように動いてきたかを示しています。
 
最初のチャートは、過去20年間、各月に金価格が米国ドル、ユーロ、英国ポンド、日本円で前月比何度上昇したかを表しています。
 
2つ目のインフォグラフィックスでは、これら4つの主要通貨での過去20年間の金の平均月次価格変動幅を示しています。
 
 
 
 
 
これらのグラフでどのようなパターンが見られるかは別として、消費者の金の需要には明確な季節のパターンがあることが確認できます。
 
今や世界一の金消費国である中国の需要は、かつて一位であったインドを毎年需要量において15%上回っており、旧正月にピークを迎えます。その後、バレンタインズデーがあり、南インドでは、アクシャヤ・トリティヤというお祭りの季節がやってきます。
 
夏はヒンズー教の祭礼や結婚式が行われませんが、その後のディワリの祭りに向けて世界第二の金消費国のインドの家庭用需要が急増します。その後、欧州と米国では贈り物のピークとなるクリスマスが訪れ、旧正月に向けて小売業者が再び在庫を蓄えることになります。
 
しかし、金価格に影響を与える要因は、消費者の需要だけではありません。資産価格の上昇のためには、投資家の資金流入を必要とし、この流れが価格を押上げ、追い上げる要因ともなります。
 
このことを念頭に置いて、1月の貴金属価格上昇の実績を確認してみましょう。インタラクティブなチャートが示すように、2004年以来、金は米国ドル建てで、14回上昇しています。それに対し、銀は13回、プラチナは更に多く過去20年間で17回上昇しています。
 
このようなことからも、新年には貴金属への強い投資を誘うのです。実際、世界最大の貴金属現物オンライン市場を提供するブリオンボールトにおいては、この10年間で3回、1月はその年の月平均よりも多くの新規貴金属投資家が口座を開設しています。
 
なぜこのように新年に貴金属投資に関心が集まるのでしょうか。
 
それは、多くの投資家が年初に保有している資産ポートフォリオを見直し、地金、株式、債権の保有比率を確認し調整するために、金への投資が増加するという傾向があるのです。
 
また、1月はウェルスマネージャーや個人貯蓄家が、今後1年間を見据えて、資産に対する潜在的なリスクを精査するために、 金への投資需要が高まるとも考えられています。そのため、彼らは、投資の保険として金を購入して、資産を保全することをこの時期に選択するわけです。
 
このようなことから、米国ドル資産を保有する投資家にとって、1月が過去20年間で、11月に匹敵する最も金価格が上昇した月であることの説明となります。しかし、11月は1月の月間平均上昇率には及ばず日枝きん1.6%の上昇で、新年の2.9%に劣っています。
 
そのような中で、12月もまたこれらの月を追って、過去10年間で12月は1月の上昇率に匹敵し、ドル建て金価格は7倍に上昇しています。これは、中国で卸売業者が旧正月の需要に備え、金地金を早めに購入していることが背景にあるかもしれません。また、短期トレーダーが一月の上昇を察知して早めに買い、事実上季節的なパターンの繰り返しにかけていることも要因であるのかもしれません。
 
もちろん、過去の実績は将来の実績を保証するものではありません。そして、何が1月の地金価格の上昇を促すのかも、100%明らかとはなっていません。しかし、過去20年間のデータを見ると、11月と12月は、1月に繰り返される上昇に先立ち、金、そして銀やプラチナを買うのに良い時期であったということが示唆されているのです。
 
2024年には、金の季節的なパターンが再び1月の購入者に利益をもたらすかもしれないのでしょうか。2023年12月の金価格は、現物市場取引で史上最高値を更新して始まりました。しかし、この金価格の急騰は、すぐに終わり、ロンドン世界指標であるLBMA価格(ブリオンボールトの分析では、このウェブサイトのリサーチとグラフで使用しています)では、月間で2.7%の下げとなっています。
 
そのため、1月の金価格の基準値は下がりましたが、それでも金価格は、2022年の終値から、米ドルで9.2%以上、英国ポンドで5.3%以上、ユーロで8.3%以上、そして日本円で21.6%もの大幅な上昇となっており、年末価格としては史上最高値を記録する水準で、しっかりと前年比の上昇を達成する傾向で推移しています。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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