金市場ニュース

ニュースレター(2020年2月28日)新型コロナウィルスの世界的拡大懸念からの株価急落で、流動性確保で金は大きく売り込まれる

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1616.65ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から3.3% 下げています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり17.19ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から8.4%下落しています。そして、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では862.7ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から10.5%下げています。

今週金相場は、新型コロナウィルスの世界規模での拡大(パンデミック)への懸念から、月曜日にドル建て、円建て、スイスフランく建て等限られた通貨以外の主要通貨で史上最高値を付けた後に、利益確定や急落し続ける他の投資資産のマージンコールの売却などで、7%近く下げることとなりました。この動きは、恐怖指数とも呼ばれる市場のボラティリティを表す指数のVIXが金融危機以降の高さへ上昇していることからも、これまでの危機時の金の動きと比較してアナリストが解説を始めています。

それでは、今週の日々の動きを追ってみましょう。

月曜日は、新型コロナウィルスがイタリアや韓国やイランで広がったことが伝えられ、パンデミックへの懸念で、世界株価が急落する中で、金相場はアジア時間開けるとともにドル建てで2.8%急騰し一時トロイオンスあたり1689ドルと7年ぶりの高さ、その他の主要通貨ユーロ建てで1560ユーロ、ポンド建てでも1308ポンドと軒並み史上最高値を付けていました。

ちなみに同日は、弊社の取引量、新規顧客数、資金流入額もトランプ大統領選出時の2016年11月以来の高いものとなっていました。

火曜日金相場はトロイオンスあたり1641ドルで終え、と前日の高値1689ドルから2.8%、前週の終値から0.1%下げていました。

この間世界株価は全般下げ、米ダウ工業株30種平均は連日で3%を超える大幅な下げを見せていました。これは、世界でまん延する新型コロナウイルスが米国でも感染例が出ることで、米国における感染拡大への懸念が高まったことが背景でした。

金の下げは先週からの上げに続き前日2%強上げていたことからも、利益確定、そして株価が大きく下げることによるマージンコールの支払いでの売却の動きでもあったようです。

そのために、米10年物国債利回りは一時、前日比0.06%低い1.31%と2016年7月6日付けた過去最低水準を更新するなど、安全資産への逃避が急激に進んでいました。

水曜日金相場はトロイオンスあたり1646ドルと前日終値から上昇して終えていました。

この間、株式市場はアジア株は全般下げ、欧州株はまちまちで、米株式市場ではS&P500種とダウ工業株30種平均は5日続落し、ナスダックは上昇していました。

この株価の動きは、連日急落した後からも、自律反発狙いの買いが先行したものの、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を嫌気した売りに押されたとのことです。

この間工業用需要の割合が多い銀は先週末から3%下げのトロイオンスあたり17.92まで下げており、金銀比価は91.5を超えて銀割安で推移していました。

また、プラチナも工業用途需要が多いことからも、トロイオンスあたり913ドルと前週終値から6.3%の大きな下げを見せていました。

木曜日金相場は世界株価が前日に続き下げる中で1659ドルまで上昇後に上げ幅を戻し、トロイオンスあたり1646ドルと前日の終値とほぼ同じ水準で終えていました。

ロンドン午後に上げ幅を削ったのは、利益確定の売りもあるようですが、同日米国主要株価指数が軒並み下げて、ダウとS&Pは6週連続の下げで10%を超えて調整局面入となり、それぞれ16週と20週ぶりの低さ。またS&Pの週間の下げ幅は世界金融危機の2008年以来でもあり、流動性確保目的のマージンコールの売りであったようです。

この株価の急激な下げ幅からも安全資産としてドイツ国債や米国債が買われ、ドイツ国債はすべての発行国債がマイナス利回りで、米国債10年物で1.257%、30年物で1.77%を一時付けるなどと史上最低値を今週は日々連続で更新していました。

本日金曜日は、新型コロナウィルスの感染拡大がニュージーランド、ナイジェリアと新たな大陸や地域へ拡大したことが伝えられており、リスクオフが進みダウ工業株30種平均は7日続落で始まり心理的節目の2万5000ドルを下回り、さらなるリスクオフを進めています。

そのために、流動性を求めて金の売却が進んでおり、ロンドン時間午後4時でトロイオンスあたり1583ドルと前日比3.8%下げています。

なお、市場のボラティリティを表すVIXは49.40と前日比26%上昇しており、世界金融危機以来の高さとなっています。

そのため、安全資産として米国債と日本円が本日も購入されており、30年物は1.7%、10年物は1.15%等と利回りが史上最低値を再び更新しています。

その他の市場のニュ―ス


  • CMEの今後のFRBの金利予想FedWatchでは、今年の利上げ予想は0%で、本日金曜日の段階で来月17日と18日に行われるFOMCでの0.25%の利下げ確率が先週金曜日の11%から48.3%、0.5%の利下げが先週0%から51.7%へと上昇していること。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週18日に金・銀相場がそれぞれ心理的節目のトロイオンスあたり1600ドルと18ドルを超えた際に、金と銀が増加し、プラチナとパラジウムは減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比24%増の884トンと2019年9月3日以来の高さへと増加していたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比22%増の10,644トンへと2017年9月17日以来の高さへ増加していたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比2.49%減の71トンと3週連続で減少していたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比3.99%減の18.1トンと7週連続で下げて昨年9月半ばの低さとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、月曜日6.1トン増加したものの、昨日までに2日連続で下げて、今週木曜日までに週間で0.3トン増で934トンと前週末の水準を維持していること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに週間で2.1トン(0.54%)増で377トンと、史上最高値を付けたこと。

  • 世界の金ETF全体では、今週火曜日までに24日連続で増加していたこと。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までで週間で1.67%増加していたこと。

  • 金銀比価は今週89台から木曜日までに91台へと減少(銀が割高)し、本日朝の段階で94まで上昇していたこと。

  • 今週上海黄金交易所(SGE)のプレミアムは、今週平均が0.14と少なくとも昨年8月以来最も低い数値となっていること。

  • コメックスの取引量は今週木曜日までの週平均量で前週比43%増加していたこと。ちなみに月曜日の取引量は、今年1月8日にイランがイラク内の米空軍基地を攻撃した際以来の高さへと急増していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週も新型コロナウイルス感染の世界的拡大やそのために世界経済への下押し圧力が強まるとの懸念もあり、世界株価が世界危機以来の大幅な下げを見せ、金も月曜日に大きく上昇しました。そこで、この関連ニュースは注目となります。

そして、金曜日には米雇用統計、水曜日にはその先行指標と見られているADP全国雇用者数が発表され、今後のFRBの金利予想の意味でも重要となります。

その他の指標としては、月曜日の中国のCaixin製造業PMI、ドイツとユーロ圏ト英国と米国の製造業PMI、米国のISM製造業景況指数、火曜日のユーロ圏生産者物価指数と失業率と消費者物価指数、水曜日の中国Caxinサービス部門PMI、ドイツとユーロと英国と米国のサービス部門PMI、米国のISM非製造業景況指数と米地区連銀経済報告、木曜日の米国新規失業保険申請件数、金曜日は雇用統計の他に米国貿易収支等が重要となります。

ブリオンボールトニュース

今週も金相場が大きく動いたために、主要メディアで弊社リサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

ファイナンシャルタイムズの記事「新型コロナウイルス感染拡大で金が急騰」

この記事では中国で発生した新型コロナウイルスの世界的拡大への懸念で世界株価が急落する中で、ドル建て金価格が7年ぶりの高さへと上昇したことを伝え、エィドリアンの下記の解説をまず紹介しています。

「新型コロナウィルス感染の世界的拡大へのパニック傾向が広がる中で、株式市場が揺らいでいます。そのため、資金運用業者は明確に世界経済の停滞に備えてヘッジの役割として金を購入しています。Covid-19関連の見出しが一時的に消えることで、金は多少調整機関に入る可能性もありますが、既にこの価格は過去12週で10週上昇しており、世界経済の見通しが低成長と予想され、中央銀行が低金利などの緩和的金融政策を継続する観測が広がる中では、他の投資資産の保険としての金の魅力は今後も増していくこととなるでしょう。」

米主要経済サイトMarketWatchの「金価格が3日連続で下げる」

ここでは、米国債利回りが同日の低値から上昇する中で、金価格が3日連続で下げて終えたとし、エィドリアンの下記のコメントを紹介しています。

「金価格は常に金利の先行きに敏感に反応します。しかし、現在のように国債利回りとの相関関係が強いのは稀です。そのために、株価の下げが本来金相場を引き上げるところが、国債価格の急騰が、短期的に金に影響を与えているようです。しかし金と利回りはその水準が重要なのではなく、その動く方向です。」

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

 

ロンドン便り

今週も英国では新型コロナウィルス感染関連ニュースとその金融市場の反応が広く伝えられていましたが、本日はダイアモンドプリンセス・クルーズ船に乗船していた英国人がこの感染後に日本で亡くなったことからも、トップニュースとなっています。

そのような中で、今週は3月末で王室の公務から退き、主要王族の立場から引退することが発表されているヘンリー王子夫妻関連のニュースがいくつか伝えられていたのでご紹介しましょう。

まず、先週末には夫妻は彼らの公式ウェブサイトやSNS等のアカウント名として使っている「サセックス・ロイヤル」を3月末以降使用しないことを発表していました。

彼らは王族の敬称の「ロイヤル・ハイネス(殿下・妃殿下)」を3月末に返上することは同意していましたが、先の件については、すでに王族引退後を視野に商標登録をしていたようですので、王族内での協議をしていたようですが、やはり王室を連想させる「ロイヤル」は紛らわしいということになったようです。

そして、昨日はヘンリー王子が公務で訪れていたエジンバラで、観光関連の演説を行った際に、すでに「ロイヤルハイネス」ではなく、彼のニックネームの「ハリー」と呼んでもらいたいと述べ、そのように主催者から紹介されていたことがニュースとなっていました。

そして本日は、ビートルズがレコーディングで使っていたアビーロードスタジオでジョン・ボン・ジョビ氏とレコーディングを行ったと伝えられています。

これは、ヘンリー王子が立ち上げた負傷兵や病気の兵士のためのオリンピック形式のイベント「インヴィクタス・ゲーム」のためのレコーディングとのことですが、アビーロードの横断歩道を、ビートルズのアビーロードのカバーの写真のようにボン・ジョビ氏と歩いてポーズするなど、メディアへのサービスも十分で、英国の人々にこよなく愛されているお茶目っ気たっぷりなヘンリー王子らしい姿を見せていいました。

未だヘンリー王子夫妻の王室離脱に関してメガーン妃を非難する人々も多いようですが、彼らが決めた王室を離れて始める新たな人生を個人的には心から応援したいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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