金市場ニュース

ニュースレター(2020年1月10日)米国とイランの情勢緊迫化から1600ドルを超え、武装衝突回避と米中貿易協議進展で戻す

今週まで日本に入っていますので、少し遅くなりましたが本日土曜日に簡易版をお送りします。来週から通常通り金曜日にお届けします。

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1553.60ドルと、やはり4ヶ月ぶりの高さで前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.3%上昇し、銀価格は、同日LBMA価格でトロイオンスあたり17.915ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から1.6%下げていました。また、プラチナも同日のLBMA価格のPM価格では969ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.4%下げていました。

今週は米国とイラン情勢の緊迫化で心理的節目のトロイオンスあたり1600ドルを超えたものの、その後米国とイラン共に軍事衝突を避けることを望むとしたこと、そして来週15日に米中貿易協議の部分合意が正式に行われることでリスクオンとなり、今週のピークから50ドル近く戻して終えています。それでは、今週の動きを追ってみましょう。

 

月曜日は先週金曜日に米軍がイラン革命防衛隊の精鋭組織の司令官を殺害したことを受けて、イランとトランプ大統領がお互いを警告していること、トランプ大統領がイラク政府などが米軍撤収を一方的に要求した場合には「前代未聞の経済制裁を科す」と警告したこと、イラン政府は週末5日、欧米などと結んだ核合意に伴うウラン濃縮について、全面的に制限を順守しないと宣言したことからも、中東情勢への緊張が高まり、金相場はドル建てでほぼ7年ぶり、ユーロ建てで史上最高値と急騰していました。

 

火曜日金相場は、前日ニューヨーク時間に市場が落ち着きを取り戻す中で上げ幅を多少失った水準から上昇しトロイオンスあたり1571ドルで終えていました。

 

これは、前日ニューヨーク時間で米国株価が市場開始時の下げを取り戻し上昇して終えたことで、金は押し戻されていましたが、同日米国株価は下げて始まっていることからも、金は押し上げられていました。

 

この背景は、やはりイランと米国関係の緊迫化が要因で、イランが報復に出ることへの懸念が背景となっていました。

 

水曜日金相場は7日夜にイランがイラク国内の米軍基地を攻撃したことから、アジア時間開始と共に株価が下げる中でトロイオンスあたり1600ドルを超えて始まりましたが、その後イランのザリフ外相「戦争は求めていない」とツイッター投稿し、トランプ米大統領もツイッターに「被害の状況を確認中だ」などと書き込んだものの、イランを激しく批判しなかったことで、市場では「両国とも戦闘を激化させる考えはない」と受け止め、落ち着きを取り戻すとともにトロイオンスあたり1571ドルまで下げていました。

 

また、同日発表された金曜日の米雇用統計の先行指標のADP全国雇用者数が予想を上回る数値であったことも、株価を押し上げて金の上値を抑えることとなりました。

 

木曜日金相場は、米株価が史上最高値を更新する中で、今週の3.7%の上げをほぼ失い、トロイオンスあたり1551ドルで終えていました。

 

これは、前日のトランプ米大統領の演説で武装衝突への懸念が後退し、また米中貿易協議の進展観測もリスクオン基調の要因となっていました。

 

そして、同日中国商務省の高峰報道官の記者会見で貿易協議の第1段階の合意文書について、15日に署名すると発表し、中国の交渉団を率いた劉鶴副首相が13~15日に訪米し、署名式に参加するということ。中国側からも具体的な日程を示したことが好感されていました。

 

また、同日の米国の新規失業保険申請件数も予想より良いものであったことも株価を上げ、金を押し下げていました。

 

そして、安全資産として今週買われていた日本円はイラン情勢懸念が後退する中で2週間ぶりの対ドル円安となっていることからも、円建て金相場の下げ幅は他の通貨より狭く、gあたり5458円と40年ぶりの高値の水準を維持していました。

 

なお、同日イングランド銀行は金融緩和の是非を議論していると述べたことから、ポンドが対ドル2週間ぶりの低さへと下げていました。

 

金曜日金相場は、ドルが弱含む中でトロイオンスあたり1559ドルへと上昇していましたが、米・イラク情勢緊迫化で上昇した今週のピークからは51ドル下げていました。

 

同日のドル安は、ロンドン時間昼過ぎに発表された米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことで、米景気への強気の見方がやや後退したことからでした。

 

しかし、同日トランプ政権は、イランの高官らや産業に対する経済制裁を発表したものの、一前日米国がイランへの武力攻撃を否定したことで、中東情勢を巡る懸念が薄れ、また来週15日に米中が貿易協議の第1段階の合意文書に署名する見通しであることからも、株は高止まりしており、金の上値も抑えられていました。

 

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションのネットロングポジションは、先月31日に株高ドル高の中で金相場も上げる中で増加していました。

  • コメックス金の先物・オプションのネットロングポジションは前週比8.34%増の818.6トンと、9月24日以来の高さで、史上2番目の高さであったこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比10.6%増の9.388トンと9月10日以来の高さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比13.96%増の74.1トンと史上最高値の高さとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比0.42%増の38.9トンとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、先週20.8トン減少し874.5トンと一月ぶりの高さとなっていたこと。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高も、1.62トン増(0.45%)増で361トンと、4ヶ月ぶりの低さとなっていたこと。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、先週1.24%減少して、引き続き11月6日から増加していないこと。

  • 金銀比価は先週85台から86台へと銀の割安へとなっていたこと。

  • また、今週の上海黄金交易所(SGE)のロンドン価格との差のプレミアムは、週間平均で4.68と前週の4.81から下げていたこと。

  • コメックスの取引量は先週金曜日に前日比50%減で、水曜日の取引量は8月半ばに弊社が記録を始めて以来の高さへ上昇していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週大きく市場を揺るがした米国・イラン情勢を来週も市場は注目しますが、来週合意に至る米中貿易協議の部分合意関連ニュースも重要となります。

その他主要経済指標では、月曜日の英国鉱工業生産、火曜日の中国貿易収支及び輸入・輸出高、米国消費者物価指数、水曜日は英国小売売上高と消費者物価指数、ユーロ圏鉱工業生産、米国ニューヨーク連銀製造業景気指数と生産者物価指数、木曜日のドイツ消費者物価指数、米国小売売上高、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、金曜日の中国小売売上高と鉱工業生産と第4四半期GDP、英国小売売上高、ユーロ圏消費者物価指数、米国鉱工業生産とフィラデルフィア連銀製造業景気指数等となります。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週も日本に入っていますのでお休みとさせていただきます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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