ニュースレター(2019年5月3日)FOMC後4か月ぶりの低さへ下げ、米雇用統計後下げ幅を狭める
今週まで日本からお届けしていますので、土曜日の発信となっています。来週からは通常通りのスケジュールで、ロンドン便りと共にお届けします。
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA価格のPM金価格は、トロイオンスあたり1278.55ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.4%下げています。また、銀価格においては、金曜日LBMA価格はトロイオンスあたり14.66ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から2.3%下げています。なお、プラチナの金曜日のLBMA価格は855ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から3.8%下げています。
今週の金相場は、FOMCや米雇用統計等の重要イベントをこなしながら、先週終値から下げたものの、下げ幅を狭めて終えています。それでは、今週の市場の動きを日々追ってみましょう。
月曜日金相場は、今週のFOMCの米政策金利の発表を待つ中で、ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1278ドルへと前週金曜日から0.6%まで一時下げ、1280ドルで終えていました。
先週金曜日の上げは、4月16日以来の高さで、一日の上げ幅としては7週間ぶりの大きいものでした。これは、同日発表された米第1四半期GDPが予想を上回る3.2%であったものの、インフレペースは予想を大きく下回っていたことからでした。
同日はそのような中で、コメックスのFEDWachでは、短期的には現行の政策金利の2.5%で据え置かれることが予想されており、今年末までには、64%が何らかの金利引き下げを予想し、据え置きは36%と引き上げは無しと予想されていました。
なお、ユーロ建て金相場は、先週末行われたスペイン選挙で予想通り親EUのサンチェス首相が率いる社会労働党が第1党になる中、先週金曜日の2週間ぶりの高さから0.9%下げていました。
火曜日金相場は、ドルインデックスが多少ながら下げる中で、一時トロイオンスあたり1286ドルまで上げた後、1279ドルへ下げたものの、1283ドルで終えていました。
同日発表された中国の製造業PMIは予想を下回っていたことからも、アジア株は全般下げていましたが、ドイツの消費者物価指数が予想を上回ったことでドイツ株が上げ、ユーロも強含んでいることから、ユーロ建て金相場はトロイオンスあたり1144ユーロへと下げていました。
なお、同日開始される米中貿易協議は、米国が追加関税を貿易協議合意後も継続するかについてが一つの争点となっていること、また米中は共に合意を望んでいるものの、トランプ米大統領が協議の進捗に満足しなければ中国との交渉のテーブルから離れる可能性は残っていると同高官が匿名を条件に話したことも伝えられていました。
水曜日金相場は、翌日日本時間早朝3時に発表されるFOMCの政策金利及びパウエルFRB議長の記者会見を待つ中で、ロンドン午前中にトロイオンスあたり1277ドルまで下げたものの、その後前日の終値の1283ドルへほぼ戻していました。
同日はロンドン時間昼過ぎに発表された米雇用統計の先行指標と見られているADP全国雇用者数が予想の18万人を大幅に上回る27万5000人で、また前日夕方に発表されたアップル社等の良好な決算からも株価が全般上昇していました。
その後発表されたFOMCでは、市場予想通りの政策金利据え置きであったものの、その内容がパウエルFRB議長の「現行の(金利)水準は正しい。特にこの水準を動かす強い要因は見られない。」というように、年内の金利引き下げに関する文言を期待していた市場よりハト派的ではなかったことから、発表後トロイオンスあたり1287ドルまで大きく上げたもののその後1277まで下げて終えていました。
木曜日金相場は、ドルインデックスが高止まりする中で、トロイオンスあたり1266ドルと4ヶ月ぶりの低さ、また一日あたりの下げ幅としては2週間ぶりの大きさまで一時下げていました。
ドルが強含んでいたのは、前夜のFOMC発表で利下げが示唆されていなかったことからですが、同日のイングランド銀行の金融政策発表でも金融政策は据え置かれたものの、今後の金利引き上げの可能性が示唆されたことから、ポンドは対ドル堅調に進み、ポンド建て金相場は昨年12月初旬の低さのトロイオンスあたり972ポンドまで下げることとなりました。
また、米中貿易協議については、関係者の話として、来週にも合意が伝えられると報道されたこともドルをサポートした模様ですが、祝日で休場中の日本と中国以外の香港と韓国の株価は上昇していました。
ただ、同日発表された欧州のPMIはほぼ全般予想を下げていたことから、欧州株は下げていました。
金曜日金相場は、市場注目の米雇用統計が全般良好であったものの、平均時給が伸び悩んだことから、FRBの金融政策継続観測が広がり、ドルインデックスは高い水準から多少下げ、欧米株価が上昇すると共にトロイオンスあたり1282ドルまで一時上昇し、1279ドルで終えることとなりました。
米雇用統計の詳細は、非農業部門雇用者数が26.3万人と予想の18.5万人を上回り、前回数値は19.6万人から18.9万人へと下方修正されていました。また、失業率は前回と予想の3.8%から3.6%へと下げ、50年ぶりの低い水準となっていました。
しかしながら、平均時給は前年比3.2%と予想3.3%を下回り、また前月比では0.2%と予想の0.3%を下回っていました。
この発表を受けて、金相場はトロイオンスあたり1268ドルまで一時下げた後に、即座に1275ドルへと反発していました。
その他の市場のニュ―ス
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金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週5.9トン減少し740トンと昨年10月11日以来の低い水準で、5週連続の下げであること。 -
金銀レシオは、今週も85を超える高水準で推移し、水曜日からは86を超え、金曜日には再び26年ぶりの高さの86.66を付けていたこと。 -
原油価格は先週金曜日に、イランやロシアへの経済制裁による供給不足を補うためにトランプ大統領がOPECへ産出量を増加させることを要請したことを受けて月曜日に前週金曜日から更に下げていたこと。 -
今週は米中貿易協議がライトハイザー米通商代表部代表とムニューシン米財務長官が30日から北京に入り劉鶴副首相と行われ、来週はワシントンで行い、5月初旬の合意を目指していると伝えられていたこと。
来週の主要イベント及び主要経済指標
来週は、米中貿易協議が今週に続きワシントンで行われますが、今月初めの合意という観測も出ていることから、その動向が注目されます。
また経済指標では、月曜日の中国のCaxinサービス部門のPMI、ユーロ圏のサービス部門PMIと小売売上高、水曜日の中国貿易収支、日銀金融政策決定会合議事要旨、ドイツ鉱工業生産、木曜日の中国の消費者及び生産者物価指数、米国の卸売物価指数、貿易収支、金曜日の英国第1四半期GDPと鉱工業生産、米国消費者物価指数となります。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
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主要経済指標(2019年4月29日~5月3日)今週の結果をまとめています。 -
主要経済指標(2019年5月6日~10日)来週の予定をまとめています。
ロンドン便り
今週まで日本に滞在しておりますので、お休みとさせていただきます。