金市場ニュース

ニュースレター(2019年4月26日)ドル高で4か月ぶりの下げの後、米指標悪化で1週間半ぶりの上げへ

週間市場ウォッチ

先週は日本での休暇中であったために本日遅れて発信しています。先週金曜日のLBMA価格のPM金価格は、トロイオンスあたり1284.20ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.6%上げています。また、銀価格においては、金曜日LBMA価格はトロイオンスあたり15.00ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.3%上げています。なお、プラチナの金曜日のLBMA価格は889ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.1%下げています。

先週の金相場は、ドルインデックスが高止まりする中で、一時4か月ぶりの低さまで下げたものの、米国の経済指標がインフレの低迷を示すものであったことで、長期金利が下げるとともに1週間半ぶりの高さへ上昇をして終えることとなりました。

月曜日金相場はイースターマンデーの祝日で欧州市場が閉まり薄商いの中、中国共産党が19日に開いた中央政治局会議で、雇用や金融などの安定を掲げる文言が削られ、構造改革が強調されたことで追加の景気対策への期待が後退し、アジア株が下げる中で上昇して始まっていましたが、同日ロンドン時間にトランプ米政権がイラン産原油の全面禁輸に踏み切る方針を示したことで、原油価格が上昇し、ドルインデックスも上昇する中で、同日の上げ幅をほぼ失って終えていました。

火曜日金相場はドルインデックスが6週間ぶりの高さへと上昇する中で、4ヶ月ぶりの低さのトロイオンスあたり1269ドルへと一時下げることとなりました。

このドルの強さは、良好な米国企業の決算や経済指標が要因とされていましたが、先週後半に発表される米GDPの良好な数値を予想する中での動きもあった模様です。

なお、イースター休暇後の英国EU離脱関連ニュースとしては、与党・保守党の幹部がメイ首相に対し、6月末までに辞任しなければ、保守党内で党首としてのメイ氏の信任投票を実施するため党規則の変更を検討する見通しだと英主要紙が報じたことから、ポンドが弱含んでいました。

ちなみに、昨年12月にはメイ首相が党首として投票で信任されたため、党の規定により信任投票は今年12月まで再実施できないことになっていますが、この規定を変更すべきかどうかの話し合いが開かれるということでした。

水曜日金相場は、ドルインデックスが7週間ぶりの高さへと上昇する中、前日史上最高値を付けたS&P500種やナスダック総合株価指数が多少下げる中で、前日の4ヶ月ぶりの低さから多少上げ、トロイオンスあたり1278ドルまで一時上げ、1274ドルで終えていました。

同日のニュースとしては、ドイツのIFO指数などの経済指標が予想を下回ったことで、ユーロが3週間ぶりの低さへと下げ、ユーロ建て金相場が2週間ぶりの高さのトロイオンスあたり1144ユーロへと一時上げたこと。

また、英国のEU離脱関連では、メイ首相がEU離脱協定案を今月末までに議会で合意を得ると述べたことで、英国ポンドが1週間ぶりの高さへと強含みながらも、ポンド建て金相場は一時トロイオンスあたり989ポンドへと上昇していたことでした。

木曜日金相場はドルインデックスが4ヶ月ぶりの高さへと上昇する中で、トロイオンスあたり1282ドルへと一時上昇し、1278ドルで終えていました。

なお、ポンド建て及びユーロ建て金相場は、それぞれの通貨が対ドル下げていたことから、それぞれ2週間ぶりの高さのトロイオンスあたり994ポンドと1150ユーロまで一時上昇していました。

この下げは、ドイツ銀行とコメルツ銀行の合併交渉が破断となったことでこれらの株価の下げで欧州株が下げていたこと、また英国株も英競争・市場庁がセインズベリーズと米ウォルマート傘下の同業アズダの経営統合を阻止すると発表したのがきっかけで下げていたことからでした。それに対し米耐久財が予想を上回り、ナスダック等の株が上昇していたことも要因となっていました。

金曜日金相場は、ドルインデックスが0.2%下げる中でトロイオンスあたり1288ドルへと一時上昇し、1286ドルで終えていました。

ドルインデックスが下げたのは、市場注目の米国第1四半期GDPは予想を上回ったものの、個人消費支出が予想を下回り、PCE価格指数も予想を下回り、インフレターゲットを大きく下回ったことからでした。

また、米国長期金利も4ベーシスポイント下げたことから、この動きも金を押し上げることとなりました。

なお、同日中国習近平国家主席は他国を損ねる通貨安に反対する考えを示したことから、人民元が強含んでいたことも、ドルを相対的に下げることとなりました。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、先週5トン減少し744トンと昨年10月12日以来の低い水準で、4週連続の下げとなったこと。

  • コメックス貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、4月16日にプラチナを除きすべてネットロングを減少させていたこと。特に金先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、昨年12月4日以来初めて‐12トンとネットショートとなっていたこと。

  • また、昨日発表された4月23日のコメックス貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、金価格が4か月ぶりの低さへ大きく下げた先週火曜日に、パラジウムが0.01%ネットロングポジションを増加させた以外は、全ての貴金属でショートポジションが増加していたこと。そのような中で、金の先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、-69トンと2週間連続のネットショートで、その量も前週比462%増であったこと。

  • 金銀レシオは、先週も85を超える高水準で推移し、水曜日には86.04を付けていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は、米国を中心に重要指標が多く発表されますが、水曜日にFOMC後の政策金利発表、金曜日の米雇用統計が最も重要な指標となります。

その他、月曜日の米個人消費支出、火曜日の中国の製造業PMI、ドイツとユーロ圏の失業率、ユーロ圏の第一四半期GDP、ドイツの消費者物価指数、米国ケース・シラー住宅価格指数、米国シカゴ購買部協会景気指数、米国消費者信頼感指数、水曜日の英国の製造業PMI、金曜日の米雇用統計の先行指標とみなされているADP全国雇用統計、米国製造業PMI、米国ISM製造業景況指数、木曜日の中国尾Caixin 製造業PMI、ドイツとユーロ圏の製造業PMI、英国イングランド銀行金利発表、米国製造業新規受注、金曜日のユーロ圏卸売及び消費者物価指数、米国サービス業PMI、米国IS非製造業景況指数等となります。

また、引き続き米中貿易協議の行方や英国のEU離脱関連ニュースも注目されることとなります。

ブリオンボールトニュース     

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週は日本に滞在しておりますので、お休みとさせていただきます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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