ニュースレター(2019年4月19日)良好な米中の経済指標等でドル高と長期金利上昇で金は年初来の低値へ
今週は火曜日日から日本へ入っていますので、ニュースレターの発信が遅れたことをご了承ください。また、日本滞在中はロンドン便りはお休みをさせていただきます。
週間市場ウォッチ
今週はイースター休暇で金曜日市場は閉まっています。そこで、木曜日のLBMA価格のPM金価格と比較すると、トロイオンスあたり1275.70ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.4%下げています。また、銀価格においては、木曜日LBMA価格はトロイオンスあたり14.95ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.7%下げています。なお、プラチナの木曜日のLBMA価格は890ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1%下げています。
今週は、米国および中国の経済指標が良好であったことから、ドルインデックスが4週間ぶりの高さへ上昇し、米金利も上昇している中で、金相場は年初来の低さへと下げることとなりました。それでは、今週の日々の動きを追ってみましょう。
月曜日ロンドン時間昼過ぎに、ドルインデックスが0.1%弱含む中で、金相場は0.3%先週末終値から下げ、トロイオンスあたり1282ドルと12日ぶりの低さを付けていました。
これは、週末に米中貿易協議の早期合意期待からアジア株が9か月ぶりの高さへ近づいていたこと、先週後半に発表された中国関連経済指標や米国決算が良好であったこと等が要因となりました。
この間、欧州株は多少上げていましたが、欧州委員会は、米国のEU製品への追加関税が200憶ユーロ(226億ドル)相当となることも警告していました。
火曜日金相場は年初来の低値のトロイオンスあたり1273ドルまで下げることとなりました。
これは、ニューヨーク時間にS&P500種が昨年9月の史上最高値に1%以内へ接近し、ナスダック総合株価指数も終値ベースで昨年10月以来の高さまで上昇、長期金利も低い水準ではあるものの4週間ぶりの高さとなり、さらに100日移動平均線の1280ドル台を割ったことで売りが売りを呼んだためでした。
また、ECBの複数の政策担当者のハト派的コメントがユーロを下げ結果的にドルを押し上げていたことも金にとってはネガティブ要因となっていました。
水曜日金相場は、前日の年初来の低値のトロイオンスあたり1273ドルを多少上回ったものの、その後押し戻されこの水準で推移することとなりました。
同日は、モーガンスタンレーやペプシの決算結果が良好であったことで、S&P500種が6か月ぶりの高値を付け、ナスダック総合株価指数は続伸していましたが、ロンドン時間午後にその上げ幅を失う中で金は一時上昇していましたが、押し戻されることとなりました。
なお、同日の世界株価の上昇は同日発表された中国の2019年第1四半期のGDPや鉱工業生産高や小売売上高などが予想を上回ったことも要因となりました。
木曜日金相場は、ドルインデックスが4週間ぶりの高さへ上昇する中、米長期金利が下げ、株価も前日までの勢いが落ちていることから、トロイオンスあたり1277ドルへと多少ながら一時上昇していました。
株価の勢いの低下は、米ヘルスケア関連株が米政府の方針の不透明さから下げていることが要因であったようですが、同日発表の米小売売上高と新規失業保険申請件数は米経済の堅調さを示唆するものであったこと、また米中貿易協議が進展しているというニュースもあり、金は頭を押さえられることとなりました。
本日金曜日は日本と中国を除く欧米市場がイースターの休暇で閉まっていることからも、ほぼ動きのないままで終えています。
その他の市場のニュ―ス
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金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに6.2トン減少し752トンと昨年10月26日以来の低い水準となっていたこと。そこで3週連続の下げとなったこと。 -
先週末発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日にIMFが2019年の世界の経済見通しを引き下げ、トランプ大統領が追加関税をEUの自動車へ課することを発表した際に、42%増の173トンへと増加させていたこと。 -
しかし、コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは2週連続でネットショートで、39%増加して385トンとなっていたこと。 -
コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは99%増加で34トンと2018年2月末以来の高さとなっていたこと。 -
コメックスのパラジウム先物・オプションの資金運用業者のネットロングは4.89%減少し31トンと7週連続で下げていたこと。 -
金銀レシオは、今週月曜日86.16と26年ぶりの高さとなっていたこと。 -
前週末トランプ大統領はFRBを再度批判し、政策適切なら大幅株高になっていたとツィートしていました。これに対し、ドラギECB総裁は中央銀行の独立性を脅かす危険な行為だと強く非難していたこと。
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前週土曜日に閉幕したIMFでは、貿易摩擦や金融状況の引き締まりが、減速傾向にある世界経済に対する主要なリスクだとする共同声明を採択し、各国に成長支援を促していたこと。
来週の主要イベント及び主要経済指標
来週は、月曜日が欧米はイースター休暇の最終日で祝日となりますが、米国の中古住宅販売件数が発表され、火曜日は米国リッチモンド連銀製造業指数、ユーロ圏消費者信頼感、米国新築住宅販売件数、水曜日はドイツのIFO企業景況感指数、木曜日は日銀政策決定会合後の発表、米国耐久財受注と新規失業保険申請件数、金曜日は米国第1四半期個人消費、ミシガン大学消費者態度指数等が注目指標となります。
また、引き続き米中貿易協議の行方や英国のEU離脱関連ニュースも注目されることとなります。
ブリオンボールトニュース
米国主要経済サイトのMarket Watchが「長期金利と株価の上昇で金が年初来の低さへ下げる」弊社リサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュのコメントと弊社データを取り上げています。
今週の年初来の下げを見せた金相場に関して、「金は必ずしも株価が上昇した際や長期金利が上昇した際に下げることはないが、この二つが共に上昇している際は、金は高いハードルを越えなければいけなくなる。しかし、一般投資家はこの下げで金の購入を進めている。」というコメントを紹介した上で、ブリオンボールトにおける金取引量が24時間以内に過去一年間の平均から185%と増加し、370万ドル(約4億1440万円)相当で、購入が売却の4倍となっていることを取り上げています。
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
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主要経済指標(2019年4月15日~21日)今週の結果をまとめています。 -
主要経済指標(2019年4月22日~26日)来週の予定をまとめています。
ロンドン便り
今週は日本に滞在しておりますので、お休みとさせていただきます。