金市場ニュース

ニュースレター(2019年4月12日)IMFの経済見通し下方修正や米欧貿易摩擦の上げ幅を良好な経済指標で失う

私は来週から日本へ3週間入ります。そのために、ニュースレターはロンドン便りを除く簡易版となること、そして発信のタイミングも多少ずれる可能性があることをご了承ください。

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1292.83ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.3%上げとなっています。それに対し銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.08ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.8%下げています。なお、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上で899.16ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.4%下げています。

今週金相場は、IMFの2019年の経済見通し下方修正やトランプ大統領がEUの輸入品へ報復関税を課す準備があると伝えられたことから、金は2週間ぶりの高さへ上昇しましたが、その後発表された良好な経済指標などからの利益確定などもあり、その上げ幅をほぼ失っています。それでは、一週間の動きを日々追ってみましょう。

月曜日金相場はドルが弱含む中で一週間ぶりにロンドン昼過ぎに先週終値から0.5%増のトロイオンスあたり1300ドルを超え、1298ドルで終えていました。

この間原油価格はリビア情勢が緊迫する中で供給への悪影響が懸念され、5か月ぶりの高さへ上昇していました。また、週末には中国の中央銀行が4か月連続で金準備を増加させていたことも明らかとなり、金をサポートする要因ともなっていました。

なお、先週大きく上昇したプラチナは同日も1.2%上昇しトロイオンスあたり912ドルと10か月ぶりの高さを記録し、銀価格も0.4%増のトロイオンスあたり15.17ドルと金同様3月28日以来の高さを付けていました。

火曜日金相場は、ドルインデックスが前日から2日連続で下げ、欧米株価も下げる中で、トロイオンスあたり1306ドルと3月28日以来の高さへ上昇していました。

この株価の下げは、米政権がEUからの輸入品に対して報復関税を課す準備を始めたと発表し、貿易摩擦の激化への懸念が広がったことから、またIMFが同日改定した世界経済見通しで2019年の成長率予測を下方修正したことも警戒感を高めたことからでした。

なお、先週来大きく上昇していたプラチナは、利益確定もあり、同日はトロイオンスあたり900ドルを再び割って887ドルまで下落していました。

水曜日金相場は、ドルインデックスが下げる中で、トロイオンスあたり1310ドルまで上昇する等3日連続の上昇となっていました。

同日は市場注目の経済指標が相次ぎ、まずECB政策金利発表では、予想通り金融政策は据え置かれ、年内の利上げは無いとされ、米消費者物価指数は多少ながら予想を下回るものでした。

なお、同夜EUの臨時サミットでは英国のEU離脱期限は10月31日まで延期され、FOMC議事録発表は、サプライズは特になく、大半のメンバーは2019年中の金利据え置きを支持し、利上げは無しということが確認されましたが、市場への影響は限定的となっていました。

木曜日金相場はトロイオンスあたり1290ドルと3営業日ぶりに下げ、今週の上げ幅をほぼ失い1.3%急落していました。

これは、同日発表された新規失業保険申請件数が4週連続の減少で50年ぶりの良い数字であったこと、また卸売物価指数も予想を上回るものであったことからドルが強含み、米長期金利も上昇し、株価も全般上昇しており、金は押し下げらることとなったからでした。

また、前夜発表されたFOMCの議事録で利下げの可能性がより強く記載されていなかったこと、また英国のEU離脱が6か月先まで伸ばされたことで懸念も後退したことも要因とも伝えられていますが、テクニカルな要因で売りが売りを呼んだ模様です。

本日金相場は、欧米株価が全般上昇し、S&P500種が史上最高値に近づく中で、米長期金利が下げ、ドルインデックスが2週間ぶりの低さへ弱含んでおり、昨日の下げからは多少戻しながらトロイオンスあたり1293ドル前後を推移しています。

米株価の上昇は、市場注目の銀行株が決算を好感して上昇していることからですが、ドルと米長期金利が下げているのは、本日発表された中国経済指標が良好であったことで中国経済減速への懸念が後退したことからの模様です。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに3.8トン減少し758トンと昨年12月6日以来の低い水準となっています。そこで2週連続の下げとなる模様であること。

  • 先週末発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に世界株価が上昇する中で50%減の2か月ぶりの低さへと下げていたこと。

  • ワールドゴールドカウンシルによると、今年1月と2月ですでに世界の中央銀行は90トンの金準備を増加させている等、昨年に続き堅調な動向となっているとのこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週は欧米は復活祭の祝日が金曜日からとなっているために、長めの休暇を取る市場参加者も多いと予想され、多少薄商いとなる可能性があります。

そのような中で注目される指標は、月曜日は米ニューヨーク連銀製造業景気指数、火曜日は英国失業率及び失業保険申請件数、ドイツとユーロ圏のZEW景況感調査、米国鉱工業生産、水曜日は日本の貿易統計、中国の小売売上高、鉱工業生産、第1四半期GDP、英国とユーロ圏の消費者物価指数、米国貿易収支、米地区連銀経済報告、木曜日はドイツとユーロ圏と米国の製造業PMI、英国と米国の小売売上高、米国新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、金曜日の日本の消費者物価指数と米国の住宅着工件数等となります。

また、引き続き米中貿易協議にも市場は注目することとなります。

ブリオンボールトニュース     

今週も英国のEU離脱の期限延期の臨時EUサミットが開催されるなど、イベントが続いていましたが、弊社リサーチのコメントなどが主要メディアで取り上げられています。

日経ビジネス「英議員の保身が招いた展望なきブレグジット

英国のEU離脱の期限が10月31日に延期されることが合意されましたことを伝えるこの記事では、度重なる延期にすっかり市場の反応も限定的となっていることについて、弊社のコメント「金のオンライン取引大手である英ブリオンボールトによると、株式などのヘッジ商品ともいえる金の価格も反応が少なかった。」と紹介しています。

ファイナンシャルタイムズFT Adviser「金はその魅力を失ったのか

弊社のリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントの「ロンドンが世界最大の取引場所となっている現物金取引は、すでに取引総額では米国の派生商品市場に地位を譲っている。これは金融危機以来カウンターパーティ信用リスクが軽減されていると見られていること、またヘッジファンドへの低費用のクレジットが豊富であること等が背景にあると言えるだろう。」が取り上げられました。

ファイナンシャルタイムズ「最初の百万ポンド:ブリオンボールト設立者ポール・タスティン

この記事では、ポール自分自身の財産275,000ポンド(約4000万円)を投資して設立した会社ブリオンボールトが1億7500万ポンド(約253億円)の売上高を生み出すと取り上げられています。

そしてポールの略歴を紹介した上で、成功の秘密について、経営理念について、自身のキャリアで最も困難であった期間について等をインタビュー形式で紹介しています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週はご存知のようにEUと英国は英国のEU離脱期限を10月31日へと延長することを合意しました。主要メディアは奇しくもこの期限の日がハロウィーンの日ということからも、「この結果はTrick or Treat(トリック・オア・トリート)なのか」という見出しで伝えられていました。

ひとまずは離脱日が再び延期されたということで市場も安ど感が広がっていますが、解決の目途は全く見えておらず混乱は今後も続きそうです。

そこで、本日もブレグジットではなく、先週末に行われた英国の春の風物詩であるケンブリッジ大学とオックスフォード大学のボートレースについてお伝えしましょう。

このボートレースは、毎年3月もしくは4月の週末に、弊社オフィスからも近いテムズ川行われる、1829年から続いている伝統のレースで、毎年全国放送で中継されています。

今年はケンブリッジ大学が男性と女性チームで共に優勝しましたが、今年特に話題となったのは、オリンピックのダブル金メダリスト(2000年と2004年)でもある、ジェームズ・クラックネル氏が、46歳という最年長でケンブリッジ大学の大表として出場を決めていたことからでした。

クラックネル氏は、現在ケンブリッジ大学の大学院で人類進化の勉強をしているとのこと。そのために、今年のボートレースの出場権を得る資格はあるものの、このチームの8名に選ばれるためには、25歳近い年下の学生達と競わなければならなかったとのことです。

結果的にクラックネル氏は選ばれ、ケンブリッジ大学は対戦成績を84勝80敗としています。

ただ、このボートレースに出場することは、17年間連れ添っていた夫人のビヴァリー・ターナー氏の反対を押し切って決めたとのことで、ターナー氏曰く家族との生活を犠牲にしたことから結婚生活は破綻した模様です。

クラックネル氏は、2010年に16日間でロスアンゼルスからニューヨークまで自転車、ボート、ランニング、泳いで到達するチャレンジン中に、自転車から落車して頭蓋骨を損傷して、脳挫傷から記憶喪失や性格の変化などを経験しています。

しかし、この経験がなければケンブリッジ大学で再び学ぼうと思わなかったであろうともコメントしており、今回のチャレンジもオリンピック後生まれ育った彼の子供たちに彼がボートをこぐ姿を見せたかったからとのこと。

今回のボートレースの出場権を得られたことは、オリンピックに出場できたことと同じように光栄であったとコメントしているクラックネル氏の、幾つになってもチャレンジを続ける姿に力をもらった人々は多かったことでしょう。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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