金市場ニュース

ニュースレター(2019年3月22日)ハト派的FOMCとブレグジットの混乱で金は3週連続の週間の上げへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1311.63ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.6%上げています。それに対し銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.46ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.7%上げています。なお、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上で847.76ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2%上げています。

今週は市場注目のFOMCで発表された内容が想定以上にハト派的であったことから、また英国のEU離脱の混乱も重なり、金相場は3週連続で週間の上げを記録することとなりました。それでは、その動きを一日毎に追ってみましょう。

月曜日金相場は、今週の米国連邦準備制度理事会(FED)の連邦公開市場委員会(FOMC)と英国議会でメイ首相が3度目のEU離脱案を議決させる可能性があった中で、ドルが前週の8月後半以来の大幅な下げ幅から更に2週間ぶりの低さへ弱含み、ロンドン時間に2営業日連続で上昇し、トロイオンスあたり1305ドルで終えていました。

英国のEU離脱関係では、同日バーコウ英国議会議長が実質的に変わらない内容の案を再採決することはできないという裁定を出したことから、EUサミット前の採決は不可能となり、ポンドが弱含み、ポンド建て金相場はトロイオンスあたり989ポンドまで一時上昇していました。

火曜日金相場は同日から始まったFOMCの結果を待ちながら株が全般上昇する中で、トロイオンスあたり1308ドルを挟んで狭いレンジで動いていました。

株高は米利上げ停止期待が広がっていたことからですが、翌日の記者会見などでハト派的コメントではないものが出た場合は金は押し下げられる可能性もあり、動きが取れない状況となっていました。

水曜日金相場は、同日ロンドン時間夕方に発表されるFOMCの結果を待つ中で、トロイオンスあたり1310ドルまで上昇した後に、1300ドルを割る水準まで下げるなど、神経質な動きをしていました。

しかし、発表でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを2.25~2.5%に据え置くことを全会一致で決定し、バランスシートの縮小は5月からペースを減速し、9月に終えると発表し、今年の利上げは17人中10人が無しと予想し、経済成長率も12月の2.3%から2.1%へと下げたこと等から、想定を上回るハト派的内容と判断され、即座に1.4%急騰し1318ドルで終えていました。

木曜日金相場は、前日のFOMCのハト派的スタンスを受けて、トロイオンスあたり1320ドルまで一時上昇した後に、ドルが強含む中で、1308ドルで終えていました。

ドルの上昇は、同日発表された米国の新規失業保険申請件数が予想を下回り、フィラデルフィア連銀製造業景気指数が大幅に上回ったことをきっかけとし、また前夜トランプ大統領が貿易協議を行なっている中国の製品にかけた追加関税について「解除することは議論していない」と述べ、貿易協議で合意したあとも当面は続ける可能性を示唆したことなどが背景とされていました。

なお、英国のEU離脱関係のニュースとしては、同日始まったEUサミットでメイ首相が要請したEU離脱を6月末まで延長する件について議論され、同日遅くに離脱延長日程がメイ首相の望んでいたものではなかったものの合意されたことが伝えられていました。それは、英とEUがまとめた離脱合意案を英議会が可決すれば5月22日まで、可決できなければ4月12日まで離脱を延期するというものでした。

本日金相場は、ドルインデックスが上昇する中で、トロイオンスあたり1311ドル前後の狭いレンジで動いています。

ドルが強含んだのは、本日発表されたドイツの製造業PMIが44.7と予想の48.0を下回り、6年ぶりの低さとなったことから、ユーロが弱含みドルを押し上げた模様です。また、欧米株価も全般下げていることも、ドルを押し上げ、金相場を支えているようです。

なお、本日英国ポンドは昨日の英国離脱の短期延長が認められたことを受けて、主要通貨に対して上昇したことから、ポンド建て金相場は今週のひと月ぶりの高さのトロイオンスあたり1004ポンドから下げて993ポンドほどで推移しています。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに5.6トン増と、2週連続で週間の増加となりそうであること。

  • 先週通常のスケジュールに戻ったコメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションはすべての貴金属で先週火曜日に強気ポジションが減少し、金先物・オプションのネットロングポジションは3週間連続で減少し、12.24%減の130トンと7週間ぶりの低さへと下げていたこと。これは、ショートポジションが過去平均の2.5倍となっていることから。

  • 銀の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも、2週連続で減少し、46.9%減の1498トンとなっていたこと。

  • プラチナの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも3週連続で減少し、80.77%減でかろうじてネットロングの2.76トンとなっていたこと。

  • パラジウムの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも3週連続で減少し、6.32%減の40.9トンとなっていたこと。

  • 月曜日にドイツ銀行とコメルツ銀行の合併への話し合いが持たれていると正式に発表されたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週も英国のEU離脱関係で市場は動くこととなりましたが、昨日EUサミットで3月29日の離脱期限延長は、英とEUがまとめた離脱合意案を英議会が可決すれば5月22日まで、可決できなければ4月12日まで離脱を延期することで合意したことから、議会採決が来週行われると予想されており、その結果を市場は注目することとなります。

また米中の貿易協議関連ニュースも引き続き注目することとなりますが、その他の指標では、火曜日の米国指標の、住宅着工件数、ケースシラー住宅価格指数、リッチモンド連銀製造業指数、消費者信頼感指数、水曜日の米国貿易収支、木曜日の米国第4四半期GDPと個人消費とコアPCE、金曜日の英国第4四半期GDP、ユーロ圏消費者物価指数、米国個人所得、個人消費支出、シカゴ購買部協会景気指数、新築住宅販売件数、ミシガン大学消費者態度指数などとなります。

ブリオンボールトニュース

今週も金相場が上昇する中で、弊社リサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが主要メディアで取り上げられています。

英国の主要経済紙CityAM「金の注目度が高まる:金の価格を押し上げているものは?

この記事では、昨年動きが無かったものの、株価がボラティリティを高め、地政学リスクが高まる中で、金価格が上昇していることをレポートした上で、その背景を英国の著名アナリストのコメントと共に伝えています。

ここでは、金と金利の関係は強いとし、FRBによる金利が据え置かれるもしくは引き下げられた場合、米国のインフレが高まり、金の需要を押し上げるとした上で、エィドリアンの「市場のコンセンサスは、米国の2019年の利上げは無し、それに加えて量的緩和引締めの早期停止というハト派的政策を予想している。しかし、今週の政策金利発表とパウエルFRB議長の記者会見で、これに小さな変化でもあれば、市場の自信をつぶすことになるだろう。」そして、「そのために価格が下げた場合、金を株式市場のボラティリティに対する保険的役割として金の購入を検討しているのであれば、買い機会と見るべきだ。」というコメントを紹介しています。

英国の主要経済サイトInvestor Chronicle.co.ukのインタビュー記事

ここで、エィドリアンは金価格上昇の背景は、株式市場や実質金利の動きが要因となっていることを説明し、中国やインドの底強い需要は、価格のサポートとなっていると解説しています。

そして、英国のEU離脱を今月末に控えながらも、英国からの投資需要が高まっていないことに触れ、これは、英国投資家が未だ離脱への危機感を高めていないことを示しているとしています。

そして、より良い金の投資法としては、現物地金を安全に地政学リスクを分散できるように一つの国に限らず保管すべきとし、また必要であれば24時間取引できる環境も必要としています。

それは、英国の離脱を決めた国民投票の際に金相場はポンド建てで22%動いたのは真夜中から明け方にかけてであり、この際にブリオンボールトでは1000万ポンド(約14.5億相当)ほどの取引が行われたことからも、このような取引機会を逃すべきではないと紹介しています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週もロンドンはブレグジット一色のニュースに包まれることとなりました。そのような中で、本日は、ニュースでも伝えられているEUからの離脱を撤回するよう求める請願についてご紹介しましょう。この請願は24時間で200万人の署名を集めたとのことですが、その署名数は本日ロンドン時間午後5時15分の段階で342万人を超えています。

そして、この数の増え方が一分間に2000ほどと多いことからも、ボットと呼ばれているコンピュータープログラムで自動的に意図的に増やしているのではないかという噂が広がっているというニュースも伝えられています。

結論から言うと、署名時にはメールアドレスを入力し、そのメールアドレスに送られた確認メールに答えない限りは、署名ができないことからもボットによる署名は難しいであろうとのことです。

また、この署名はロシアや北朝鮮からもされているものの、ロシアは英国のEU離脱をサポートしていること、また海外からの署名は全体の4%に過ぎないことからも、現段階でロシアなどの介入はないであろうとのこと。

ちなみに、10万人以上の署名を集めた請願については議会は討論を検討しなければならないとのことです。

なお、2016年の英国の離脱を決めた国民投票の離脱と残留の投票者数は下記のようになっていました。









投票結果


 

投票者数

%

離脱

17,410,742

51.89%

残留

16,141,241

48.11%

有効票

33,551,983

99.92%

無効票

25,359

0.08%

投票総数

33,577,342

100.00%

有権者数と投票率

46,500,001

72.21%

 

既に署名した342万人は国民投票の投票者数の1割ほどのようですが、離脱撤回は英国がEUの承認なく行うことができるとのこと。ただ、それを行うためには2度目の国民投票や総選挙などで国民の意思であることが明確に示された結果でなければならないとのことです。

2016年の国民投票から2年半を経て息切れが感じられるブレグジット議論ですが、4月12日の新たなデットラインまでに、今度こそは方向性が見えてくることを祈ってやみません。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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