金市場ニュース

ニュースレター(2019年3月15日)ブレグジット関連の議会採決の混乱を経て金は1300ドルへ戻す

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1304ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.6%上げています。それに対し銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.39ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から1.8%上げています。なお、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上で831.44ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.6%上げています。

今週は英国のEU離脱のニュースでも金の市場が動かされることとなりました。この状況は来週英国がEUサミットでEU離脱延期を要請することからも継続することとなりますが、まずは今週の市場の動きを一日毎に追ってみましょう。

月曜日金相場は米国の小売売上高が予想を上回りドルが高止まりする中で、先週の一週間ぶりの高さのトロイオンスあたり1300ドルから1293ドルへと下げて終えていました。

世界株式は、年初以来最悪の週間の下げ幅を見せた前週からは、同日の米国小売売上高が前月比0.2%と、前回数値は大幅に-1.2%から-1.6%へと下方修正されたものの、予想の0.0%を上回ったこともあり上昇することとなりました。

この上げは、週末に中国の中央銀行の人民銀行の易綱総裁が米国との貿易協議について、「双方は多くの重要な問題で認識が一致した」と述べ、「景気下押しには金融緩和で対応する」という考えを示したことが背景であった模様です。

また、同日は翌日メイ首相の離脱協定案の修正案について議会採決が行われる予定となっていたために、関連ニュースに敏感にポンドが反応する中で、ポンド建て金相場も大きく動いていました。

まず、ロンドン時間午前中には、週末のEUとの話し合いは「デッドロック状態」と首相官邸が述べたことを伝えて、ポンドは下げポンド建て金相場はトロイオンスあたり1000ポンドを超えて上げていました。その後、ロンドン時間午後にメイ首相が同日遅くにユンケル欧州委員会委員長との会談でストラスバーグへ入ると伝えられており、ポンドが強含む中で2.7%近く急落していました。

火曜日金相場はドルが多少ながら弱含み、トロイオンスあたり1300ドルを超えて上昇することとなりました。

ドルが下げたのは本日発表された米国消費者物価指数が予想を下回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止観測が強まったことが要因となりました。

また、同日はロンドン午前中には、前夜メイ首相がEUと合意した修正案の議会採決を前に法的見解が出され、「バックストップ」に関する修正でも英国がEUの関税同盟に半永久的に残るというリスクは変わらないという判断となったことで、ポンドが大きく下げていました。

それに加え週末に墜落したボーイング社の「737MAX8」の運航停止が相次いでいたことから、ボーイング社の株価が下げ、ダウ工業株30種平均が下げるなど、市場のセンチメントが悪化していたことが、金を押し上げることとなった模様です。

水曜日金相場は米国株が5か月ぶりの高さとなる中で、トロイオンスあたり1311ドルと3月1日以来の高さとなっていました。

株が上昇していたのは、同日発表された米卸売物価指数が前日の消費者物価指数同様に予想通り、もしくはそれ以下とコントロールされていることが明らかとなり、耐久財受注は予想を上回り、経済停滞観測の後退やFRBによる利上げ観測が後退していることからでした。そして、利上げ観測の後退はドルを弱含ませ、英国のEU離脱の混乱もあり金が上昇していました。

なお、同日英国議会で合意のない離脱の是非を問う採決が行われ、合意のない離脱が否決されたことから、翌日は「離脱延期」の賛否が問われることとなっていました。

木曜日金相場はドルが一週間ぶりに強含む中で前日の上げ幅をほぼ失い、トロイオンスあたり1295ドルへと下げて終えていました。

ドルが強含んでいたのは、米中首脳会談が今月末から来月へと先送りされたこと、中国の鉱工業生産高が17年ぶりの低さであったことで、安全資産のドルへの逃避としての買われたことが要因とされていました。

なお、同日英国議会は、離脱延期を採決で決めていました。

本日金曜日金相場は、ドルが多少ながら弱含む中で、トロイオンスあたり1300ドルを取り戻し、ロンドン時間午後に1303ドル前後を推移しています。

昨日米中首脳会談が4月へと引き伸ばされたことが伝えられていましたが、本日中国新華社通信が米中の貿易担当の閣僚レベルで行われた電話での話し合いで、具体的進展があったと伝えたこと、そして、本日発表された米国の鉱工業生産とニューヨーク連銀製造景気指数が共に予想を下回ったことから、ドルを弱含ませ、金をサポートしている模様です。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに5.9トン増加し、772トンと3月1日の高さまで上昇し、6週間ぶりに週間の上げとなる模様です。

  • コメックス先物・オプションのデータが、先週土曜日にようやく遅れを取り戻したこと。それによると、前週金曜日の予想を大きく下回った米雇用統計の前の火曜日までのデータでは、コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは54%減少し149トンと、過去6週間で最も低い水準となっていたこと。

  • コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットは、金同様にネットロングポジションが2週連続で減少し、一週間で62%減の2821トンと、昨年12月24日以来の低さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、788%増の14トンと、11週ネットショート後に2週連続で上昇し、昨年11月28日以来の高さとなっていたこと。これは、南アフリカの鉱山会社が大規模なストライキを計画していることが2月25日に伝えられ、供給ひっ迫観測からプラチナ価格が大きく上昇をしていたことが背景。

  • 史上最高値を記録し続けているパラジウムの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日に2.74%と多少ながら下げて43トンとなっていたこと。

  • 中国の人民銀行が金準備を12月の9.95トン、1月の11.8トンに続き、2月も9.95トン増加させていたことが、同銀行のウェブサイトで明らかとなっていたこと。

  • 月曜日にドイツ銀行とコメルツ銀行が合併協議に入ったことが伝えられたこと。

  • 世界の金消費国として第5位のトルコが昨年第4四半期のGDPが-3%と景気後退となったこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週はFOMCが火曜日と水曜日に行われ、水曜日の政策金利発表とパウエルFRB議長の記者会見が重要イベントとなります。

その他の指標としては、火曜日の英国の失業率と失業保険申請件数、ユーロ圏のZEW景況感調査、米国の製造業新規受注、水曜日の本日行われた日銀政策決定会合議事録、英国消費者物価指数、木曜日のイングランド銀行の政策金利発表、米国のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、金曜日のドイツ、ユーロ圏、米国の製造業PMIと米中古住宅販売件数等に市場が注目することとなります。

なお、今週は英国議会における英国のEU離脱協定案の修正案、合意無き離脱、離脱延期と議会採決が注目されましたが、メイ首相は来週も20日と21日に行われるEUサミットの前に再度EU離脱協定案を修正案も含めて3度目の採決を試みるようですので、これに市場は注目することとなります。

また、英国議会でこの案が可決された場合は、来週のEUサミットで批准作業に必要な時間確保のために6月末までの短期延期をEUに要請する方針ですが、否決された際に要請する延長期間はまだ明確ではないとのことです。

しかし、EU側は英国に離脱延長の「正当な理由」を迫る姿勢とのことですが、1年を超える長期延期も視野に入れて、離脱延期の可否が議論される模様で、市場はその行方に注目することとなりす。

ブリオンボールトニュース

金が3月の高値から下げて1300ドルを割ったことを伝える、米主要経済サイトのMarket Watchで、弊社リサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

今週の英国議会での今月29日の英国のEU離脱の延期、さらには取り消しを模索する動きは、「リスクオンセンチメントを高め、金の派生商品市場からの資金すらも流出している」とコメントしています。

そして、金については「金価格が2月数か月ぶりの高値から下げる中で、金現物需要は戻りつつある。例えEUと英国がこの問題を解決しようと試みても、貿易、債務、主権等への両者のギャップは広がっている。」と続けています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週は英国はEUからの離脱に関連する議案の議会採決について、メディアは特別番組を組んで早朝から夜遅くまで伝えていました。結果は先の市場ウォッチでお伝えしていますので、本日は先週弊社が正会員として所属している、世界で最大規模の貴金属市場協会である、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の年次パーティーの模様をお伝えしましょう。

LBMAの年次パーティーは毎年3月に行われ、その年ごとに様々なテーマで行われています。過去には、カジノやサーカスを楽しみながらのパーティーや、会社ごとに競い合う、クイズナイトやボーリングをするパーティなどもありましたが、今年は英国で70年代に放映された、英国の人々に親しまれているコメディ番組の「フォルティー・タワーズ」がテーマで、この登場人物に扮した俳優が人々を楽しませてくれながら歓談するというパーティでした。

年に一度取引会社関係の方々や、市場アナリストの方々とお話をする機会ですので、できるだけ多くの方とお話をすることにしていますが、どの方々と話しても、今週の議会採決を控えていたこともあり、今年はやはりブレグジットの話題が多くなってしまったように思います。

LBMAは既に同日の写真を配布してくれていますので、雰囲気をお伝えするために下記に添付させていただきます。

パーティーの入り口と寿司カウンター

取引先のマルカ・アミットの方々と

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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