金市場ニュース

ニュースレター(2019年1月18日)米政府機関の閉鎖が続き、英国EU離脱法案は否決される中、米中貿易摩擦懸念の後退で金は4週間ぶりの週間の下げへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の価格は1283.82ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.4%下げています。また銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.47ドルと、年初以来の低さで、前週のLBMA価格(午後12時)から1.3%下げています。

今週は、英国のEU離脱関連の重要イベントのEU離脱法案は英国議会で否決されたものの、米中貿易摩擦への懸念が後退する中で、リスクオンの市場となり、金相場は週間ベースで4週間ぶりに下げることになる模様です。それでは、一週間の動きを一日毎に追ってみましょう。

月曜日の金相場は、ドルインデックスが弱含む中でトロイオンスあたり1295ドルまで一時上げた後に、1291ドルで終えていました。

同日は中国の貿易収支のデータが発表され、輸入と輸出が共に予想を下回っていたことから、中国の経済の停滞の懸念からも世界株価が全般下げ、金が買われることとなりました。

火曜日金相場は、トロイオンスあたり1294ドルまで一時上げた後、ドルが一週間ぶりの高さへ強含む中で1287ドルへと押し下げられて1290ドルで終えていました。

同日は中国の経済政策当局者が、景気を支援するため「より大規模に」減税を実施すると表明したことで、ハイテク株が上昇し欧米株価が全般上昇することとなりました。

また、同日ドラギECB総裁が経済が予想以上に弱いと述べたことが伝えられ、ドイツの昨年のGDPが2013年以来の低い数値であったことからもユーロが一週間以上ぶりの低さへと弱含み、結果的にドルが強含むこととなった模様です。

さらに、同日英国議会がEU離脱協定案を大差で否決しましたが、ドル建て金相場は大きく動かない中、対ドルのポンドの為替レート動きで、ポンド建て金相場は大きく動きましたが、その後ポンド安が戻す中で、トロイオンスあたり1000ポンドを超える水準を守っていました。

水曜日金相場は、世界株式が英国と日本を除き上昇する中で、一時トロイオンスあたり1294ドルへと上昇していました。

同日の株価の上昇は、前日の中国政府の更なる経済刺激策、ドラギECB総裁のユーロ圏経済の減速が予想より長引く可能性があることからECBによる支援が必要というコメント、そして同日発表のゴールドマンサックスなどの良好な決算などが要因となりました。

しかし、米国政府機関の一部閉鎖は続いており、前日英国議会がEU離脱案を否決するなど、英国のEU離脱への懸念も高まっており、金相場はサポートされていた模様です。

木曜日金相場は、良好な米国経済指標で米国株が上昇し、ドルインデックスが1週間ぶりに上昇する中でも、トロイオンスあたり1288ドルと1295ドルのレンジ内を推移することとなりました。

同日の良好な経済指標は米新規失業保険申請件数が5週間ぶりの低さとなったこと、またフィラデルフィア連銀製造業景気指数が予想より良好であったことから、米中貿易摩擦、米国一部政府機関閉鎖等への懸念はあるものの、株価は前日比上昇することとなりました。

なお、前夜英国議会において内閣不信任案が否決され続投となったメイ政権が野党と新たなEU離脱案について議論を進める中、ポンドは同日対ドル強含み、ポンド建て金相場はトロイオンスあたり1000ポンドを割り緩やかに下げることとなりました。

本日金曜日は、世界株式が上昇する中で金相場はトロイオンスあたり1284ドルと9日ぶりの低さへと下げています。

株価上昇は、前日米政権内で対中関税の引き下げが提案されていると伝えられたことで、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待からとのことです。

そのような中英国ポンドは弱含んでおり、これは野党ジェレミー・コービン労働党党首が、2度目の国民投票の可能性を示唆したことと伝えられています。

その他の市場のニュ―ス


  • 金のETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日まで全く変化なく797トンと、引き続き昨年7月31日以来の高さとなっていること。

  • コメックスのデータは、米政府機関の一部が閉鎖されているために、この閉鎖が解除され次第発表が行われるとのこと。

  • 米産金大手ニューモント・マイニングは14日、カナダの競合ゴールドコープを買収すると発表したこと。

  • パラジウムが木曜日にトロイオンスあたり1400ドルを超え、史上最高値を付けたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

本日は昨夜米政権内で対中関税の引き下げが提案されていると伝わったことからリスクオン傾向となっているように、来週も米中の貿易交渉関連のニュースへ市場は注目することとなります。

主要経済指標としては、来週は日銀の金融政策決定会合後の発表が水曜日、ECB政策金利発表が木曜日に行われ、市場は注目することとなります。

その他の経済指標としては、月曜日の中国小売売上高、鉱工業生産、第4四半期GDP、火曜日の米国中古住宅販売件数、水曜日の米国リッチモンド連銀製造業指数、ユーロ圏の消費者信頼感、木曜日のドイツとユーロ圏と米国のの製造業購買部担当者景気指数、金曜日の米国IFO企業景気指数等となります。

また、米国の一部政府機関閉鎖関連ニュース、そして英国のEU離脱関係ニュースは対ドル為替レートを動かす可能性があり、金市場も動かす可能性はあります。

ブリオンボールトニュース

今週は弊社が毎月発表している金投資家の投資傾向を数値化した金投資家インデックスのが発表されたことから、主要メディアでこの数値について取り上げていただいています。

ゴールドニュースサイト「金価格の早い上昇ペースは、個人投資家の利益確定を進めさせる

ここでは、先月株価の急落からも金相場が上昇したことで、既存顧客の利益確定の売却が進み、金投資家インデックスが、やはり金価格が急騰した2017年8月以来の低い水準となったことを解説しています。

ブルームバーグ「ブレグジットの混乱が英国の投資家の金購入を進める

ブルームバーグが英国のEU離脱への懸念で投資家が金を購入しているという記事で、ブリオンボールトのデータが取り上げられています。

ここで、英国王立造幣局での金販売量が昨年末から今月にかけて急増していることを伝え、ブリオンボールトにおいては、この時期に金価格が5.1%12月に上昇したことから、金の売却が進んだことを紹介しています。


お知らせ

弊社の日本における正規媒介代理店のブリオンジャパンが、12月から同社の事務手数料を1%へと値下げしています。

この事務手数料は、資金を同社の日本の送金用銀行口座から英国の弊社取引銀行の顧客口座へ送金する際の手数料として同社が設定していたものですが、今回の値下げにより、弊社サービスを日本からご利用になる手数料がより安くなりましたのでご検討ください。

 

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週は火曜日からロンドンオフィスへ戻ってまいりました。また、弊社オフィスは先週末に移転したことから、新たなオフィスで2019年のスタートとなります。

さて、今週は日本でも大きく伝えられていた英国のEU離脱案が議会で否決され、その後野党から出された内閣不信任案は否決されたことで、メイ政権は続投で議会内のコンセンサスを取ろうという動きが活発化しています。

そのような中、本日はブレグジットから離れて、現在も続いているウルトラマラソンでも最も厳しいとされている、厳冬の英国北東からスコットランドの268マイル(420キロ)を走る抜けるMontane Spineレースについてお伝えしましょう。

このレースは、先週日曜日から行われていますが、昨日英国人女性のジャスミン・パリスさんが、男性を含む全てのカテゴリーで、これまでの記録を12時間以上短縮して83時間12分23秒で優勝したために、英国の主要メディアが大きく伝えています。

パリスさんは、生後14か月のお子さんの母親で、いまだ授乳をしているために、大会前に自宅で搾乳して冷凍していたものの、レース中も乳腺炎を避けるために休憩所で搾乳をしていたとのこと。

また、パリスさんは獣医で、エジンバラ大学で博士課程を取る中で最終の論文を書くことを一時休んで参加していたとのことですが、このレースの準備のために週間で100マイル(160キロ)は続けていたようです。

レース後半は睡眠不足から幻覚を見ていたとのことですが、それをものともせずに完走をしてしまう精神力には感嘆するばかりです。

このレースの困難さは、その距離と厳冬の環境もありますが、高低差も43,000フィート(13,106.4メートル)とエベレストの29,000フィート(8848メートル)を更に超えるものであること、全ての持ち物を自分で持って走らなければならないことなど、ウルトラランナーも一目を置くものであることは間違いありません。

現在私の走り仲間の3人も激走中で、ただただ彼らが完走することを祈るばかりです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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