金市場ニュース

ニュースレター(2018年7月27日)1224.74ドル:ドルが高止まりする中、過去9週のうち7週目の週間の下げへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の価格は1224.74ドルと、前週金曜日のLBMAの金価格のPM価格(午後3時)から0.3%下げています。この水準は金曜日のLBMAのPM価格としては今年最低で、過去9週間で7回目の週単位での下げとなっています。なお銀価格においては本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.35ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)とほぼ同水準となっています。

月曜日金相場は、ドルインデックスが94.5を超えて高止まりしている中、トロイオンスあたり1234ドルと1222ドルの間と比較的狭いレンジで推移することとなりました。

なお、同日は日銀の金融緩和が引き締めへと向かうのではという観測から、アジア時間に国債の利回りが上昇し円高となっていましたが、日銀による市場介入で落ち着きを取り戻していました。しかし、日本国債金利の上昇はドイツや米国の長期金利を引き上げたことは、金にとっては下げ要因となった模様です。

火曜日金相場はドルインデックスが2週間ぶりの低さへ下げる中、トロイオンスあたり1289ドルへと一時上昇していました。

同日は、中国人民銀行が前日、期間1年の中期貸出ファシリティーを通じて金融機関に約743億6000万ドルを供給したことから、緩和傾向との観測で人民元が一年ぶりの低さへと下げているものの、株式市場とコモディティは好感して全般上昇していたことも金を押上げることとなりました。

水曜日金相場は、ドルが7週間ぶりの低い水準へと0.5%下げる中、トロイオンスあたり1234ドルまで一時上昇することとなりました。

これは、高止まりをしていたドルの調整の動きで、それに呼応するように金が上昇をした模様です。

ちなみに、同日は米欧首脳会談で「欧州連合(EU)から貿易戦争回避のために譲歩が得られた」と伝わる中、米国株価は好感した買いから相場を押し上げていました。

 


 


木曜日金相場は、ECBの政策金利発表で金利が据え置かれ、来年末まで低金利政策を継続することが確認されたことから、ユーロが下げ、ドルが上げる中で、トロイオンスあたり1222ドルへと下げることとなりました。


 


なお、同日は昨夜発表されたフェイスブックの四半期決算で成長鈍化への懸念から株価が急落し、ハイテク株の多いナスダックが下げ、S&Pも昨日の上げから多少下落していました。


 


翌日は市場注目の米第2四半期GDPが発表が予定されていましたが、トランプ大統領が一昨日ツイッターで経済が良好であることをつぶやいていたこと、また同日行われた集会で4%台であれば嬉しいと述べる等、良好なデータを示唆していたこともドルを強めることとなったようです。


 


なお、同日EUは英国からのEU離脱のための通商関係に関する提案の中核的な部分を拒否したことが伝えられ、英国ポンドが下げ、ポンド建て金相場が上昇していました。


 


本日金曜日は、市場注目の米国の第2四半期GDPが発表され、4.1%と前回数値の2.0%とその修正値の2.2%を上回り、予想と同水準の良好な2104年以来の高いものとなっていました。


 


この発表後に「噂で買ってニュースで売る」の現象と思われる動きでドルが弱含み、金が上昇することとなりました。

 

その他の市場のニュ―ス


  • 金のETF最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が今週月曜日に4.4トン増加した後に木曜日に2.4トン減少したものの、先週同様に週間で増加の傾向となっていたこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日にFRBのパウエル議長の米経済への楽観的議会証言でドル高となり金価格がサポートレベルの1236ドルを割り1年ぶりの低値を付けた際に、パラジウムを除くすべての貴金属でネットショートとなっていたこと。


  • 金先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、2016年1月5日以来のネットショートで、69.91トンとなっていたこと。このネットショートの水準は記録上は史上2番目に大きいもの。


  • コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションも、先週火曜日に今年5月22日以来のネットショート1224トンとなっていたこと。


  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットポジションも、15週連続のネットショートで、前週比3.48%増の45トンと、このフォーマットでレポートが発表された2006年6月以来の史上最大記録を更新していたこと。

ブリオンボールトニュース

今週も主要メディアで弊社リサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントやリサーチデータが取り上げられています。

CNBC「強いドルと世界株価が金への興味を失わせせている

弊社リサーチ主任のエィドリアン・アッシュがCNBCのインタビューに答えて、昨今の金相場について解説しています。

ここでエィドリアンは、金相場はドルの動きに影響を受けているとし、トランプ大統領がイランをツィッターで非難する等政治リスクはあるにも関わらず金相場が動かないのは、ドルや米株価が堅調であること等からとし、2016年のウクライナ危機の際も金は動いておらず、政治リスクは必ずしも金相場を動かさないとコメントししています。

そして、短期においては、ボラティリティのなさからコメックス先物・オプション市場で2016年以来のネットショート、金ETFの残高が減少を続けていること、中国とインドの需要が現地通貨で金相場は下げていない事から増加していない事等から、下げの圧力があるだろうと続けています。

しかし、長期的に金融システムの保険的役割は効果があるとし、金は1968年以来5年の期間を見てみると、米株価が下げた時に98%上昇しているというデータを紹介しています。

オブザーバー「懸念を高める投資家が金の購入を進める

この記事では、弊社での7月9日から13日までの金購入量が、過去一年間の平均的購入量の5倍となっていたとし、弊社では38.8トンの12億ポンド(1750億円)相当の金が顧客によって保管されていると紹介しています。

そして、リサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュの「この個人投資家の動きは英国のEU離脱、貿易戦争、トランプ大統領などが個人投資家の需要を高めたことは確かだ。しかし、直接的な要因は価格の下落だろう。」というコメントも取り上げています。

タイムズ「金を好みますか?私は株をまだあきらめることはできません。

金と株価を比較した分析記事で、弊社のリサーチのデータでは、1968年以来の5年毎のデータでは英国株価が下げている際の96%において金価格が上昇している事を取り上げています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

日本では今年の猛暑は記録的であることは、英国でも報道されていますが、今週英国では1976年ぶりの猛暑となっていることから、日々そのニュースが伝えられています。

今年の最高気温はBBCによると今週記録された34.5度とのこと。そして過去記録が残る最高記録は38.5度であるとのことですが、7月のロンドンの平均最高気温が21度であることからも、今年の暑さが特別であることはご理解いただけることでしょう。

そのような中、今週メイ政権がまとめたEU離脱の提案に対し、昨日EU側が難色を示したことが伝えられ、来年3月29日がデットラインとされているEU離脱日程が近づく中、何の合意もされずに「ハードブレグジット(強硬離脱)」せざるを得なくなる懸念が高まりつつあります。

そこで、私は今週水曜日に英国大手会計監査会社のアーンスト・アンド・ヤング(EY)のEU離脱に関するセミナーに出席してきましたので、簡単に概要をお伝えしましょう。

このセミナーは、英国で活動する日本企業を対象に行われましたが、EYからはかつてデビット・キャメロン氏のアドバイザーをしていたMats Persson氏が、英国のEU離脱の現段階までの状況を説明し、今後の可能性を予測し、それに対してどのような準備が必要かについて説明をしていました。

セミナーが行われたのは昨日EUがメイ政権の提案に難色を示す以前でしたが、その段階での英国のEU離脱後のEUとの関係の可能性は、メイ首相が提案したホワイトペーパーに近い形のEUのCustoms Unionに新たな形で残るという可能性が35%、日本のようにFree Trade AgreementをEUと結ぶ可能性30%、いわゆるハードブレグジットと呼ばれる、何の合意もされずにWTOルールでの関係となることが25%と予想をしていました。

英国のEU離脱の日時は2019年3月29日午後11時と決まっています。今年3月には離脱後の経済環境の激変を避けるために「移行期間」を2020年末までとし、その間にEUの単一市場と関税同盟に残留しながら、引き続き貿易関係の詳細の合意を目指すことは暫定的に合意していました。

しかし、この合意は現在交渉が行われている離脱後の「離脱協定」が合意されない限りは、移行期間の暫定合意も無効となります。この離脱協定としての英国の提案は、今月メイ政権がまとめ議会で承認を受けましたが、ここでもご紹介をしたように、EU離脱派の主要閣僚の辞任を引き起こすなど英国内でも批判のある内容ではありました。しかし、この柱である「モノの自由貿易圏」設立にEUが難色を示したことから、交渉の頭から苦しい状況に陥っています。

Persson氏は英国が譲れない一線の「人の自由移動の除外」がある以上、単一市場に留まることは難しいとし、現在行われている交渉も、もし合意が得られるとしてもおそらくは来年初頭まで持ち込まれるだろうと予想しています。

そのために、先の3つのシナリオの全てに備えて時間と予算をかけることはないにしても、先のどのシナリオになったとしても有効で少ない投資で行える、現在のサプライチェーンを把握するデータの整理、それぞれのシナリオにおける市場の競合する企業との比較等を行い、更には最悪のシナリオに備えてある程度の投資(EU内に拠点を持つ)等を行う事を検討もすべきであると述べていました。

「移行期間」の暫定合意で多少安心感が残っていたものの、今回のセミナーは来年3月29日にハードブレグジットとなる可能性の高さを改めて認識させるものとなりました。来月再び交渉が再開されるようですが、折を見てEU離脱に関してはここでこれからも整理してお伝えしたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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