金市場ニュース

ニュースレター(2018年6月22日)1269.15ドル:11ヶ月ぶりのドル高で6ヶ月ぶりの低値へ下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMAの金価格のPM価格は1269.15ドルと、前週金曜日の同価格から1.2%下げ、今年の最低値となっています。なお銀相場においてはトロイオンスあたり16.42ドルと、昨日の今年最低値16.24ドルから上げているものの、前週同価格からは4.2%と大きく下げています。

月曜日金相場は、先週金曜日の大幅な下げの水準を保ち、トロイオンスあたり5ドルの狭いレンジで1280ドル前後で取引が行われていました。

 

同日も米中貿易摩擦への懸念から世界株価が全般下げていましたが、ドルインデックスは一時95を超える等11か月ぶりの高い水準を付けていました。

 

なお、同日は移民問題をめぐり、ドイツの連立政権の先行き不透明感が高まっていることも投資家心理の悪化につながり、ドイツ株式指数は大幅続落していました。

 

火曜日金相場は、ドルインデックスが95を超えて11ヶ月ぶりの高い水準で推移する中、下値支持線のトロイオンスあたり1277ドルを割ったことから、ロンドン時間午後4時に、6ヶ月ぶりの低値の1270ドルまで一時下げていました。

 

これは、前日トランプ大統領が新たに中国の知的財産権侵害を巡り、2千億ドル(約22兆円)分の輸入品に10%の制裁関税を検討するように米通帳代表部に指示したことから、同日中国商務省が対抗措置をとると警告したことから、米中貿易戦争の懸念の高まっていたからでした。

 

水曜日は、ドルインデックスが95を超え高止まりする中、トロイオンスあたり1267ドルと6ヶ月ぶりの低値を付けていました。

 

これは、米中貿易摩擦への警戒感が根強いところに、同日ポルトガルで行われていたECB主催のフォーラムでの講演でFRBのパウエル議長が利上げの正当性を改めて強調したことなどもドル高をサポートし、金を押し下げることになりました。

 

なお、同日株価はダウ工業株30種平均は7日続落しているものの、S&P500種とナスダックは反発していました。

 

木曜日金相場は、一時今年一番の低値で6ヶ月来の低値のトロイオンスあたり1261ドルまで下げたものの、ドルインデックスが95を割って下げる中で反発し、ロンドン時間夕方に1267ドルまで戻して終えていました。

 

同日は米株価が全般下げていましたが、これは米最高裁判所が同日オンライン小売業者に対してこれまで実質的に免除されていた売上税の徴収を義務付ける権限を各州に付与する判断を下したことが要因と伝えられていました。また同日発表された米新規失業保険申請件数は予想を下回っていましたが、フィラデルフィア連銀製造業指数は予想を大きく下回っていたこともドルを押し下げた模様です。

 

そして、同日注目のイングランド銀行の政策金利発表では金利は0.5%、資産購入枠は4350億ドルで据え置かれましたが、利上げ支持が1人増えて3人となったことで、8月会合での利上げ期待が高まりポンドが強含んでいました。

 

本日金相場は、ドル高が一服する中でトロイオンスあたり1270ドルへと多少戻して一週間を終えています。

 

本日は特に大きなニュースがない中、米中貿易摩擦への懸念は多少後退した模様で、ダウ工業株30種平均は下げたものの、S&P500とナスダックは反発して終えていました。

 

なお、本日はOPECの原油増産は緩やかにとどまるとの見方から原油相場が上昇し、石油株が買われて相場を押し上げていました。

 

 

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が今週木曜日に4.1トン減少し、824トンと今年2月15日以来の低い水準となっていたこと。

  • 今週木曜日に他の貴金属同様にプラチナが今週下げ、日本円価格が一時的にグラムあたり3034円まで下げ、2009年2月以来の低い水準となっていたこと。

  • 先週末に発表されたコメックス貴金属の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、歴史的な米朝首脳会談が行われた先週火曜日に、全ての貴金属で増加(もしくはネットショートが減少)していたこと。


  • 金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に11.2%増加し200トンとなっていたこと。


  • それに対し、銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、835%増の6802トンと、過去10年間平均の1.67倍と突出し、2017年11月末以来の高さとなっていたこと。この週間の%の増加は2014年11月末以来のもの。


  • コメックスプラチナの先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日も10週連続でネットショートとなっていましたが、そのポジションは8.27%減少し27トンとなっていたこと。


  • コメックスパラジウムの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に19.31%増の34.45トンとなっていたこと。

ブリオンボールトニュース

貿易戦争が株式市場を揺らしているにもかかわらず、金相場が弱気市場となっていることを解説している、米主要経済サイトMarketWatchの記事で、ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

ここで、エィドリアンはドルの動きが金を押し下げているとし、ドルインデックスが11ヶ月来の高い水準を推移し、今月0.8%上昇したことをこの記事が紹介しています。

ちなみにこの記事では、今週弱気市場を示唆するデットクロス(Death Cross)が起きる水準まで、金の50日移動平均線(1309.13ドル)が200日の移動平均線(1307.76ドル)まで下げてきていることを伝えています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国では、ロシアで開催されているワールドカップの結果がトップニュースで伝えられています。


特に火曜日に行われた6大会連続出場のイングランドチームがチュニジアを2-1で破った際はトップニュースで伝えられていました。


 


イングランドがワールドカップで勝利を収めたのは2大会ぶりで、初戦勝利は2006年の大会以来とのこと。今回のチームはチュニジア戦で2得点を決めたハリー・ケーンキャプテンを含め、ワールドカップ初出場の選手も多い若いチームであることも、期待を高めている模様です。


 


過去2回のワールドカップは期待されながら、前回ブラジルではグループリーグ敗退で、前々回の南アフリカではベスト16であったことから、今回も大きな期待はできないという心持ちで応援している人達も多かったようですので、勝利後の盛り上がりは想像いただけることでしょう。


 


チュニジア戦の翌日はトレーニングは休日だったようですが、サウスゲイト監督がランニング中に肩を脱臼したとのことで、「選手でなくてよかった」というコメント共にニュースにもなっていました。


 


また、同日にサンクトペテルブルグを観光している選手達やスイミングプールでユニコーンの浮き輪に乗ってレースをしている選手達のインスタグラムの写真が紹介されるなど、過去のワールドカップとはなり、チーム全体がリラックスしていることも、勝利の要因とも分析されているようです。


 


明日はパナマとの試合が行われます。チュニジアに勝ったことからも更なる勝利が期待されているようですが、明日もプレッシャーに負けずに彼ららしい伸び伸びとした試合ができることを祈りたいと思います。


 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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