ニュースレター(2018年5月25日)1303.41ドル:ハト派的FOMC議事録発表後の米朝首脳会談中止のニュースで1300ドルを超えて上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のロンドン時間3時の弊社チャート上のスポット価格はトロイオンスあたり1303.41ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格から1.1%上昇しています。
月曜日金相場は、週末の米中の貿易交渉の結果を受けてドルインデックスが上昇したことで、年初最低値のトロイオンスあたり1282ドルまで下げたものの、その下げをほぼ取り戻し1293ドルで終えていました。
この米中貿易交渉の結果とは、中国が数値目標は交渉継続しているものの米からの輸入拡大を約束し、また協議継続中は相互の関税措置は棚上げすることが伝えられたことです。また、イタリア政局への懸念はユーロを弱含ませていたことも、結果的にドルを強めていました。
しかし、年初来の安値で買いが入ったことからも、下げ幅をほぼ取り戻して終えていました。
火曜日金相場は、トロイオンスあたり1296ドルまで上げた後に再び前日終値にほぼ戻すこととなりました。
同日の上げは、トランプ大統領が北朝鮮との首脳会談がキャンセルされる可能性があると述べたことが伝えられ、ドルが弱含み米長期金利が下げたことが要因となりました。
水曜日金相場は、一時トロイオンスあたり1297ドルと1300ドルを試しましたが、超えることが無かったことからも下げ、1295ドルへと戻し終えていました。
これは、トランプ大統領が米朝首脳会談を延期する可能性を示唆し、中国との貿易交渉の進捗状況にも不満を表明したこと等から世界株価が下げたこと等が要因となった模様です。
しかし同日発表されたドイツの製造業PMIや英国の消費者物価指数が悪化していたことからも、これらの通貨が下げることで相対的にドルが上昇する中、同日の上げ幅を失ったことからでした。
なお、市場注目のFOMC議事録は同日英国時間午後7時に発表され、ハト派的内容という解釈で同日の下げ幅を取り戻して終えていました。
このFOMC議事録では、6月の利上げを示唆しながらも、インフレ率が目標から若干オーバーシュートしても問題ないとの認識を示し、より積極的な引き締めには急いでいないことを示唆していたことからもハト派的という解釈となったようです。
木曜日金相場は、トランプ大統領が米朝首脳会談を中止すると発表したことから、安全資産の買いが入り、日本円が強含むとともに、米国債も買われて利回りが3%を割って下がる中、トロイオンスあたり1305ドルへと上昇することとなりました。
また、前夜遅くにトランプ政権が安全保障を理由に自動車の関税を最大25%まで引き上げることを検討していると報じられたことからも、同日は自動車関連株が下げ、貿易摩擦を悪化させるという懸念からも世界株式は下落していました。
本日金曜日は、昨日の上昇で売りが先行したものの、ロンドン時間昼過ぎに発表された米耐久財受注が-1.7%と予想の-1.4%も下回り、ロイター・ミシガン大学消費者信頼感指数も予想を下回ったことから、トロイオンスあたり1307ドルまで上昇した後に、1300ドルを超える水準で堅調に推移しています。
その他の市場のニュ―ス
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WTI原油価格が月曜日に2014年以来の高水準を付けた後、ロシアのエネルギー関連の大臣が来月のOPECで減産を段階的に廃止することを話し合うことを強調したことが伝えられたことで、3日連続で下げていたこと。 -
今週金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は月曜日に3.2トン減少し852トンと、4月4日以来の低い水準となっていたこと。 -
先週末に発表されたコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日に金価格がサポートのトロイオンスあたり1300ドルを割った際に、40.47%減少し97トンと、昨年FRBによる利上げ観測が広がっていた7月18日以来の低い水準となっていたこと。 -
銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、3週連続のネットショートでありながらも、そのショートポジションは17.3%減少し2496トンとなっていたこと。そのため、銀のネットポジションはネットロングとなった4月24日の週を除いて、2月13日の週から記録的な水準でのネットショートが継続。
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コメックスプラチナの先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日も6週連続でネットショートで21.49トンと、昨年8月1日以来の高い水準となっていたこと。
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パラジウムの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に6.8%増の27トンとなっていたこと。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週は、さすがにロイヤルウェディング絡みのニュースは落ち着きましたが、先週はここではプラチナウィークについてお伝えしたので、少しロイヤルウェディング後に伝えられていたニュースをお伝えしましょう。
まず、メガンさんのウェディング。ご存知のようにこのドレスは、ジバンシィの初の女性アーティスティック・ディレクターに選ばれた、英国人のクレア・ワイト・ケラーさんのもの。そして、メガンさんのドレスのデザイナーが誰であるかは当日までのトップシークレットであったとのことで、ジバンシィに勤めるこのドレスに関わってきた人々もメガンさんのドレスであったことは知らされていなかったようですが、クレアさんの家族ですらも知らされていなかったとのこと。
そして、メガンさんのブーケについて。これは、フローリストのフィリッパ・クラドックさんのデザインとのことですが、このブーケはこれまでの王室の伝統にならい、挙式後はウェストミンスター寺院の無名戦士の墓に捧げられたとのこと。こらは、現在のエリザベス女王の母エリザベス王妃が、第一次世界大戦で戦死したお兄様をしのんで、結婚した翌日にウェストミンスター寺院の無名戦士の墓に手向けたのが始まりで、キャサリン妃も同様に捧げたとのこと。
なお、このブーケにはハリー王子がケンジントン宮殿で自ら摘んだ花々やダイアナ妃が好きだった忘れな草が含まれていたとのこと。
最後に、本日ロイターが伝えているメガン効果による金需要の増加についてご紹介しましょう。
メガンさんの婚約指輪は昨年11月に婚約が発表された時に、ハリー王子がデザインをしたこと等が話題となっていましたが、この指輪はメガンさんが好むイエローゴールドが使われているとのこと。そして、本日のロイターの記事によると、米国ではメガン効果でイエローゴールドの宝飾品の需要が、今年の第一四半期で2009年以来の高い水準となっているとのことです。
また、結婚式でご覧になったようにハリー王子とメガンさんは結婚指輪をお互いに交換していましたが、英国王室で男性が結婚指輪を着用するのはとても珍しいことであるとのことです。そのため、エリザベス女王の夫のフィリップ殿下、ウィリアム王子、チャールズ皇太子は、結婚指輪を着けていません。実際に1996年に発行されたエチケットガイドによると、英国では上流階級の方々は、男性は結婚指輪を着用するのは一般的ではないと記載されているとのことですが、これもハリー王子の伝統にこだわらない生き方を象徴しているのかもしれません。
なお、メガンさんの結婚指輪は王室の伝統でもある英国ウェールズで取れる金で作られたウェリッシュゴールドで、ハリー王子はプラチナの結婚指輪を選んだとのことです。