ニュースレター(2018年3月29日)1323.85ドル:貿易戦争の懸念後退、好調な米GDP、中朝首脳会談による緊張緩和等で金は大きく下落
英国は明日からイースター(復活祭)の祝日で4連休となります。そこで、ニュースレターを本日お届けします。
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1323.85ドルと前週同価格から1.7%下げています。しかし、前四半期比では2.1%上げており、昨年同四半期最終日比では、6.3%の上げとなっています。
その他の市場のニュ―ス
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金ETFのSPDRゴールドシェアの残高は今週水曜日までで4.4トン減少し、846トンとなっていること。
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銀が金の上げ幅に劣る動きをしていることから、金価格と銀価格の比率を表す金銀レシオが2年ぶりの低さの81.2を今週月曜日につけていたこと。
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先週末発表された先週火曜日のコメックス貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、FOMCの政策金利が発表される前日であったことからも、先週に引き続き、全ての貴金属でネットロングが減少していたこと。
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金の先物・オプションの先週火曜日の資金運用業者のネットロングポジションは、16.35%減の378トンで、2週連続減少で今年最も低い水準であったこと。
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銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日も6週間連続でネットショートで、そのネットショートポジションは2006年6月にこのフォーマットで記録されて以来の最大で5470トンとなっていたこと。
- プラチナの先物・オプションのネットロングポジションもまた、先週火曜日に23.69%減の30トンと、4週連続で減少し、今年1月9日以来の低さへと下げていたこと。
- パラジウムの先物・オプションのネットロングポジションも5.17%減で37トンと、2016年11月15日以来の低い水準へと下げていたこと。
CNBCのMoneyControl番組で、ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュがインタビューを受け、2018年の第1四半期の金相場についてまとめ、第2四半期以降の相場予想について答えています。
第1四半期で特筆すべきことは、①2013年以来の最も高い金の四半期の終値であること②2四半期連続で実質金利の上昇と共に金が上昇していること③米国株価が2015年以来初めて四半期比で下げ(る模様)、株価下落時に金が上昇したのは2011年以来。このような金にとってはポジティブな新しいパターンが見られたこと。
金相場予想としては、1340ドルがクリティカルレベルだが、これを超え1375ドルを超えれば、1400ドルの可能性が見えてくる。これには、FRBなどの主要中銀の政策金利が鍵となるとし、もしインフレが伸び悩み、政策金利の引き上げが停滞すれば金にとっては追い風となるとしています。
ロンドン便り
今週も英国では先週に続き、ロシアの元2重スパイであったスクリパリ氏とその娘のユリアさんの毒殺未遂事件の進展状況が日々主要メディアで取り上げられています。今週の新たな動きは、ロシアの外交官を米国を含むEU主要国が追放したこと、またこの毒殺未遂に使われた神経剤が大量にスクリパリ氏の玄関のドアで感知されたことなどですが、今週は少し政治から離れてスポーツに関するニュースをお伝えしましょう。
本日お伝えするニュースは、日本ではあまり知られていない英国発祥のクリケットというスポーツで、オーストラリアの代表選手が試合中に不正を行ったことが発覚したというものです。
この不正は今月24日のオーストラリア対南アフリカの試合中に起こったのですが、オーストラリア代表チームのキャメロン・バンクロフト選手が粘着テープのようなものをボールにこすりつけている場面がこの試合を放映したテレビカメラに写っていたことから問題となり、関わった選手がその不正を認めたことからも、昨日オーストラリアのクリケット協会は、この不正に関わった代表チームの主将スティーブ・スミス選手と副主将のデビット・ワーナーとバングロフト選手3名に対し、最大1年間の出場停止処分を科すと発表したのでした。
クリケットは16世紀初頭の英国のチューダー朝時代まで遡ることができる伝統的な英国発祥のスポーツで、英国連邦国のインド、パキスタン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどを中心に100以上の国と地域で現在は活発にプレーされており、その競技人口はサッカーに次ぐ世界3位と言われています。
そして、このスポーツは英国では著名な公立、私立校などでプレーされる紳士のスポーツとも言われており、世界でも有数の選手であるオーストラリアのスミス主将も関わっていたことからも、今回の不正事件の衝撃は英国においても大きかったようです。
不正が発覚したその日には、即座にターンブル豪首相は「国民の模範でクリケットはフェアプレーの代名詞だ、信じられない、おおいに失望している」と述べていることからも、このような不正は過去にも稀であったことがお分かりいただけるでしょう。
本日ロンドン時間午後にはオーストリア代表チームのリーマンコーチも辞任しており、このチームや選手のスポンサー企業のLG社や朝食のシリアルWeet-Bixのサニタリウム社もスポンサーから降りることになるようで、選手やチームへの経済的なダメージも大きくなりそうです。
プロであるから勝つことで収入も増え、勝ち負けへのこだわりが出るのでしょうが、勝つために手段を選ばないという考えを持ってしまったのであれば、国民や特に若い世代の模範でもあるべき国の代表選手としての認識が足りなかったのではないかと、才能のある選手達の今後も思い、残念に思います。