金市場ニュース

ニュースレター(2018年11月16日)ブレグジットやイタリア予算案等欧州発リスクで金は上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の価格は1221.95ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.9%上昇しています。また銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり14.29ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.3%下げています。

今週は欧州の政治リスクで安全資産としての金需要が高まり、1週間ぶりの高値を付けることとなりました。それでは、曜日ごとにその動きを追ってみましょう。

月曜日金相場は前週に続きドル高が継続する中でトロイオンスあたり1200ドルまで一時下げることとなりました。

これは、前週のFOMC後利上げ観測が広がっていることと、英国のブレグジットを巡る混乱とイタリアの予算案の修正提出のデットラインが翌日に迫る中で、ポンドとユーロが大きく下げ、ドルを押し上げていたことからでした。

そのために、ドル建ての金相場は下げているものの、ポンド建てとユーロ建ての金相場はそれぞれ0.9%と0.6%上昇していました。

火曜日金相場は、前日18ヶ月ぶりの高さまで上げたドルインデックスが下げる中、一時トロイオンスあたり1200ドルを割り1196ドルまで下げた後1202ドルまで戻して終えていました。

ドルインデックスが下げたのは、今年月末に行われるG20サミットで予定されている米中首脳会談を前に米中閣僚会議を開始したという報道が要因となりました。

そして、同日ドルを相対的に押し下げていた英国ポンドとユーロの上げは、前夜メイ首相がブレグジット交渉が最終局面に入ったと述べ、同日は英閣僚が最終案合意のために召集されたことが伝えられ、同日発表の英国の個人所得が上昇していたことから対ドル上昇していることも要因となりました。

なお、同日デットラインとされているイタリアの予算案再提出については、イタリア政府は大幅な変更を拒否していることが伝えられていますが、ユーロは昨年6月以来の前日の下げ幅を多少戻していました。

水曜日金相場は世界株式が全般下げ、米国株が5日連続で下げる中、トロイオンスあたり1216ドルまで一時上昇することとなりました。

米国株価の下げはアップルや金融株の下げが重荷となっているものの、同日発表の中国の小売売上高が中国経済の鈍化を示すもので米中貿易摩の影響が鮮明になりつつあることも要因となりました。

また、欧州株はイタリア政府が修正要求に応じない方針を決めたこと、英国株は同日午後の臨時閣議で英国の欧州連合(EU)離脱協定に関する原案が協議されていたことから、閣僚が同案を承認するか不透明であったことから押し下げられていました。しかし、離脱協定案は英国時間夕方に了承されることとなりました。

同日は米国消費者物価指数も発表されましたが、ほぼ予想通りとなり、市場ヘの影響は限定的となりました。また、市場が注目していたパウエルFRB議長の講演では、段階的な利上げが確認され、トランプ政権の貿易戦争で関税の対象が広がれば、景気減速やインフレの可能性が出てくると述べたものの特にサプライズはありませんでした。

木曜日ドル建て金相場は、英国の政局がEU離脱の離脱協定案を巡り混迷する中でトロイオンスあたり1216ドルへと一時上げたものの、全般狭いレンジで推移することとなりました。

同日はラーブ離脱相が前夜閣議で合意された離脱協定案に反発しロンドン時間午前9時過ぎに辞任し、その後も主要閣僚一人と閣外相2人も辞任し、同日は与党の有力議員が党首のメイ首相の不信任決議を求める書簡を提出したと伝わったことからも、ポンドは対ドル2週間ぶりの水準へ弱含み、ポンド建て金相場はトロイオンスあたり953ドルと2週間ぶりの高さまで上昇することとなりました。

なお、同日発表の米経済指標の小売売上高とニューヨーク連銀製造業景気指数は予想を上回ったものの、フィラデルフィア連銀製造業景気指数は予想を大きく下回る等まちまちの結果となっていました。

本日金曜日は、市場が英国政局を見守る中で金相場は狭いレンジでの取引となっていましたが、ロンドン昼過ぎにトロイオンスあたり1225ドルまで一時上昇することとなりました。

これは、ドルインデックスが下げたことに反応したことからでした。この要因はFRBの副議長の「米金利がFRBが中立とみなす水準に近づく」と述べたことが伝えられたことのようですが、また今月末のG20での米中首脳会談で結果が生み出せるのかへの懸念もある模様です。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高は今週木曜日までで6トン増の761トンとなっていたこと。

  • 先週末に発表された、コメックス金先物・オプションの資金運用業者ポジションは、先週火曜日に米中間選挙の結果を待つ中、17週連続でネットショートではあったものの、そのネットショートポジションは17%減で116トンとなっていたこと。また、

    いまだショートポジションは過去10年間の3.36倍で、ロングポジションは過去10年間の58%。


  • コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日に金同様に17週連続でネットショートであったものの、そのネットショートポジションは、17%減の3162トンとなっていたこと。


  • それに対しコメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者ポジションは、先週火曜日に30週ぶりに16トンのネットロングとなっていたこと。


  • ちなみにコメックスのパラジウム先物・オプションの資金運用業者ポジションは、先週火曜日も引き続きネットロングで、そのポジションも7.66%増の39トンとなっていたこと。


  • 月曜日に原油価格が前週末行われた産油国の会議でサウジアラビア等が減産を発表したことから反発したものの、トランプ氏の原油安を望むというツィートで再び上げ幅を失って1年ぶりの安値を13日付けていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週の主要イベントは英国のEU離脱関係の英国内での動きと25日に行われる離脱協定草案を加盟国レベルで協議する臨時EU首脳会議、そして水曜日の欧州委員会によるイタリア予算案への最終的な判断となりますが、それに加えて火曜日の日銀金融政策声明、米住宅着工件数、水曜日の米耐久財受注と米中古住宅販売件数とロイターミシガン大消費者信頼感指数、金曜日のドイツの第3四半期GDPとドイツ、ユーロ圏、米国のMarkit製造業PMI等となります。

ブリオンボールトニュース

今週中東の主要経済サイトのThe Nationalの「ボラティリティの高まる世界株式市場のための5つの安全資産」の記事で金が紹介され、弊社リサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

ここでエィドリアンは、世界同時株安が金の需要を高めているとし、「11月の上昇は頭が抑えられているが、個人投資家の需要は引き続き強いものがある。金融危機の際に見られたように、他の資産が低迷する際に金は良いパフォーマンスを見せる。」とコメントしています。

 

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国は来年3月29日に迫る英国のEU離脱のための離脱協定案、そして主要閣僚の辞任などと政局を中心のニュースが日々伝えられています。もうすでに先の週間市場ウォッチでも市場を動かしたイベントとしてお伝えしていますが、今後の流れについて簡単にここで時系列でお伝えしましょう。

英国政府が望む最善の流れは下記のようになります。

11月25日臨時EU首脳会議で離脱協定草案を加盟国レベルで協議し承認➡12月中に英国議会で離脱協定草案を協議、承認2019年初頭に離脱協定案を欧州議会で協議、承認(過半数である必要)欧州委員会で協議、承認(20か国で人口65%以上)2019年3月29日に英国がEU離脱し、2020年12月(延長可能)までの移行期間開始

しかし、来月英国議会で承認されるのは現段階では厳しいと見られています。その場合のシナリオは下記のようになります。

11月25日臨時EU首脳会議で離脱協定草案を加盟国レベルで協議し承認12月中に英国議会で離脱協定草案を協議英国議会で否決英国政府が21日間に新たな案を提出

その後の可能性は下記の通りとなります。

①合意の無いEUからの離脱(いわゆるハードブレグジット)

EUとの更なる協議(EUが協議延長を認めた場合)

③英国総選挙(メイ首相が政局を乗り切るために議会解散をした場合)

④国民投票(EU離脱の是非を再度国民に問う)

なお、メイ首相への不信任書簡が既に一部の保守党議員によって提出されていますが、48名の保守党議員によって提出された場合は、保守党議員による不信任案投票が行われることとなります。本日の段階では48名の書簡は集まっていないようですが、週末にそれぞれの選挙区に戻り有権者と話した議員が月曜日以降動くのか等、来週もまた一つの山場となるようです。

そこで、来週も弊社フェイスブックツィッターでブレグジット関連は細かくお伝えしていきたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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