金市場ニュース

ニュースレター(2017年11月24日)1290.50ドル:感謝祭の休暇前に米経済指標悪化とハト派的FOMC議事録で金価格上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1290.50ドルと前週同価格から0.5%上昇しています。

月曜日金相場は、株価が上げドルが強含む中、金曜日の上げ幅を失いトロイオンスあたり20ドル弱大幅に下げることとなりました。

今週は米国が木曜日が感謝祭の休日で水曜日までと短い週であることから、先週既に調整の取引(株下落、金上昇)が入っていたことからも、先週末の逆の動きが起きていたようでした。

なお週末にドイツの3党連立協議が決裂したことで、市場開始時には欧州株は売りが先行していましたが、その後政局の混乱はドイツの経済の強さに影響はないだろうということで上昇し、米国株もその基調を受け継ぐこととなりました。

また、同日は先のドイツ政局の不安からユーロが下げユーロ建て金相場は一時1103ユーロを超えていましたが、その後ユーロが戻し1087ユーロまで16ユーロ下げることとなりました。

火曜日、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数とナスダック総合株指数が史上最高値を付ける中ドルが多少ながら弱含み、金相場は前日の下げ幅を多少取り戻し、トロイオンスあたり1282ドル前後を推移することとなりました。

なお同日は、ECB関係筋の話として、今後の金融政策は大きな変更ではなく、複数の小規模な変更となるだろうと伝えられたこと、そしてメイ英首相のEU離脱の際のEUへの清算金増額が、主要閣僚によって合意されたと伝えられたこと等からリスクオン基調となり欧州株価は上昇していました。

なお、前日の対米関係悪化によるトルコリラの急落やトランプ大統領が北朝鮮をテロ支援国家に再指定したこと、メルケル独首相が少数政権よりも再選挙を望むとした地政学、政治リスクの市場へ影響は最小限にとどめられたようでした。

水曜日金相場は、10月31日と11月1日に行われたFOMCの議事録の発表を待つ中、ドルが弱含みトロイオンスあたり1290ドルを超えて上昇していました。

同日は先の発表を待つ中米耐久財受注が発表され、予想の0.3%を下回る-1.2%となり、これが注目されドルが売られ米長期金利が低下していました。また、イエレンFRB議長は前日、金融引き締めのペースが速すぎることでインフレーション目標値2%未満にとどめるリスクがあると警告していたことが伝えられていました。

その後発表された市場注目のFOMC議事録では、12月利上げの姿勢に変わりはなかったものの、インフレの低さへの懸念も明らかになり、ハト派的との解釈でドルが下げ、金が上昇することとなりました。

木曜日金相場は、日本は勤労感謝の祝日、米国は感謝祭の祝日で薄商いの中、ドルが弱含みトロイオンスあたり1288ドルと1292ドルの間の狭いレンジで推移することとなりました。

同日は中国株が3%下げ、1日の下げ幅としては2年弱ぶりの大きなものとなっていました。そこで、欧州株も下げで始まりましたが、同日発表の製造業PMIが良好であったこと、ドイツの政局も再選挙を免れる可能性も出てきていることなどから、ユーロが5週間ぶりの高さへと上げる中、一転上昇することとなりました。

本日金曜日金相場は、感謝祭翌日で休暇を取る市場参加者も多く引き続き薄商いの中、前日同様にトロイオンスあたり4ドル幅の狭いレンジでの取引となっています。

今週の上げを自律的反発で戻していた以外の目立った動きとしては、ロンドン午後に米国の製造業PMIが発表され、予想を下回ったことからもドルが弱含み一時的に金が上昇していましたが、その後戻しています。

その他の市場のニュース

  • 先週末発表されたコメックス金先物・オプションの資金運用者のネットロングポジションは先週火曜日に、4.29%増加し、563トンと2週連続で増加していたこと。これは過去6週間で最も高い水準。
  • 先週火曜日の銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも3.90%増加し、過去9週間の中で最も高い水準となっていたこと。
  • プラチナの先物・オプションの資金運用業者のポジションは、3週間ぶりにネットロングとなっていたこと。
  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの金残高は、先週月曜日13日から今週木曜日まで全く変化がなかったこと。
  • 世界の金消費第5位のトルコの通貨リラが対米関係悪化を嫌気して史上最低値を更新したこと。

ブリオンボールトニュース

金相場の動きを解説する米主要経済サイトMarketWatchの記事で、ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられてました。 この記事では、ドルが弱含む中金が月曜日の下げ幅を多少回復したことを伝え、エィドリアンの「金現物の需要は、現在アジアの主要市場やロンドン地金専門市場で低い。そのため、コメックスの投機家が相場を動かしている。トレーダーは実際の金現物を動かすことなく(派生商品を)売買し、市場を試しているようだ。」というコメントを紹介していました。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週は、英国ではハモンド財務相が予算案を発表し、このニュースが見出しを飾っていましたが、本日は今週月曜日に結婚70周年を迎えたエリザベス女王とフィリップ殿下についてお伝えしましょう。

結婚記念はそれぞれ節目で名前がついていますが、50年の「金婚式」、60年の「ダイヤモンド婚式」、に続き70周年は、「プラチナ婚式」とのこと。

エリザベス女王は今年91歳で、フィリップ殿下は96歳。エリザベス女王は今年即位から65年を迎え、英歴代君主の在位最長記録を持っていますが、結婚70周年を迎えた君主も英国で史上初とのことです。

お二人はかなりさかのぼると遠縁ではあるようですが、エリザベス女王はフィリップ殿下に13歳で出会った際に一目ぼれをしたとも伝えられており、チャールズ皇太子をはじめ4人の子宝に恵まれたお二人の仲の良さはよく知られています。長い結婚生活の中では、末っ子のエドワード王子を除き3人の子供たちが離婚を経験し、ダイアナ妃の事故死など、必ずしも順風満帆な家族生活ではなかったようですが、お二人の絆は常に固かったようです。

昨年からNetflixのテレビドラマ「ザ・クラウン」でもお二人の人生が描かれるなど、若い世代のエリザベス女王とフィリップ殿下への親近感も高まっているようですが、70年という年を共に重ね、フィリップ殿下はエリザベス女王の公務を支え、常にお互いをいたわる姿を見せてきたお二人のことは、君主制廃止論者の人達ですらも英国社会に必要な存在と認めているようです。

10年前のダイヤモンド婚式では2000人を招いて記念ミサなどが盛大に行われましたが、今回は家族と友人との食事会がウィンザー城で行われる以外は公的行事は予定されていないとのこと。

フィリップ殿下は今秋公務からは引退されましたが、これからもお二人がご健康でお幸せに暮らされることを心からお祈りしたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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