ニュースレター(2014年4月4日)1297.25ドル 米雇用統計が予想を下回り価格を押し上げる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1297.25ドルと、0.2%の上げとなっています。
週明け月曜日は、200日移動平均を下回った前週の流れを受け、金価格は下げることとなりました。
これは、ロシア軍がウクライナ東部国境地帯から一部撤収を始めたことが伝えられたことでウクライナ情勢が沈静化したと市場が見たこと、また、同日米国時間でイエレンFRB議長がシカゴで公演し、長期失業者、賃金カットをされた雇用者、正規雇用を望むパートタイムが未だ多くいること雇用状況について言及し、前回のFOMCよりハト派的コメントであったことが好感され、株式市場が上げたことも、金価格を押し下げる要因となりました。
火曜日もまた、金価格は下げることとなりました。これは、前日同様ウクライナ情勢の鎮静化と、当日発表された米国ISM製造業景況指数が前回を上回ったことなどから、S&P500種平均株価指数が過去最高値を付けたことなどからです。
水曜日は金曜日発表の米国雇用統計の先行指標であるADP全国雇用者数が発表され、その数値は19.1万人と、前回修正値17.8万人を上回ったものの、予想の19.5万人を下回りました。また、前回数値は13.9万人から上方修正され、内容的には雇用が改善されたことを示唆するものであったものの、発表後トロイオンスあたり1292ドルと10ドルほど急騰することとなりました。
この上げの背景には中国でのプレミアムがプラスに転じたことから、アジアの需要の高まり期待の高まりもあったようです。
木曜日は前日の反発で下げることとなりました。また、当日欧州中央銀行の金融政策発表が行われ、政策金利は据え置かれたものの、発表後の会見でドラギECB総裁が、量的緩和は話し合われたものの実施には至らなかったというコメントで、資産買取等の可能性が示唆されたことから、ユーロが下げドル高となったことも金価格を押し下げることとなりました。
本日金曜日、市場注目の米雇用統計は、3月非農業部門雇用者数が19万2千人と予想の20万人を下回ったものの、前回数値は17万5千人から19万7千人へと上方修正されました。失業率は、6.6%へと下げることが予想されていましたが、6.7%と前回同様となっています。
この発表前から上昇していた金価格は、雇用者数が予想を下回り、失業率も予想通りに改善しなかったことから、金価格は急騰し、ロンドン時間16時において、1304ドルと20ドルほど上昇しています。
他の市場のニュース
- 需要縮小や人民元安で中国の金輸入が過去1ヶ月で減少をしていることをロイターが伝えたこと。
ブリオンボールトニュース
ブリオンボールトがまとめ今週火曜日に発表した、欧米の個人投資家の金投資傾向を示す金投資家インデックスの3月数値について、ビジネスウィークで取り上げられました。この日本語プレスリリースは、ゴールド関係の情報を網羅する日本のゴールドニュースサイトでも「[金投資家インデックス]第1四半期もまた投資家心理は「強気」で終了」と取り上げられています。
また、米国主要経済サイトのThe Streetにおいて、ブリオンボールト米国市場開発責任者のミゲル・ペレスーサンタイアが、ブリオンボールトが今週発表した金投資家インデックスについてインタビューを受けました。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
- ブリオンボールトリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「金急落時の売却分が8%低い価格で買戻される」
- ブリオンボールトの米国市場開発責任者のミゲル・ペレスーサンタイアの「高頻度取引(HFT)をめぐるセンセーショナルな報道について」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週火曜日はエープリルフールでした。英国メディアでは昔からこの日に、ユーモアを交えて作り上げたニュースを報道する習慣があります。そこで、今週は今年報道されたエープリールフールのニュースをお届けしましょう。
今年は、スコットランド独立に関する住民投票が行われることからも、スコットランド独立関係のエープリールフールのニュースが多く報道されていました。それをリストアップすると次のようになります。
- 「スコットランドが独立した際は、ヨーロッパの一国として右側通行へと変更」ガーディアン紙
- 「スコットランド独立を記念し、2015年4月1日から1ポンドコインの人物をエリザベス女王からアレックス・サモンドスコットランド国民党首へと変更」テレグラフ紙
- 「スコットランド独立後は、スチュワート朝の最後の王の子孫である、90歳代のドイツの伯爵がスコットランドを統治」タイムズ紙
- 「政府の秘密文書によると、スコットランドの独立に備え、英国国旗のデザインのスコットランドの部分の白で描かれるxを取り除くことを考慮」ディリーメール紙
- 「スコットランド独立後の混乱に備え、国連がスコットランドと英国の国境に国連軍を配備することを検討」インディペンデント紙
スコットランド独立関連以外のエィプリールフールのニュースは次のようなものでした。
- 「サフォックスの農場で鶏が四角い卵を産んだ」ディリーエクスプレス紙
- 「エリザベス女王がバッキンガム宮殿の敷地内でシェールガスの採掘のためにフラッキングをすることを承認」サン紙
- 「北朝鮮のキム・ジョンウン第一書記がワン・ダイレクションの入国を、キム・ジョンウン氏と同じヘアカットにしない限り認めないとしたこと」ディリー・ミラー紙
ちなみに、BBCでは1957年にスパゲッティのなる木というニュースを映像付きで流したことも伝えていました。ユーモアを知的娯楽と見る英国人ならではの凝りに凝ったエィプリールフールのニュースの数々です。個人的には、ディリーミラー紙のニュースには思わず吹き出してしまいましたが、スコットランド独立が英国人の重要トピックであることは、これらのニュースからも明らかのようです。