金市場ニュース

ニュースレター(2月27日)1214ドル イエレンFRB議長のハト派的コメントと休暇明けの中国の高い需要で上昇した金相場はドル高で押し戻される

週間市場ウォッチ

今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1214ドルと前週同価格から0.5%の上げとなっています。

週明け月曜日は、前週金曜日遅くにEUがギリシャへの金融支援を4か月間延長することで合意したことから、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性が低下し たとして、ロンドン早朝に金相場は下げ始め、トロイオンスあたり1200ドルを割ったところで、ストップロスが入り、1990ドル近くまで更に下落しまし た。しかし、その後反発をして下げをとり戻すこととなりました。

翌火曜日は、ギリシャ政府が金融支援延長の前提となる財政構造改革案を欧州連合(EU)に提出し、EU側が承認したことから、欧州の株価は上げ、金 相場は押し下 げられていました。しかし、ロンドン時間午後のイエレンFRB議長の議会証言の内容が、ハト派的であることが伝えられ、トロイオンスあたり1200ドルを 越えて上昇しました。

今回の議会証言では、金利引き上げ時期は「ミーティング毎に考慮する」が、「今後数回のミーティングでは行わない」とし、「『忍耐強く』という言葉 が消え ても金利引き上げに自動的にはならない」としたことからも、金利引き上げが当初の予想の9月から少なくとも10月へと先延ばされたと解釈されたことからで す。

水曜日は、中国が春節の休暇から戻り、アジア時間にトロイオンスあたり10ドルほど上げましたが、欧米株価が上昇する中、緩やかに下げることになりました。同日行われたイエレンFRB議長の議会証言では、真新しい内容はなかったものの、イエレン議長の「金利引き上げを考慮している」としたものの「特に新たな視点は見当たらない」とも述べたために、ハト派的という解釈となったようです。

また、同日ドラギECB総裁が、欧州議会に出席し、3月から始まる量的緩和について「インフレ動向がECBの目標に沿って持続的に調整されていると理事会が判断するまで継続すると述べた」ことからも、欧州株価と共に金相場も支えることとなりました。

木曜日は、アジア時間からロンドン午前中まで中国の需要の高さが好感され、金相場はトロイオンスあたり1220ドル近くまで上昇しましたが、ロンドン昼過ぎに発表された、米国消費者物価指数が原油安から前月比-0.7%減となったものの、コアの消費者物価指数は前月比0.2%と予想を上回ったことから、長期金利が上昇しドル高が進み、金相場は押し下げられることとなりました。

本日金曜日は、ロンドン時間に上昇し、午後4時過ぎ現在1216ドルとなっています。

本日注目されていた米第4四半期GDPは、2.2%と予想2.1%を上回ったものの前回2.6%を下回ることになりました。昨日に続きドル高と株高は続いているものの、月末であることもありポジション整理も進んでいる模様です。

その他市場のニュース

  • 中国への香港からの金の輸出が、1月に76.118トンと前月の過去三ヶ月で最低水準の71.381トンから増加したことが伝えられたこと。
  • 中国が人民元建て金の値決め価格を今年ローンチすると伝えられたこと。

ブリオンボールトニュース

今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週は、英国主要メディアで取り上げられていた、2人の著名政治家が絡んだニュースをお届けしましょう。

それは、元外相で情報安全保障委員長のマルコム・リフキンド保守党議員と、労働党政権時内相や外相を歴任したジャック・ストロー議員が、中国企業の幹部を装った、英国主要メディアのレポーターによって、「Cash for access(両議員がその経験や政界財界のコネクションの対価としてのコンサルタント料について話している)」のビデオが暴露され、大きく報道されていました。

英国の政治家は議員でありながらも、副業を持つことは許されています。そのため、彼等のコンサルタント料について話したことが違法ではありません。しかし、この報道後に行われたいくつかのインタビューで保守党内でのサポートを失い、リフキンド保守党議員は、情報安全委員長と議員職を辞職せざるを得なくなりました。

そのインタビューでは、リフキンド保守党委員は、まず謝罪することを拒否し、「(彼の経歴からも)議員の67,000ポンド(約1200万円)に加えて収入を得る権利がある。」と述べたことが、世論を敵に回すこととなりました。

また、総選挙を5月に控えて、保守党内部でもこの一件は早急に片付ける必要もあったようです。

英国の国会議員の給料(歳費)は、日本の2200万円と比べると半額ほどです。しかし、英国の平均的給与は26,000ポンド(約468万円)であり、一般庶民にしてみると、一日に5000~8000ポンド(約90万~144万円)のコンサルタント料が当然と語るリフキンド議員の態度は許せなかったのでしょう。

ちなみに、労働党のジャック・ストロー議員は、既に次回の総選挙には出馬しないことを表明していたことからも、この一件が大きな問題とされることはなかったようです。

有能な人々に政治家として一国を任せたいものの、あまりにも庶民とかけ離れた価値観を持つ人々には任せられないというジレンマが垣間見られたニュースでした。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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