ニュースレター(2月19日)1231.15ドル:ハト派的FOMC議事録、株安で金相場が先週末の高水準へ戻す
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1231.15ドルと前週同価格から0.7%下落しています。
週明け月曜日は、中国が春節の休暇から戻り、米国が大統領の日の祝日で休場となる中、金相場は下落することとなりました。
これは、先週の株安の不安が一段落する中、アジア、欧米株価が上昇したことからです。また、ECBが資産買取の一環でイタリアの銀行の不良債権を購入するという情報も好感された模様です。
翌火曜日の金相場は、前日の下げ基調を受け継ぎ、トロイオンスあたり1190ドルまで下げたものの、その後欧州株式が前半の上げを失う中、上昇することとなりました。
水曜日金相場は、欧米株価が上昇する中、前日よりも狭いトロイオンスあたり1196~1213ドルレンジ内での取引となりました。
市場注目のFOMC議事録では、中国経済減速、これが新興市場やメキシコ、カナダ等の米国の重要な貿易相手国の経済金融面の緊張を高めかねない、更 に金融市場の世界的なボラティリ ティの高まりも懸念材料となっているとし、経済見通しへの下振れリスクが高まったとの見解が示されました。また、インフレ見通しにも「幾人か」の当局者が 不安 を抱き始めているとも記載されていました。そのために、利上げペースが緩やかなものとなる可能性があると市場は判断することとなりました。
発表後は、NY市場時間外でしたが、内容的には想定内ということもあり、金相場には大きな動きは見られませんでした。
木曜日金相場はトロイオンスあたり1230ドルを超え、先週末の水準まで上昇しました。これは、前日のFOMC議事録が金利引き上げペースが緩やか なものとな る可能性があると市場は判断したことが背景にある中、終値ベースで欧米株価が下げ、ドルが弱含み、金価格が上昇する中、ショートカバーも入ったことが要因 の模様です。
本日金曜日は、昨日の上げの調整からアジア時間で下げていましたが、ロンドン時間でその下げを取り戻しつつありました。しかし、本日発表の米国消費 者物価指数が前月比予想と前回の-0.1%を上回る0.0%(前年比前回0.7%と予想の1.3%を上回り1.4%)であったことから、多少下げたもの の、1230ドルを推移しています。
その他の市場のニュース
-
1月のインドの金の輸入が前年比85%増の30億ドル相当となったことが、インドの主要経済紙Economic Timesで伝えられたこと。 -
金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高が今年に入り71.3トン増の713トンと、2012年9月以来のペースで急増していることが明らかとなったこと。
ブリオンボールトニュース
先週の金価格高騰を受けて、先週末にも多くの欧米主要メディアでブリオンボールトが取り上げられています。
-
英国金融街向け経済日刊紙CityAM「市場が混乱する中金が急騰」
ここでブリオンボールトのリサーチ主任、エィドリアン・アッシュの「金は他の資産が悪い時に良い パフォーマンスを見せる。」と述べ、「資産運業業者が金を買っているのは、他に投資できる資産がないからだ。金は債券でなく、株でもなく、通貨でもない。 金は金融システムの保険なのだ。」というコメントが取り上げられています。
-
英国主要日刊紙テレグラフ「投資を市場暴落にどのように備えるか」
この記事では、金投資の手段として、金のETFや金貨と共に、ブリオンボールトが紹介されています。
-
英国主要金融サイトThis is Money「世界同時株安で懸念を高める投資家が安全資産を求め、金価格を過去1年で最高水準の1250ドルへ押し上げた」
この記事でも金投資方法の一つとして、ブリオンボールトが紹介されています。
この記事では、ブリオンボールトの顧客が先週木曜日に、2013年6月以来の高水準の450キロの金地金を売買したことが伝えられています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
-
主要経済指標(2月15日~19日) -
地上に現存する最も高価な物質の重量あたりの価格比較 (インフォグラフィックス)
ロンドン便り
今週英国では、昨日から行われているEU首脳会談で、キャメロン英首相が英国をEUに残留させるための改革案の最終合意へ向けての話し合いについて大きく伝えられています。
この改革案は、キャメロン首相が提案し今月11日にEU交渉担当者と英国が大筋合意されています。その概要は下記の4点となります。
-
税控除など福祉サービスをEU加盟国からの移民に緊急措置的に4年間制限 -
EUの更なる統合の英国への適用除外、各国議会に事実上の拒否権付与(各国議会で55%を超える支持があった場合) -
ユーロ圏決定事項がユーロ通貨を使わない国々の利益に反するものではないこと -
競争政策推進
先を提案した背景は、与党内にEU離脱派を抑えこみ、政治的にはもちろんのこと経済の不安定要因となっている、キャメロン首相が公約しているEU離脱の是非を問う国民投票を早ければ6月に行い、EU残留を勝ち取るためです。
しかし、英国のEU離脱派の中では、先の提案自体が意味のないものという意見もあり、この提案すらも最終合意を得られない場合は、キャメロン首相への英国内の支持が下がる可能性は排除できないでしょう。
ちなみに、今月15日に発表された世論調査の結果によるとEU離脱派は41%と、残留派の49%との差が8ポイントと縮小しています。この背景には、移民やテロで混乱するEU諸国から距離を置こうとする英国人が増加しているということもあります。
また、英国の立法のうち欧州関連法案の比率が2013年には6割に達していること、そのうちの規制関連の費用が1998年から2009年までで1760億ポンドと膨大に増加していることなどから、英国独自の政策適用の自由を失うことに危機感も感じていることからです。
本日も刻々と首脳会議の協議状況が伝えられていますが、キャメロン首相の思惑通り最終合意へと至るのかどうかなど、また改めてここでお伝えしたいと思います。