ニュースレター(12月18日)1062ドル 米国利上げでドル高が進みコモディティと共に金相場下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1062.50ドルと前週同価格から0.9%下げています。
週明け月曜日は、前週大きく下げた原油相場が落ち着きを取り戻し上げる中、週半ばのFRBによる利上げが予想される中、金相場は下げることとなりました。
翌火曜日は狭いレンジでの取引となりました。
ちなみに、米国FRBが労働市場と共に重要視し、2%を目標値としている消費者物価指数は、前月比横這い(0.0%)、前年比0.5%となり、これを好感して米株式とドルが上昇しました。
水曜日は、FOMC後の声明を待つ中、金相場が全ての主要通貨で上昇し、ドル建てにおいてはトロイオンスあたり10ドルほど上昇し、1078ドルまで上昇していました。これは、先週末発表のデータでは、コメックス先物・オプション市場でショートが増加していることからも、発表前にショートポジションの買い戻しが行われた模様です。
その後、ロンドン時間午後7時に市場注目のFOMC後の発表が行われ、市場の予想通り、政策金利(FFレート)の誘導目標が、0.25%引き上げられ0.00~0.25%から0.25~0.5%となりました。しかし、今後の利上げのペースについては「緩やか(gradual)」という表現を使い、資産圧縮へ慎重姿勢を示したことからも、金相場は多少下げたものの、トロイオンスあたり1071ドルを推移することとなりました。
木曜日は、前日のFOMCの発表と声明を市場が消化する中、欧州株価が上げドルが強含む中、金相場はトロイオンスあたり1050ドルを割り、LBMA金価格も1049.40ドルと過去6年で最低値まで一時下げることとなりました。
本日金曜日は、昨日の反発で金相場は戻しています。また、この間本日の日銀金融政策決定会合で発表された補完的措置が、不十分と判断され市場に失望が広がり、日経平均が下げ、欧州株式も下げることとなりました。
その他の市場のニュース
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ロシアの中銀が11月に34.2トンを金準備に積みまし、総重量1404.8トンとなったと伝えられたこと。
ブリオンボールトニュース
今週は、FOMCが行われたことから、それに関する金相場について多くの主要メディアがブリオンボールトのリサーチデータ、エィドリアン・アッシュ・リサーチ主任のコメントを取り上げています。
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英国主要日刊紙オブザバーの投資関連サイト「金に投資すべきか」このリサーチは、1975年から2014年の間に、株と債券と共に、ポートフォリオの10%を金に投資していた場合、平均リターンは多少落ちるものの、金融危機時には損失を約半分にすることができていたというものです。
そ して、リサーチ主任エィドリアン・アッシュの「金融危機の際に明らかとなったように、金は金融システムの保険の役割を果たす。しかし、多くの保険がそう であるように、ある程度は保険料(経済が順調な際にリターンを多少失う)を支払わなければならない。」というコメントも掲載しています。
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米経済サイトCNBC「FOMC後の発表で金相場がどのようになるのか」
ここでは、エィドリアンの、今年の英国の様々なアセットクラスのリターンが厳しいもので、英国株式と債券と不動産に同じ割合で投資をしていた場合、2.6%のリターンと、2008年の-7.5%以来の低い水準となっているというリサーチデータを取り上げています。
そして、2016年の中央銀行の金融政策は、継続して金と銀の投資家にとっては重要なものであるものの、「金は人々が中央銀行への信頼を失った際に魅力を 増すために、2016年は金の需要が増加する可能性がある。それは、英国の中央銀行も米国同様に、利上げを示唆し続けるだけであるが、何れは実際に 利上げをするか、示唆をし続けるのを止めなければならなくなるだろう。」というエィドリアンのコメントを取り上げています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週英国では、15日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からソユーズロケットによって国際宇宙ステーション(ISS)へと向かった、英国宇宙飛行士のティム・ピーク氏と、彼が経験するISSでの生活等について、主要メディアが大きく取り上げています。
ティム・ピーク氏は、かつては英国陸軍航空隊出身で、現在は欧州宇宙機関に宇宙飛行士として勤めています。そして、ピーク氏が初めて国際宇宙ステーションへ向かい活動する英国人であることからも、注目を浴びています。
実は、英国出身宇宙飛行士は過去に宇宙飛行をしているのですが、国籍を米国籍に変える、もしくは民間企業とロシアのスポンサーであったことから、今回が純粋に英国籍を持つ英国人の宇宙飛行ということになるようです。
ソユーズロケットが打ち上げられる15日には、多くのテレビ局がカウントダウンを中継し、ロンドン市内の科学博物館で多くの子どもたちが実況中継を見ながら、宇宙について学ぶなど、宇宙関係のイベントも多く行われていました。
英国では、理系を選択する生徒が減少していることから、この機会に宇宙、そして科学の楽しみを子ども達に伝えたいとも関係者は語っていました。また、ピーク氏は、世界の国々が宇宙関連予算を切り詰める中、国際宇宙ステーションの活動は世界の国々が協力をして行なっているとし、これが、今後太陽系や火星探索においてのモデルとなるのではないかとも述べています。
ちなみに、宇宙の無重力空間では、筋力が衰えるとのことで、飛行士は一日に2時間は宇宙ステーションでエクササイズをしなければならないとのこと。その一環であるのか、ピーク氏は4月に行われるロンドン・マラソンにトレッドミルで参加するとのことです。
ピーク氏は、既に1999年に3時間18分でロンドン・マラソンを走っているとのことですが、無重力状態であっても、42.195キロをトレッドミルで走るのは、年に一度フルマラソンを走っている私にとっても、修行以外の何物でもないと感じてしまいます。