ニュースレター(12月16日)1131.60ドル FOMCでの2017年の利上げ見通しが3回と市場予想を上回り金は急落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1131.60ドルと、前週同価格から2.8%下落しています。
週明け月曜日の金相場は、先週サポートラインと見られていたトロイオンスあたり1157ドルを割った後、ドルが弱含み欧米株式市場が下げる中、早朝の下げを取り戻し更に更に上昇することとなりました。
しかしこの動きもトロイオンスあたり10ドルほどの幅となり、今週のFOMCの結果待ちで様子見の市場となりました。
火曜日も翌日のFOMCでの結果を待つ中、金相場は狭いレンジで推移することとなりました。
そのような中でも、ロンドン午前中は前日18ヶ月ぶりの高さへ上昇していた長期金利が多少下げる中ドルが弱含み、金相場は上昇していましたが、ロンドン時間午後は長期金利とドルが共に上昇を始め、金相場はその上げを戻すこととなりました。
なお、OPECの減産合意を受けて上昇をしていたブレント原油価格は、OPECメンバーが減産開始前に増産していることが伝えられていましたが、同日18ヶ月ぶりの高水準であるバレルあたり56ドルを付けていました。
水曜日は、ロンドン時間午後7時からのFOMCの結果発表を待つ中、金相場はトロイオンスあたり1160ドルから1164ドルの間の狭いレンジでの取引となっていました。
なお、同日のFOMCでの金利引き上げは確実視されていましたが、今後の金利引き上げを予想するCMEのFedWatchでは、2017年11月までの金利引き上げの回数は、今回を含めて2回までが67.1%となっていました。
木曜日金相場はトロイオンスあたり1125ドルと今年2月初旬の水準まで下落することとなりました。
これは、前夜のFOMCで1年ぶりに0.25%の利上げが行われ、経済・金利見通しで政策金利の見通しが上方修正され、3回の利上げを見込んでいることが明らかとなったことが主な要因でした。それに加え、同日発表の消費者物価指数は予想と同レベルであったものの、ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数が共に予想を大きく上回るものであったことなどから、2014年9月の水準へ長期金利が上昇し、ドルインデックスが14年ぶりの高水準の103を越えるなどドル高が進んだことからでした。
なお、円も118円台で取引されるなど、10ヶ月半ぶりの円安水準となり、円建て金相場はドル建て金相場が下げたことで流石に同日は下げましたが、その下げ幅は他の通貨建てと比べても限定的となりました。
本日金相場は、ロンドン時間午後3時過ぎにトロイオンスあたり1132ドルと昨日の10ヶ月ぶりの低い水準からは多少戻しています。ひとまず今年のメインイベントはFOMCの結果で終わりましたので、これから欧米はクリスマス休暇を前に静かな市場が予想されています。
その他の市場のニュース
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先週末に発表されたコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、5週続けて減少し、過去40週上回っていた10年間の平均をついに下回ることとなったこと。 -
金のETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高も木曜日に再び減少し、これにより24取引日のうち20日減少、しかもトランプ氏が大統領に選出されてからは112.7トン減少したこと。
ブリオンボールトニュース
英国の主要経済紙City AMの「金価格が上昇する中、投資家がフィンテック企業のブリオンボールトへ殺到した」という記事で、弊社の10月31日付の2016年度決算が取り上げられ、英国のEU離脱、米大統領選挙等から、売上高が4億2000万ポンド(約617億円)と前年比12%増、税引き前利益は560ポンド(約8億2300万円)と43%増となったことを伝えています。
また、英国のEU離脱の影響から英国の金投資家数が前年比90%増となり、取引量は28%増と急増したことも紹介しています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週英国の主要メディアはシリア内戦の激戦地アレッポから、アサド政権との合意に基づき反武装勢力の撤退が始まったこと、そして、反体制派が支配してきた女性や子供や怪我人の退避が始まったことをトップニュースで伝えています。
しかし、本日はクリスマスを前に弊社からのニュースレターは残すところ今週と来週の2回となりましたので、1年を振り返る意味で、今週発表されたオックスフォード英英辞典に追加された新語をご紹介しましょう。
ほぼ全てのメディアが伝えている今年の新語の筆頭はBREXIT(ブレグジット)で、英国のEU離脱を表現するBritain(英国)と離脱(Exit)を組み合わせた合成語です。これに加えギリシャのEUからの離脱を意味するGREXIT(グレグジット)も含まれたとのこと。
また、インターネット関連では、動画サービスを提供するYouTubeにビデオを作成してそのビデオに出演する人、YouTubers(ユーチューバー)や、インターネットでのいじめに立ち上がる人、Upstander(アップスタンダー)が登録されたとのこと。
その他、颯爽とした高齢の女性をGlamorous grandmother(魅力的なおばあさん)からGlam-ma(グラム・マ)、また本来はアラバマの短縮された言葉Bama(バマ)は田舎の出身という意味の言葉でしたが、今年のビヨンセの新曲の歌詞で彼女自身をBamaと描写したことから、よりポジティブな(ソフィスティケートした)イメージという意味が加えられたとのことです。
今年の新語はやはり、ここでも関連ニュースを多く伝えてきた英国のEU離脱が含まれることとなりました。また、インターネット絡みの新語も次々と生まれて、様々な女性を表すポジティブな新語がでてきていることも嬉しい限りですね。