金市場ニュース

ニュースレター(12月12日)1217ドル 中国景気停滞とギリシャ政治混乱懸念が金相場を押し上げる

週間市場ウォッチ

今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1217ドルと、前週同価格から1.9%上昇しています。

週明け月曜日は、前週金曜日の雇用統計後の下げの反発で、金相場は緩やかに上昇することとなりました。また、相場に影響を大きく与えなかったものの、日本の第3四半期GDPが年率-1.9%と2四半期連続マイナスとなり、リセッション入りを示すものとなり、中国の11月輸出入データは予想を大きく下回り、中国の景気減速を示唆するものとなりました。

翌火曜日は、金相場はトロイオンスあたり1233ドルへと大きく上昇することとなりました。これは、中国当局が、短期融資に関する担保規定を厳格化したために、景気への悪影響が懸念されたことに加え、ギリシャの大統領選前倒しによって政局が再び混乱するとの懸念が浮上したためでした。

これにより、中国で株安が起こり、欧米株式市場にも引き継がれ、質への逃避から金が買われるとともに米国債相場も上昇することとなりました。同日の円建て金相場は、過去18ヶ月で最高値を付けることとなりました。

水曜日の金相場は、原油が5年ぶりの安値を付け、株安とドル安が進む中金相場は上昇したものの、利益確定売りでほぼ横這いとなりました。

木曜日は、同日発表の米小売売上高が前月比0.7%と予想の0.3%を上回り、前月数値も0.3%から0.5%へと上方修正され、米国経済の改善を示すものとなったことから、金相場は押し下げられることとなりました。しかし、トロイオンスあたり1220ドルを割ったあたりで反発し、上昇に転じる事となりました。

本日金曜日は、ミシガン大学消費者信頼感指数が2007年1月以来の高い水準で、WIT原油価格も60ドルを5年5ヶ月ぶりに割り、欧米株価が下げたにもかかわらず、ドルに大きな動きがなく、来週16、17日にFOMCが控えていることからも、狭いレンジでの取引となりました。

他の市場のニュース

  • 火曜日の金・銀相場の急騰から、上海黄金交易所(SGE)での取引が増加し、記録的な30億ドル相当のコントラクトが取引されたこと。
  • インド政府が更なる金輸入の規制緩和を行う可能性があるというレポートを受けて、インドの宝飾品業界の株価が11%上昇したことが伝えられたこと。

ブリオンボールトニュース

英国ポンドの2015年の見通しを、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが、米主要経済サイトThe Street.comで解説しています。

今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週の英国からのニュースとしては、BBCの代表的な討論番組「クェスチョン・タイム」の参加者による討論が話題となっているのでお届けしましょう。

この番組は1979年9月から放映されており、毎週木曜日夜、生放送でその週の時事問題を主要政党(保守党、労働党、自由民主党)の代表者と見識者が議論し、会場からの質問にも答えるという形式で、デビッド・ディンブルビーの名司会もあり、英国の討論番組では最も有名なものとなっています。

今週は先の主要政党に加え、ロンドン便りでもお伝えしたことがある、イギリス独立党のナイジェル・ファラージ氏と、コメディアンで最近は様々な政治活動の運動家としても有名となっているラッセル・ブランド氏が参加したために、かなり激しい討論となり、多くの主要メディアがその討論のハイライトを伝えています。

ナイジェル・ファラージ氏は、右翼政党の党首であり弁舌に長けていることで有名で、現自由民主党の党首で連立政権の副首相であるニック・クレッグ氏をテレビの党首会談で見事に打ち負かしたこともあります。それに対し、ラッセル・ブランド氏は、昨今「革命」を唱えるなど、左派的思考で有名で、近年は時事問題を取り上げるBBCのニュースナイトなどでもインタビューを受けています。

そのため、特に移民問題の討論では、真っ向から意見をぶつけることとなりました。ユーロ圏からの移民が急増することで英国内の教育や医療への負担が大きくなる中、移民の数を制限することを唱えるファラージ氏に対し、これらの問題を移民を原因とすることを非難し、英国で広がる貧富の差を是正し、富の配分による社会基盤の整備を呼びかけるブランド氏は、お互いの意見の違いを埋めること無く、番組終了後も激しく議論していたと伝えられています。

英国に居住する全ての人々の生活の質を高めるために社会基盤を立て直すことを望むことに変わりはないものの、この2人がお互いの意見に耳を傾けることは近い将来にはありえなさそうです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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