インドの金輸入がインドの祝祭日前に2013年の金急落時同水準まで倍増
インドの金需要が金相場が弱含む中で急増し、インド政府が新たな金輸入規制を考慮していることが伝えられている。
昨年インド政府の金輸入規制が強化されるまでは、世界一の金消費国であったインドの金輸入が、光のフェスティバル(ディワーリー:ヒンドゥー教の新年のお祝い)を前に、先月10月には、過去17ヶ月で最高水準まで増加したことが伝えられ、インドの経常赤字が更に悪化する懸念が広がっている。
先月のインドへの金輸入は、42億ドル相当の106トンとなったと、豪銀のマッコーリーのアナリシスは述べている。
「大部分が宝飾店の在庫の蓄えとなった。」と、継続する庶民の金需要と政府の金輸入規制によって、枯渇しつつあるインドの宝飾店の在庫と、11月までの2ヶ月間で新たに50~60トンヘと増加した金輸入量について、ムンバイのBusiness Standardが伝えている。
10月の数値は、金相場が30年来の急激な下げを記録した際に需要の急増を見せた2013年5月以来の高い水準であると共に、今年1月から9月の月額平均金輸入量のほぼ倍となっていると、マッコーリーは解説している。
昨年8月の記録的なルピー安をもたらした、インドの経常赤字を改善させるために導入された金輸入規制は、2013年夏に金輸入を効果的に激減させた。
このために、密輸によるインドへの金の流入は、年間数百トンへと増加したものの、昨年の公式な金消費量では、中国がインドを抜き初めて世界一となったことを金業界のデータが明らかにしている。しかし、ビジネスを擁護するインド人民党のナレンドラ・モディ氏が率いる新政府は、2014年に金輸入規制を緩和し、6月の金の輸入量は急増していた。
金市場開発団体のワールド・ゴールド・カウンシルがまとめた、今年第3四半期の金需要のレポートでは、インドは再度世界一の金消費国となっている。
ウォール・ストリート・ジャーナルに、匿名で語ったインド政府関係者によると、新たな規制が、同日中にも導入される予定であるとのこと。
また、ロイター通信も匿名の情報源としながら、「準備をしている新たな規制は、ほぼまとまりつつある」と伝えている。
しかし、インド政府が金のインド国内への流入を懸念しない一つの理由があると、マッコーレーは、金よりも膨大な量の輸入をしている原油価格の下落を挙げている。原油価格は前年度比20%10月に下落している。
金輸入の急増は、光のフェスティバルという「季節的要因」であることを、南アフリカのスタンダードバンクも同意している。
将来的には、現在の高い金相場は、自然と金需要を抑えることとなるだろうとし、原油価格の減少などから、インドの経常赤字は改善すると予想している。
シティコープのアナリストは、2014年~2015年のインドの経常赤字を1.8%と予想し、昨今の記録である2012年~2013年の4.8%から下げている。