ニュースレター(10月30日)1142.35ドル 12月利上げ観測が広がる中、金相場は下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1142.35ドルと先週同価格から1.6%下げています。
週明け月曜日と火曜日は、火曜日と水曜日に行われていたFOMCの発表を待つ中、狭いレンジでの取引となりました。
水曜日は、市場注目のFOMCが発表前に、今回そして今年中のFOMCでの利上げ観測が大きく後退する中、金相場はトロイオンスあたり1180ドルを越えましたが、FOMC後の声明で、予想通り政策金利は据え置かれたものの、次回12月の会合で政策金利引き上げを検討すると表明したことや、前回の中国を含む世界経済への懸念の文言が削除されたことから、市場は声明をタカ派的とみなし、ドルが上げ金は大きく下げることとなりました。
この間銀は、金の上げ幅を超える過去4ヶ月で最高値へと上昇をした後に急落と、5%近い価格の動きをすることとなりました。
これは、コメックスの金先物・オプションのポジションが、この2週間ほどロングポジションを急激に増加させていたために、FOMCの声明がタカ派的であったことから、そのポジション整理が行われたことも下落の要因となった模様です。
本日金曜日も、米国の金利引き上げが12月に行われるという観測が広がる中、長期金利も上昇し、金相場を押し下げることとなりました。
その他の市場のニュース
-
香港から中国への金の輸出が97.42トンと、過去10ヶ月で最も高い水準となったこと。
ブリオンボールトニュース
今週行われた、米国共和党のテレビ討論で、大統領候補の1人であるテッド・クルーズ上院議員が、量的緩和を永遠に続ける米連邦準備制度理事会の金融 政策への懸念から、より健全な経済へと回帰するために金本位制のように、米国ドルを金で裏付けるようなことの必要性を述べたことを伝えるCNBCの記事で、ブリオン ボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。
ここで、エィドリアンは、「金本位制へは二度と戻らないでしょう。」と述べ、欧州諸国で金準備を米国から自国へ持ち帰る動きが出ていることと結びつけて、金本位制が、主要中央銀行の低金利政策に対峙するものとして大衆受けを狙った、政争の具と化しているというコメントを引用しています。
また、今週のFOMC後の価格の下げを解説する主要メディアでも、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。
-
米国主要経済サイト「MarketWatch:12月の利上げ観測が広がる中、金が3週間の最低値を記録」
ここでは、「米連銀の声明がコメックスの投機家に冷水をかけたようなものだった」と先物・オプションのロングポジションの調整が入ったことに触れています。
-
インド主要日刊紙「エコノミック・タイムズ:ルピー建て価格が2週間ぶりの低値を記録」
ここでエィドリアンは、FRB内では利上げに関する意見が分かれていること、今回利上げを主張したのは、ラッカー・リッチモンド連銀総裁のみで、FOMC の声明には大きなサプライズはなかったとし、金相場が切り下げているのは、コメックス先物・オプション市場で強気ポジションが急激に増加していたことか ら、そのポジションが整理されているからと説明しています。
また、インドの需要の低迷については、インド政府の政策から、密輸量が増加していることからも、需要が低迷しているかを判断するのは難しいとし、今後はモディ政権による新たな金のマネタイゼーション・スキームの成功にもよるだろうとしています。そして、このスキームにおける金預入時の金利が公表されていないことからも、その先行きを現段階で判断することは難しいともしています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週は、少し軽い話題をお届けしましょう。
英国では、アンティークロードショウという、骨董品を鑑定してもらえるテレビ番組があります。この番組は38年の歴史があるとのことですが、今週、その歴史の中でも最も価値の高い骨董品が鑑定のために持ち込まれたというニュースが伝えられていました。
その価値は、実際に番組が放映される来年4月に明らかになるとのことですが、過去最も価値の高い骨董品は、100万ポンド(約1億850万円)を超えたとのことですので、少なくとも100万ポンド以上ということになります。
この骨董品は、スポーツの機関が保有している、世界的に有名な物ということだけが伝えられています。
過去の最高評価額となった骨董品は、英国彫刻家のアントニー・ゴームリー作の「エンジェル・オブ・ザ・ノース(北の天使)」が、この彫刻を設置する地域の地方議会に承認されるために提出した小型のモデルとのこと。
その次に価値のあるものは、38万ポンド(約7千万)と評価された金のメッキが施された、1932年製のライカルクサスIIというカメラで、5000ポンド(約93万円)で購入したものとのこと。
毎週持ち込まれる骨董品が、代々先祖から伝えられたものであれ、チャリティーショップで安く購入したものであれ、思った以上に価値のあるものであった時の、所有者の方々の驚きと喜びに包まれた表情は、いつ見ても嬉しくなるものがあります。
来年4月にどのようなものが、どのような評価額となるのか楽しみにしたいと思います。