ニュースレター(10月3日)1195ドル 良好な米雇用統計の結果で金相場は年初来最低値へ
週間市場ウォッチ
先週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1195ドルと、前週同価格から1.5%下げています。この価格は、年初来の最低値となります。
週明け月曜日は、香港での民主化を求めるデモの広がりなどから、地政学リスクの高まり金相場は上昇しました。しかし、同日発表の米個人消費支出が予想を上回ったことから、ドル高が進み金は押し戻されることとなりました。
翌火曜日は、ロンドン午前中に発表されたユーロ圏失業率が11.5%と高止まりしていること、ドイツの失業者変更数が予想を上回ったこと、ユーロ圏消費者物価指数が0.3%と低迷を続けていることなどが、ユーロ安ドル高を進め、金相場は下げました。その後、ロンドン時間昼過ぎに発表された米国消費者信頼感指数が予想を大きく下回ったことから、一時的に金価格が上昇しましたが、ドル高が再び進み、その上げを失うこととなりました。
水曜日は、ユーロ圏のPMI製造業が発表され、ユーロ圏経済の牽引役のドイツが経済の拡大と縮小の分岐点の50を下回り、ユーロ圏全体でも予想を下回ったことから、欧州株が売られ、金相場は上げることとなりました。そして、ロンドン昼過ぎに発表された米国ISM製造業景況指数が、前回と予想も下回ったことから、米株価も下げ金相場の上げを支えることとなりました。
なお、同日米国ではエボラウィルスに感染した患者がでたことも、心理的に株価を下げる要因となった模様です。また、米国及びユーロ圏の債券の利回りが下げていることから、株式市場からこちらへも資金が流れているようです。
木曜日は、市場注目の欧州中央銀行の金融政策が発表され、政策金利は予想通り0.05%と据え置かれ、先月決定した資産担保証券(ABS)やカバーボンドの買い入れ詳細は発表されたものの、更なる量的緩和に関しては触れられなかったことから、狭いレンジでの取引となりました。
金曜日は、米国雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は、9月に248,0000人となり、予想の215,000人と前回の142,000人を上回り、8月数値は180,000人と上方修正されました。また、失業率は前回の6.1%から5.9%へと金融危機以前の水準へと改善したことが明らかとなりました。
これを受けて、金相場はトロイオンスあたり1200ドルを割り、年初来の最低値を付けることとなりました。
ブリオンボールトニュース
先週王立造幣局が、オンラインの金貨取引サイトを立ち上げたことを、BBCと下記の英国主要日刊紙の週末版が取り上げ、ブリオンボールトのサービスを紹介し、保管費用の格安さを王立造幣局と比較しています。
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BBCラジオ4「マネーボックス」: 王立造幣局での金の購入・保管方法 -
サンデー・タイムズ: 簡単に資産を増やす方法ー金購入のガイド
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールトリサーチ主任のエィドリアン・アッシュの「金相場を叩きつけるドル高」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週は、英国ではバーミンガムで行われた保守党の党大会について広く伝えられていました。ここでは、キャメロン首相が新たな減税公約などを発表しています。党大会目前に、欧州連合からの即時離脱を唱える英国独立党(UKIP)へ、2人の議員が鞍替えしていることなどから、キャメロン首相にとっては、有権者の支持を繋ぎ止めることはもちろんですが、保守党中道右派の人々を満足させる施策を上げていく必要もありました。
保守党大会前に行われた労働党大会では、党首のエド・ミリバン氏が党首の1時間におよぶ演説を原稿を見ずに行ったものの、英国の債務について触れることを忘れたことが問題視されていました。キャメロン首相は、この間違いを上手く利用し、債務削減を含む経済を中心とした演説を行い、政治評論家などからは、かなり良い点を付けられていたようです。
英国の首相は、演説や党首討論などで、如何に上手く党の政策を説明できるかが、党首として重要視される力量とされています。このところ、失言を繰り返しているキャメロン首相でしたが、党大会後の世論調査では、保守党は票を上げ、2年ぶりに労働党を上回る結果となったようです。
ところで、先とは別の話題ですが、ロンドンでは先週土曜日に日本祭りが行われました。これは、2009年からジャパン祭り会社主催で、英国日本人会、在英商工会議所、ジャパン・ソサエティ、日本人クラブが協力をし、在英日本企業や団体の寄付や多くの日本人ボランティアによって運営されています。
今年は、日本からラジオ体操や、くまモンなどのゆるキャラが招かれ、BBCのニュースでも伝えられていました。私も、今年はのど自慢に友人達と参加してきましたが、ステージの上から眺めるトラファルガー広場の景色は素晴らしいものでした。そこで、その写真も添付いたします。