金市場ニュース

ニュースレター(10月2日)1140.75ドル グレンコア株等の急落で下げた金相場は、不調な米雇用統計で急上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、今週の下げをほぼ取り戻し、トロイオンスあたり1140.75ドルと、前週同価格から0.5%下げとなっています。

週明け月曜日は、、昨今のコモディティ価格の低迷などで事業低迷が懸念され、スイスの資源商社のグレンコアの株価が一時30%下げと過去最低水準になり、世界最大級の資源企業のアングロ・アメリカンの株価も1999年に上場以来の最低水準となったことなどから、欧米株価を引き下げ、リスクオフの動きでコモディティ相場が下げる中、金相場も下落することとなりました。

翌火曜日金相場は、前日欧米株式市場が大きく下げるとともに下落した基調を一時切り返す動きが出たものの、終値は前日比で下げることとなりました。 これは、同日発表の米消費者信頼感指数が、前回と予想を上回り、今年1月以来の高い水準となったために、ドルが強含んだことなどが要因であった模様です。

水曜日は、本日の米雇用統計の先行指標とも見られている米ADP民間雇用者数が、予想の19万人を上回り20万人となったことから、ドルが強含み、金相場は押し下げられることとなりました。

また、中国の人民銀行が金準備を8月に16トン積み増したことが伝えられたものの、同時に中国国家外為管理局が年に2回に発表するレポートの中で、「中国 の現段階の金準備の規模は、金の市場規模からも価格のボラティリティに影響を受け、保管コストや流動性の低さや金利が生み出されないことを考慮すると 大きい。」と明記されていることも伝えられ、下げる要因ともなった模様です。

木曜日は、同日発表の米国ISM製造業景況指数が50.2と、予想の50.6と前回の51.1を下回る中、株式市場が下げ金は多少上げたものの、本日の雇用統計発表を待つ中、近い将来のFRBによる利上げ観測は広がっていたことからも、下げ基調に大きな変化はありませんでした。

本日金曜日は、市場注目の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は142,000人と、予想の203,000人を大きく下回りました。また、前回数値も173,000人から136,000人に下方修正されたことから、金相場は発表後トロイオンスあたり30ドルほど急上昇しました。

なお、この非農業部門雇用者数の数値は過去18ヶ月で最も少ない水準です。また、失業率は、前回と予想通り、5.1%と同水準となりました。

その他の市場のニュース


  • スイス当局が貴金属取引疑惑に絡み、三井物産関連会社を含むUBS、ドイツ銀行など7社の調査を開始したことがブルームバーグなどで伝えられたこと。

  • 世界一重い金の指輪(約58キロの金と5キロのスワロスキー)が、中東で行われる時計と宝飾品の展示会で出されることが伝えられたこと。

  • 8月に中国の中央銀行が16トン、ロシアの中央銀行が31トン金準備を積み増したこと。

ブリオンボールトニュース

金先物相場が、米国株価とドルが上げる中、前月比と前四半期比下げるペースで下落していることを解説する米主要経済サイトMarketWatchの記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

この記事でエィドリアンの分析の「米FRBの利上げ観測、コモディティの輸入国の中国の経済先行き不安が価格を押し下げている。」を紹介し、「メタルバイ ヤーの中には、金は2008年の金融危機時のリーマン・ショック後にそうだったように、突然急騰する可能性があると議論する人達もいるようだ。そして、もしあなた が、金相場が1930年以来の大きな下げの、4ヶ月で25%急落した2008年半ばに、(現在の状況が)不思議なほど似ていると思うのであれば、そのよう に考える人はあなただけではないかもしれない。」というコメントも紹介しています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週のロンドン便りでは、ロンドン郊外に突然現れた、巨大なシンクホール(下記の写真)についてお届けしましょう。

シンクホールとは地下に空洞ができ、表面が陥没してできる穴の事を指します。これは、石灰岩等の地層が、地下水などで化学反応を起こし溶けることが要因、また、道路に埋設した上下水道管が壊れて漏水したり、高層建築物建設に伴う採掘によって地下水が抜けて地盤沈下を起こすなどの人的原因によるものがあるとのことです。

今回のシンクホールは、ロンドン郊外のSt. Albansという住宅地の歩道に、前週小さな穴ができていたものの、区役所が修理を行う予定であった木曜日早朝に、突然20メーター4方の穴となって現れたとのこと。

なぜこのシンクホールができたかの詳細の調査は、これから行われるようですが、この地域は昔煉瓦工場があり、煉瓦を作るために地面が掘られていた可能性はあるとのこと。

幸い人的被害は出ていませんが、ガス管や電気のケーブルが切断されて、近辺の50世帯が影響を受けているとのことです。

このニュースは、その穴の大きさと隣接する住宅との近さなどがビジュアルに訴えるものもあり、ほぼ全ての主要メディアでトップニュースの一つとして伝えられていました。

過去には、人的被害も出たケースはあるようですので、しばらく避難生活を続けなければならないようですが、住民の方々にとっては運が良かったと言えるものなのかもしれません。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

注意事項: ここで発信される全ての記事は、読者の投資判断に役立てるための情報です。しかし、実際の投資にあたっては、読者自身にてリスクを判断ください。ここで取り扱われる情報及びデータは、すでに他の諸事情により、過去のものとなっている場合があり、この情報を利用する際には、必ず他でも確証する必要があることを理解ください。Gold Newsの利用については、利用規約をご覧ください。

SNSで最新情報を入手

Facebook   TwitterYoutube

 

貴金属市場のファンダメンタルズ