ニュースレター(10月14日)1251.75ドル ハードBREXIT懸念と米利上げ観測の中ドルは高止まり、金相場はレンジ内の動き
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1251.75ドルと前週同価格から0.6%下げています。
週明け月曜日は、金相場は、日本が体育の日で米国がコロンブス記念日で休場の中、ドル建てにおいては狭いレンジでの取引となりました。
なお、市場が注目していた前日日曜日に行われた米大統領選のテレビ討論会は、討論会前にドナルド・トランプ氏の過去の女性軽視発言が伝えられ大きなニュースとなっていましたが、ヒラリー・クリントン氏も決め手に欠け、圧倒的な優勢ではないものの、クリントン氏が優勢であったことが伝えられていました。
翌火曜日金相場はドルインデックスが97.655と今年3月以来の高い水準へ強含み、株価が下げる中で緩やかに下げ、200日移動平均線($1256.50)を下回ることとなりました。
なお、ポンド建て金相場は、同日ポンドが対ドルで2%、BREXIT以来19%下げるなど、1985年来の下げとなったことから、英国のEU離脱が国民投票の結果で決定した6月24日以降の上げを除き、2013年3月以来の高い水準へと上昇していました。
水曜日金相場は、ロンドン時間夜に発表されるFOMCの議事録待つ中、ドル建てにおいて狭いレンジでの取引となっていました。その間、同日にドルインデックスは一時98.053を記録するなど、前日同様に高い水準となり、欧州株価は下げ、米株価は軟調な展開で始まっていました。
発表された市場注目のFOMCの議事録では、大きなサプライズは無く、「利上げ先送り決定を支持した当局者の幾人かが決定は『ぎりぎりの判断』だったとし、利上げ条件が整いつつあるという点でおおむね一致した」とし、12月の利上げを示唆するものとなりましたが、その利上げを正当化する要件はまとまっていないことも明らかとなり、神経質な動きをしたものの狭いレンジでの動きとなりました。
木曜日は、ロンドン早朝の中国の貿易収支が予想を下回ったことから、チャイナリスクの懸念が浮上し、株式市場が全般下げることとなりました。また、同日発表の米新規失業保険申請件数は42年ぶりの低水準となり、金は一時的に押し下げられましたが、取引レンジは前日同様狭いものとなりました。
本日金曜日は、市場注目の米小売売上高が予想を上回ったことから金相場は一時的に下げたものの、その後発表されたミシガン大消費者信頼感が予想を下回ったことからその下げを取り戻しています。なお、本日もドルインデックスは一時的に98を超えるなど高い水準で推移しています。
なお、金の直近のサポートラインは1250ドルと見られています。
その他の市場のニュース
- 今週火曜日に、ロンドン貴金属市場協会がロコ・ロンドン取引の2017年に新たに始まる届け出システムについて発表したこと。この詳細は、「ロンドンにおける2017年からの新たな金取引の届け出について」でご覧いただけます。
- 先週末発表のコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、金価格が急落した先週火曜日に、前週比21%減と、2016年において2番目の大きな下げ幅を見せていたこと。
- 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、先週金価格が4.8%下げる中、先週金曜日には1.2%増加し、958.90トンとなっていたこと。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週の英国からのニュースは、英国民が選択したEUからの離脱(BREXIT)が一般庶民にもたらした意外な問題のニュースをお届けしましょう。
それは、英・オランダ系日用品大手ユニリーバと英国大手スーパーのテスコが、ポンド安のために納入価格引き上げを巡って対立し、一部商品供給が途絶え、テスコのオンラインサイトでユニリーバ製品の取扱が今週停止されたというニュースでした。
その後、詳細の合意内容は発表されなかったものの、「決着」したことが昨日発表されていました。
取扱が停止されたユニリーバの製品は、英国の人々が愛するマーマイト、ヘルマンのマヨネーズなどであったことから、BREXITを望んでいなかった人々等はBREXITを望んだ人々を非難し特にショックを受けていたようでした。
今週は、先週に続きポンド安が30年来の水準へと進む中、ガソリン価格等の輸入製品の上昇が伝えられていましたが、このように身近な製品が手に入らなくなることは誰も予想をしていなかったようです。
メイ首相の先週の党大会での演説が「ハードBREXIT」を市場に警戒させるものとなってしまいましたが、BREXIT直後にポンド安からの輸出産業の伸びなどで、人々が楽観的になりつつあるところだったために、先週のポンドのフラッシュ・クラッシュに続き、英国の人々を多少震撼させるニュースではあったようです。