金市場ニュース

ニュースレター(1月20日)1200.55ドル ハードBREXITへの警戒感とトランプ氏のドル高への警告で上昇し、イエレンFRB議長のタカ派的コメントで下落

週間市場ウォッチ

先週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1200.55ドルと前週同価格から0.8%上昇しています。

週明け月曜日金相場は前週の上昇基調を受け継ぎ、トロイオンス1200ドルを超えて上昇することとなりました。

これは、トランプ次期大統領の記者会見以来続いているメディアインタビューなどでトランプリスクが再認識されていることからでした。

また、翌日テリーザ・メイ首相が英国のEU離脱に関する演説を行うことになっており、単一市場へのアクセスよりも、移民管理の強化に重点を置く「ハード・ブレグジット」を表明する見通しが広がり、英国ポンドは対ドルで大きく下落し、昨年の10月以来の安値も付けることとなりました。そのため、ポンド建て金価格は2ヶ月ぶりの高水準へと上昇していました。

翌火曜日金相場は、トロイオンスあたり1213ドルと、8週間ぶりの高水準を推移することとなりました。

これは、市場注目のテリーザ・メイ英国首相の演説で、メイ首相はEUとの関係について「部分的な加盟は目指さない」と明言し「ハード・ブレグジット」とが確認されたことから、リスクオフの動きが進んだからでした。そして、トランプ次期大統領のウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューでドル高に警告を発したことが米国ドルを押し下げる要因となり、ドル建て金相場を押し上げることとなりました。

水曜日金相場は、ロンドン時間トロイオンスあたり5ドルほどの狭いレンジでの取引となっていましたが、その後ニューヨーク時間でイエレンFRB議長の記者会見の内容が伝えられ大きく下げることとなりました。

このイエレンFRB議長の記者会見の内容とは、2019年末まで年2-3回ペースの利上げの見通しなどのタカ派的コメントでした。また、同日発表された米国消費者物価指数は、エネルギー価格の上昇からも、前年比2.1%とFRBが目標としている2%を越え、米地区連銀経済報告(ベージュブック)も米経済の見通しを楽観的としていたことが明らかとなったことも、金を押し下げる要因となった模様です。

木曜日金相場は、同日発表の米経済指標が良好であったことからも発表後多少下げたもののその後戻し、トロイオンスあたり1200ドル前後を推移することとなりました。

この米経済指標とは、新規失業保険申請件数、住宅着工件数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数で、全てが予想を上回る経済状況を示唆するものとなりました。なお、同日行われたムニューチン次期財務長官候補に対する上院財政委員会では、同候補が「長期にわたるドル高は重要だ」と、トランプ氏のドル高への警告とは異なるものとなりましたが、市場への影響は限定的となりました。

 本日金曜日は、トランプ氏の大統領就任式が現地時間午後12時(日本時間21日午前2時)に行われ、その際の演説に市場は注目する中、薄商いの静かな市場となっていましたが、就任の演説が終わり、ロンドン時間18時段階で金は緩やかに上昇しています。

その他の市場のニュース


  • 先週末発表のコメックス金先物・オプションのネットロングポジションは、先週火曜日に昨年11月15日以来初めて増加したこと。

  • 金のETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアは、先週の金曜日から増減は全く無かったこと。

ブリオンボールトニュース

今週も金相場がトランプ次期大統領の就任の前に揺れ動く中、多くの欧米のメディアでブリオンボールトについて取り上げられています。

この記事の金投資の箇所で、政治的リスクとインフレの上昇からも、金投資には強気となるとし、ブリオンボールトにおける欧米の顧客の取引量が、昨年11月に2012年ぶりの高水準となり、重量においては4年ぶりの高い水準となったことを取り上げています。

そして、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「2017年はリスクイベントがあり、投資商品の収益が伸びるのは難しいであろう。だがそのために、金はファンドマネージャー等に好まれるものとなる可能性がある。しかし個人投資家はそれを待たずに金融システムの保険として購入している。」というコメントを紹介しています。

この記事で、エィドリアンは、「今は多くのニュースがありすぎで投資家は混乱している。トランプ次期大統領は、弱いドルを望んでいるが、インフレはFRBの目標の2%に達している。これは、金にとっては追い風だ。それは、実質金利が下げる中、通貨安が大きく進んでいるからだ。」と述べています。


  • 英主要紙ディリーエクスプレス

ここでは、昨年英国の投資商品で金は32%増と最も収益率を上げたと取り上げ、弊社リサーチ主任エィドリアン・アッシュの「トランプ次期大統領や欧州の政治リスクなどの先行き不透明感から金は購入されており、荒れる株価や低金利や通貨安から資産を守ることを金は可能にする」というコメントを取り上げています。


  • サンデー・タイムズ

この記事では、嵐に突入する可能性のある株式市場から資産を守るために金を購入するのであれば、最善の方法は金のETFもしくはブリオンボールトのような安全な方法を推薦するとし、HSBCのストラテジストが30%増の1550ドルとなることを予想していることを紹介しています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国では、テリーザ・メイ英国首相のEU離脱に関する演説が大きく取り上げられていましたが、本日はトランプ氏の大統領就任式の模様一色で、現在も生中継で伝えています。そこで、本日の主要紙がどのような見出しを付けてこの就任式を報道しているかをお伝えしましょう。


  • タイムズ「トランプ氏の大統領就任式を前に抗議のデモが広がる」ベトナム戦争以来のデモの規模になるとのこと。

  • ディリー・ミラー「45代目の大統領ドナルド・トランプ、世界が息を凝らして注目」という見出しで、トランプ氏の写真を44人の大統領の写真で囲んでいます。

  • i News「世界が変わる日:45代目大統領が就任する中、世界の首脳は新たな秩序を理解することにもがき苦しむ」トランプ氏と夫人の写真と掲載。

  • メトロ「さようならオバマ大統領」とオバマ首相の写真を一面に載せて、オバマ大統領のレガシーへの意見は別れるものの、サポーターはほとばしる感情とともに別れを惜しんでいると記しています。

  • ファイナンシャル・タイムズ「就任式を前にワシントンへ到着」トランプ政権のムニューチン次期財務長官候補が、同候補が「長期にわたるドル高は重要だ」としたことを伝えています。

  • ディリーテレグラフ「トランプ氏は政府の財政支出を10.5兆ドル削減」として、トランプ氏と夫人の写真を掲載。

  • ガーディアン「私達はこの人が何をするか予想がつきません」として、トランプ氏と夫人がワシントンへ到着した際の写真を掲載。

  • City AM「ドナルド・トランプが大統領に就任へ」とし、トランプ氏大統領就任式を前に、米株価が下げたことを伝えています。

英国メディアでは、経済紙がトランプ氏の経済への影響を語っているのを除き、大部分がトランプ大統領への抗議のデモの規模やそのために配備された警察官の数など、国内の意見が分かれていることを伝えています。

この記事をトランプ大統領の就任の演説を聞きながら書いていますが、「忘れられた人々が、これ以上忘れられることはない」、「雇用、富、夢を取り戻す」、「話し合うだけの時代は終わった、これからは行動の時だ」、「イスラム過激派を地上から全滅させる」「We will make America great again」で締めくくっています。

新しい時代が始まりました。トランプ大統領が米国内の亀裂を修復し、必ずしも米国第一主義のみでなく世界の国々とともに歩むことを選ぶことを心から望みながら、彼の大統領としての政策に注目をしていきたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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