ディリーレポート(2019年8月12日)コメックス金強気ポジションが記録的高さの中、米中貿易戦争の長期化と香港抗議デモの激化で1500ドル台へ戻す
金価格がトロイオンスあたり1500ドルへと戻しました。
本日は香港での抗議デモが拡大し香港航空当局が同日中に発着する航空便をすべて欠航とし、米中貿易戦争の長期化への懸念からも金が反発することとなりました。
現物金地金価格はロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1506ドルと0.6%先週から上昇し、ドルインデックスは0.05%の上げの中、米国債10年物の利回りは1.69%へと6ベーシスポイント下げていました。
香港の航空当局は、先週末の警察の厳しい取締役に反発した抗議活動者が空港を占拠したことから、搭乗手続きが終わっていない航空便をすべて欠航とする異例の措置となったとのこと。香港政府は本日未明に出した声明で「(抗議活動は)法律を完全に無視して警察官や市民の安全を脅かす暴力的な(テロ的)行動に憤慨しており、厳しく非難する」と指摘しています。ちなみに、この「逃亡犯条例」改正案に絡む抗議活動は既に本日で10週目に突入しています。
また、昨日ゴールドマンサックスは、米中貿易戦争は景気後退へと向かわせいており、米中合意が2020年の大統領選までに行われることは予想していないと顧客向けレポートで述べています。
そして、先週金曜日にはトランプ大統領が「中国と話はしているが、合意の準備はできていないが様子見ではある。中国は何等か(の進展)を希望しているが、私はまだ何もするつもりはない。25年間(中国が貿易合意を)乱用してきたことからも、私は急いでは動かない。」と述べていました。
なお、週末発表されたコメックスの金先物・オプションの資金運用者のネットロングポジションは、先週火曜日までに、過去13年間で2番目に高い水準へと前週比26%増の886トンへと増加していました。過去の最高値を付けたのは、英国の国民投票でEU離脱が決定されたことでリスクオフが起きていた2016年7月5日でした。
また、この建玉もこのレポートフォーマットになった2006年6月以来の史上最高値で100万枚を超えていました。
また、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高も先週一週間で1.1%増の840トンとなっており、6月末からは5.8%増と増加しています。
先週木曜日に発表されたワールド・ゴールド・カウンシルの最新のレポートによると、世界の金ETFへは26億ドル相当の資金が7月に流入し、52トン増の2600トンと2013年3月以来の高さへと上昇していたことが明らかとなっていました。
ワールド・ゴールド・カウンシルは、「先月の資金流入は、経済、貿易摩擦、地政学リスクへの懸念で先行き不透明感が広がる中で5月半ばから続いている傾向だ。」と説明しています。
ユーロ建て金相場は、イタリア政局の混迷とドイツ経済への懸念でユーロがほぼ全ての主要通貨で下げる中で、本日ロンドン時間昼過ぎまでに0.6%上昇していました。
ポンド建て金相場は、先週金曜日に英国の第2四半期のGDPが2012年以来初めてマイナスとなる中で、31か月ぶりの低さへ下げたポンドが反発する中で、先週末から0.2%上昇していました。