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【銀投資家インデックス】銀投資が2020年に3倍を記録後、2021年初頭に90%増へ

個人投資家はブリオンボールトで銀の年間産出量の5%の銀を購入していました。
 
銀投資需要は、2021年年明けに急増し、最初の週間で前年同時期90%増となっていました。
 
年初最初の一週間でブリオンボールトのPCサイト及びスマートフォンアプリを利用した銀地金購入需要は、前年同時期比89.7%増加していました。
 
これは、工業用、医療用、技術用の様々な用途で使われる「必要不可欠な金属」への投資家の需要が、2020年には3倍以上に増加し、年間の新記録を付けた後のことでした。
 
2020年のブリオンボールトにおける銀投資需要は204.8%増加し、重量で1,178トンと、シルバー・インスティテュートが発表した貴金属専門コンサルタント会社Metal Focusの最新の 分析数値によると、昨年の世界の総採掘量の5%近くを占めたことになります。
 
ブリオンボールトにおける投資家による売却を除くと、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒのいずれかの場所で保管され、保険がかけられた銀地金は、重量において37.5%増の1,103トンとなり、308トン増加し、この増加分はこれまでの最大増加量(2011年148トン)の2倍以上となりました。
 
しかし、銀の売却量も2020年に記録を更新し、2019年から180.6%増の869トンとなっていました。
 
このように売却が急増したのは、ドル建て価格で銀は、年末までの12ヶ月間で45.4%上昇していたことも背景にありました。これは2010年以来の最高の上げ幅であり、年平均ベースではトロイオンスあたり20.51ドルとなり、過去7年間の年平均を上回るものであり、この間銀を購入していた人は何らかの収益が出ていたこととなります。
 
このように売却が多い中で、銀投資家インデックスは2020年に上昇し、その平均値は59.8と、2011年以来の高値を更新し、前年の53.0からも大幅に上昇していました。
 
なお、銀投資家インデックスは、その月の銀購入量が売却量を上回った顧客数と売却量が購入量を上回った顧客数が完璧に一致した場合に50.0となります。
 
銀投資家インデックスと年間銀価格平均の推移 出典元:ブリオンボールト
 
それでは、2021年は、昨年の記録的な銀地金購入が報われる年となるのでしょうか?
 
ブリオンボールトのウィークリーレポートを購読している顧客に行ったアンケートによると、1,184人の回答者の3分の2近くが銀地金を保有しており、年間平均で19.3%の上昇を予測しており、今年年末にはトロイオンスあたり26.25ドルで取引されると予測しています。
 
「ワクチンに関するポジティブなニュースにもかかわらず、マクロ経済状況は2021年の貴金属投資をサポートし続けるだろう。」と、貴金属専門のコンサルタント会社のMetal Focusのアナリストは投資家の見解に同意しています。
 
「銀は2021年には30ドルを大きく上回る可能性がある。年間平均は40%上昇して28.60ドルとなる。」と、Metal Focusの新たなレポートの Precious Metals Focusでは予想しています。
 
銀にとって有利なマクロ的背景は、金と同様に、金利がインフレのペースに大きく遅れをとっていることにあります。このため、預金と債券の価値の低下はゆっくりと、しかし確実に起こっており、地金現物はますます魅力的な代替投資手段となっています。
 
例えば、米国の債券トレーダーは現在、今後10年間のインフレ率を年率2.0%と予測しており、これは2018年春以降では最速ペースと予想しています。2018年当時、米連邦準備制度理事会(FRB)はゆっくりと主要金利を引き上げ、2015年末のゼロ金利から2019年初頭には2.5%のピークを迎えようとしていました。しかし現在は、経済を活性化させるために、またインフレ連動債であるTIPS債がインフレ率がFRBの目標である2.0%を達成する軌道に乗っていると物語っているにもかかわらず、米中央銀行は、今後3年以上はゼロ金利を維持することを誓い続けています。
 
第二に、金地金アナリストの間でも一般的なコンセンサスとして、銀は2021年には金を上回るパフォーマンスを発揮する可能性が高いと考えられています。
 
金銀比価とその年間移動平均の推移 出典元:ブリオンボールト
 
 
「この(金銀比価)関係は予測できない」と、証券会社Stone XのチーフアナリストであるRhona O'Connell氏はクリスマスの間に指摘しましたが、「現在の(チャートの)構造は、金銀比率が低下することを示唆している」と述べ、弊社が寄稿したロンドン貴金属市場協会(LBMA)の四半期ごとに発行される Alchemist誌のレポートでも説明しています。
 
金銀比価が低下するということは、銀現物価格の上昇率が金を上回っていることを意味し、O'Connell氏が言うように、「ファンダメンタルズは金が上昇することを示唆している」のです。
 
金が上昇した時に銀が常に上昇するわけではありませんが、過去半世紀の間に365日単位では、金が前年から上昇した時の71.6%で銀が上昇しています。そして、両方の貴金属が上昇したとき、銀は365日単位で平均40.5%の上げ幅で、金の上昇率を3分の1を上回っていました。
 
第三に、その可能性は、2021年新年に注目されているビットコインへの大きな賭けとも言える投資状況にも見受けられます。
 
Magic beans(魔法の豆)とも呼ばれるビットコインは、今、過大評価されている 1兆ドルの時価総額の電気自動車ブランドのテスラに挑戦しています。銀の長い歴史では、このような一時的活況の相場、そしてそれをもろともしない態度が、銀相場が急騰した際の状況とぴったりと重ね合うのです。銀は結局のところ、「 悪魔の金属」として知られています。しかし、金やビットコイン、テスラや世界の株式市場とは異なり、銀は史上最高値であるトロイオンスあたり50ドルをはるかに下回ったままであり、過去に2度(1980年1月、2011年4月)この水準に実際に達しているのです。
 
第四に、19世紀後半から20世紀半ばに貨幣として利用されなくなって以来ますます不安定になっているとはいえ、貨幣としての銀の歴史的な役割と富を蓄える役割に加えて、21世紀にこの金属は、工業用、医療用、技術用としての需要を全体の5分の3を占めるまで増加させています。そして、2021年には、コロナ危機後の回復により、世界中で太陽エネルギーへの移行が進み、5Gエレクトロニクスの導入も進んでいることから、大きな恩恵を受けることになると予想されています。
 
第五に、銀を必要とする技術への投資資金の流入は、昨年11月の選挙での「ブルーウェーブ」という、大統領と上院と下院で民主党が過半数を占めるという選挙結果によって、米株式市場がすでに織り込んでいるさらなる経済政策が期待されていることからも加速することでしょう。
 
このように、2021年が初頭に銀への投資は、マイナスの実質金利、金へのレバレッジ、ホットマネートレーダーの間では急速に上昇しているメンタリティ、好調なハイテク需要、そして「グリーンエネルギー」やその他の政府の景気刺激策などを総合的に勘案すると、銀への投資がより有利な状況になります。しかし、このような環境下でも銀投資に全くリスクがないとは思わないでください。銀価格の変動は常に激しく、もし予想に沿った動きをしない場合は大きな損失が出る可能性があることも十分に注意してください。
 

 

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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