【金投資家インデックス】金投資は2020年に記録的な高さで始まる
ブリオンボールトの顧客は19億ドル(2080億円相当)の金地金現物を保有しています。
ブリオンボールトにおける金投資需要は、2020年に重量と評価額のおいて記録的な水準で始まりました。ここで、ブリオンボールトのリサーチディレクターのエィドリアン・アッシュが解説しています。
世界最大のオンライン地金市場を提供するブリオンボールトにおいては、貴金属専門市場で認可されている保管運営会社のロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの保管場所で安全に貯蔵することができます。
ブリオンボールトにおける顧客全体で、この保管場所で保有する金地金の量が12月に0.7%増で39.3トンと史上最高量となっていました。
この規模は世界178中央銀行の51を除きその金準備を上回り、ワールド・ゴールド・カウンシルによって記録されている証券市場に上場されている金に裏付けられている107のETFの14銘柄を除く残高を上回る量で、ドル建てで1月1日に19億ドル(2080億円相当)と前年比19.6%増となっていました。
もちろん、直近の価格の急騰は米国とイラン情勢の緊迫化によって株価が急落する中で投資家がリスクオフをすることによるものでした。
しかし、地金価格でも見れるように、金地金の根本的な需要は、マイナス金利が貯蓄に適用されているユーロ圏の投資家が預金や債券市場から投資家が資金を金へ移していたように、すでに2019年に増加しつつありました。
安全に保管され直ちに売買が可能な現物金地金は、魅力的な投資先ということなのでしょう。特に、そのサービスが低い費用で提供されていることも一つの要因なのでしょう。
ブリオンボールトにおいて、2019年は2017年以来の高い新規顧客数となり、前年比25.4%上回っていました。
この増加率は、ユーロ圏の投資家で顕著で、この圏内の19カ国の新規顧客数は前年比65.7%急増し、ユーロ圏の債務危機が起きていた2012年以来の高さとなっていました。そして、この地域の新規顧客数は、全体の43.5%に及んでいたのです。
この高い金の需要は、2019年にドル建てで前年比18.8%高のトロイオンスあたり1523ドルという史上3番目に高い終値を付け、ユーロ建てとポンド建てでは史上最高値のそれぞれトロイオンスあたり1358ユーロ(21.2%高)、1157ポンド(15.2%高)を記録する中で起こっていました。
12月の価格の上昇は、月間で購入が売却を上回ったネットの購入者数が前月比0.5%減少し、ネットの売却者数は11月の14ヶ月ぶりの低さから23.2%増加していました。しかし、投資規模が大きい顧客の購入量が規模の小さい顧客の利益確定の売却量を上回っていたのです。
そこで、実際に行われた取引データで算出される金投資家インデックスは、前月の56.2から55.6へと8月以来最も低い数値へ下げていました。
金投資家インデックスは50であった場合、その月の購入が売却を上回った顧客数と売却が購入を上回った顧客数が完璧に一致したこととなします。
先月12月は、2012年の58.3以来の最も高い12月の数値となっていました。そして、5ヶ月連続で金投資家インデックスが55以上の数値をつけていました。この長期の高い水準は2011年の下半期以来となります。
ブリオンボールトで保有保管されている銀地金総量は、重量と評価額共に新たな記録で、3.2トン増の822トンで評価額4億7700万ドル(520億円相当)と、2019年初頭から28.1%上回るものでありました。
また金地金同様に、その月に購入が売却を上回ったネットの購入者数は6.5%下回り、ネット売却量は26.7%上回っていました。
そのために、銀投資家インデックスは54.9から53.5へと7月以来の低さへと下げていました。しかし、前年同月は50.1と2年ぶりの低さであったことからも、同月の数値は遥かに上回っていました。
また、金と銀同様に、ブリオンボールトで顧客が保有するプラチナは、重量と評価額で共に2019年に史上最高値で前年比45.3%増の0.9トンで、評価額は77.4%増の3000万ドル(33億円相当)となっていました。
そのために、新年1日にブリオンボールトで顧客が保有し、貴金属専門保管場所で貯蔵されている地金の評価額総額は、24億ドル(2630億円相当)となっていました。
2020年の金投資需要の高さと価格の高さを保証するものはありません。
しかし、今年の最初の週においては、金投資需要は金価格が上昇する中で強いものがありました。これは、年初1月にドル建て金価格が上昇するという過去8年間の年初のパターンでもあります。