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【金投資家インデックス】金投資はトランプ大統領選出以来の高さではあるものの価格の高騰で金投資家インデックスは下げる

金購入者数は7月に3%減少していましたが、売却者数は58%増加して13ヶ月ぶりの高さとなっていました。

金地金が史上最高値へ急上昇したことで、多くの利益確定の売却を引き起こすこととなったものの、新たな投資家からの貴金属投資需要は継続していました。

2020年には、7ヶ月を経過してブリオンボールトにおいては、世界金融危機時に金投資がピークを迎えていた2011年を除いて、過去最大の新規顧客数を記録しています。

2005年にサービスを開始し、現在では世界の85,000人を超える顧客の36億ドル(3,840億円)相当の金・銀・プラチナ地金を保管している、オンラインでPC及びスマートフォンサイトで貴金属投資サービスを提供するブリオンボールトにとって、年初から7ヶ月間の金地金の売却量を差し引いたネット需要は過去最高を記録することとなりました。

確かに、コロナ危機の当初のショックは落ち着きを見せていますが、投資リスクを分散させるための手段としての金の魅力は、パンデミックが長期に渡り経済に悪影響を及ぼすことが明らかになるにつれて、増していると言えるでしょう。

7月に金購入の需要は、米国と英国で急増したことが明らかとなりました。これらの国々では、大統領選が100日に迫り、Brexitの移行期間の終了が150日に迫っています。

7月の金地金価格は、全ての通貨で史上最高値を記録し、2011年夏の米国ドル建て価格の最高値を上回り、1ヶ月間の平均でトロイオンスあたり1843ドルを付け、前月比6.4%の上昇と2016年2月以来の最も速いペースでの上昇を記録することとなりました。

そのために、金地金を売却することを選択したブリオンボールトの顧客数は、6月と比較して58.2%増加し、昨年6月以降で最も高い数値となり、この間購入者数は2.9%減少していました。

そこで、世界最大のオンライン市場を提供するブリオンボールトにおいて個人投資家が実際に取引をしたデータを基に算出される金地金投資家インデックスは、6月の60.2から57.9へと5ヶ月ぶりの低水準となり、3月の65.9という9年ぶりの高水準からも急落することとなりました。

しかし、コロナ危機の最中の数ヶ月を除いた場合、7月数値はトランプ大統領が選出されて金投資が急増した2016年11月以来の最高値でもあったのです。

また、先月は英国と米国の投資家がブリオンボールトの新規顧客の57.5%を占め、2018年4月以来最大の新規顧客の割合となり、それ以前の12ヶ月間の平均である40.0%を上回る強さを見せることとなりました。

これにより、7月はブリオンボールトが設立以来15年間の中でも8番目に新規顧客数が多かった月となったものの、他の市場として最大10位に入る市場では、当初のコロナ危機からのショックから落ち着きを取り戻す中で新規投資家の増加が鈍化することとなりました。

それは、ドイツの新規顧客数は、前回の12ヶ月平均から26.5%減少し、イタリアは20.9%減少し、フランスは19.3%減少するというようにです。

それとは対照的に英国では、7月の新規顧客数が81.1%増加したのに対し、米国は116.1%増加していました。

7月の銀地金価格もまた、米国ドル建て月平均15.2%上昇し、2016年半ばに英国で行われたBrexitの国民選挙以来最も速いペースで上昇し、トロイオンスあたり20.41ドルと6年ぶりの高値を記録していました。

これは、投資家による銀地金売買に拍車をかけ、付加価値税20%が課されることなく銀投資ができるブリオンボールトにおける取引量は前月比評価額で155%増加し8330万ドル(88億円)相当と創設以来の高さを記録していました。

銀の購入者数は6月から57.4%増と4ヶ月ぶりに増加し、売却者数は92.0%増と過去最高を更新したたものの、銀投資家インデックスは先月の57.0から58.9へと上昇していました。

この数値は、今年3月にコロナ危機の影響で75.1に達した過去最高記録となった銀投資家インデックスを除けば、7年ぶりの高値となっていました。

このような中、先月の金の取引高は6月比50.1%増の1億40万ドル(110億円)相当となり、3月に記録した2億670万ドル以来の高水準となっていました。

7月のネット金需要が0.3トンであったことから、年初からの資金流入量は4.7トンとなり、ブリオンボールトの顧客は総量43.9トンの金地金を、選択可能な保管場所のチューリッヒ、ロンドン、ニューヨーク、トロント、シンガポールで保有していることとなります。

この量は、大部分の中央銀行の金準備を上回り、この金地金の評価額は28億ドル(2,930億円)相当となります。

8月はこの傾向が停止するのか、それとも傾向が変化するのでしょうか?金地金、特に銀地金価格の高騰は、ある段階で一息つくことが予想されます。しかし、今月初めの数日を見る限り、新たな利益確定が出ることになったとしても、金及び銀地金の需要が弱わまることを示唆するものではありません。
 
また、7月の金価格は劇的な上昇を見せましたが、先月の111ドルの上昇は、ドルベースでは過去3回(2012年9月、2011年8月、1980年1月の1日平均220ドルの上昇)、上昇率では過去35回の上昇を記録しています。
 
1980年1月の金の平均価格は、7月の6.4%上げに対し、1ヶ月間では48.4%上昇していました。
 
7月の銀価格の驚異的な上昇も、一見するとそれほどのものではありませんでした。銀価格は、過去10年間だけでもこのような上昇率で8回も上昇しており、過去半世紀の間には22回もこのような上昇率を見せています。
 
また、銀価格の上昇率としては、前月比75.4%だった1980年1月が傑出しています。
 
このように、銀価格は、地政学的リスクの高まり、社会不安、制御の効かないインフレなどを背景に、過去に見られた急騰、そして急落を起こすのでしょうか。安全性を金に求めている、もしくはボラティリティの高い銀で利益を狙う投資家や貯蓄家は、11月の米国選挙と12月の英国の欧州連合(EU)離脱を注視していることは間違いないでしょう。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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