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【金投資家インデックス】金価格が急騰する中で新たな金投資家数が159%増となる

多くの一般投資家がトランプ氏が大統領選で勝利して以来のペースで金を購入していました。

先月は、トランプ氏が大統領選で勝利したほぼ3年前以来最も多くの一般投資家が金を購入していました。これは、G7諸国の中の一般投資家が利用する最大のオンライン現物地金市場であるブリオンボールトのデータとなります。

この市場では次の規模の取引が行われています。

  • ブリオンボールトの顧客は、多くの世界の中央銀行の金準備高を超える38.2トン、評価額で1270憶円の金をブリオンボールトが手配している保管場所で貯蔵しています。
  • 8月の総取引量は1270億ドル相当。
  • 175か国の76,785人の顧客が、2005年のサービス開始以来利用しており、ほぼ90%は米国、欧州、日本、カナダに居住しています。

もし、金価格上昇時の金需要が金融市場への懸念を測るものであれば、ブリオンボールトでは一般投資家がオンラインで簡単に金取引でき、スマートフォンでもリアルタイムの金価格で費用を抑えて取引ができ、 ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから選択できる専門市場が認可している保管場所で専門市場同様の格安費用で保管できることからも、欧米の一般投資家の金投資傾向を見ることができる市場と言えます。

そして、彼らは先月急激に近い将来への懸念を高めたようです。

8月に金価格が3か月連続で上昇し、ドル建てで6年半ぶりの高さで、ユーロ、ポンド、インドルピー、豪ドルなどの多くの通貨では史上最高値を付けていました。そして、日本円においてはほぼ40年ぶりの高値を付けていました。

そのような価格急騰の中で、利益確定の売却が購入を上回ることなく、バーゲンハンター的購入と利益確定の売却という2016年のトランプ氏が大統領選で勝利して以来のパターンを崩すこととなりました。

そして、さらに顕著であったのは、新たな顧客数が6年ぶりの高さまで上昇していたことでした。

 

 

7月末からの1か月間で6.7%上昇した先月は、確かに既存の顧客の中での利益確定の売却も進めてはいました。

しかし、一月間で購入が売却を上回ったネットの購入者数がネットの売却者数の増加を上回り、2016年11月以来の高さの前月比34.2%と急増していました。

そのために、ブリオンボールトで実際に取引が行われた数値を基に算出される金投資家インデックスは、11か月ぶりの高さの55.0と7月の52.6を大きく上回っていました。

なお、今年6月には金投資家インデックスは10年ぶりの低さの49.1へと下げていました。この数値は50を下回るとその月の売却者数が購入者数を上回ったことを意味します。

それ以来この数値は12.0%上昇しており、この2か月間の早いペースは、2011年9月に金価格がトロイオンスあたり1920ドルと史上最高値を付け、金投資家インデックスも71.7とピークを記録した時以来のものでもあります。

また、今回注目すべき点は、金価格の動きと金投資家インデックスの動きの負の相関性が崩れたことでした。

2016年11月から2019年3月までの間の、20.6%の期間のみでドル建て金価格と金投資家インデックスは同じ方向に動いていました。しかし、今年に入り過去5か月間においては、4か月間この二つの数値は同じ方向に動いています。

そして、新規顧客数は過去12か月の平均と比べると、8月に159.7%と2013年4月以来の高さを記録していました。

当時は金が30年ぶりに急落をしていたことから、バーゲンハンター的需要が高まっていたからでした。それに対して、2019年8月は、ドル建て価格で2016年2月以来の急激な1か月間の上昇で、7月の月間平均から8.8%高でトロイオンスあたり1540ドルを超えていました。

ブリオンボールトにおける英国と米国からの新規顧客数は2016年11月のトランプ氏の大統領選勝利時以来の高さで、過去12か月の平均をそれぞれ133.6%と98.1%上回っていました。

また、ユーロ圏からの新規顧客数は、178.3%上回っており、これは2012年1月以来の最も高い1か月間の数値となります。この内訳は、ドイツとスペインからの新規顧客が史上最高となっていたことに牽引されていたことからでした。

ユーロ建て金価格は月間平均価格では、8月に7.0%上昇して1398ユーロと、新たな史上最高値を更新していました。これは、ユーロ圏の債務危機最中の2012年9月の最高値を15ユーロ上回るものでした。

そして英国の一般投資家にとっては、金価格は前月平均値から8.8%高のトロイオンスあたり1271ポンドと史上最高値となっていました。これは、英国で歴史的にも最悪の暴動が発生した2011年9月の過去最高価格を75ポンド上回るものでした。

重量においても、購入が売却を上回り、過去3か月の利益確定の売却の傾向を変え、328キロ増で、評価額では17億円増となっていました。

そのために、ブリオンボールトの顧客が保有する保管されている金の総量は38.2トンと、5月から7月の減少量の33.2%となっていました。

 

 

銀の投資は、銀価格が急騰していたことからも、金を超える水準で8月に急激に増加していました。

8月末にトロイオンスあたり18.30ドルで終えた銀価格は、ドル建て価格で2016年9月以来の高い終値、ポンド建てで3年ぶり、ユーロ建てでは2年半ぶりの高値を付けていました。

銀の購入者数は、過去4年間で最も早いペースで増加し、前月比47.7%増となっていました。この数値もまた、2016年のトランプ氏の大統領選勝利時以来の水準でもありました。

しかし、売却者数は7月から7.3%増のみにとどまっていました。この間銀価格は、英国がEU離脱を決めた国民投票の結果が発表された2016年6月以来の早いペースで上昇し、ドル建てで8.8%高となっていました。

そこで、銀投資家インデックスは7月の51.4から8月に54.9と2017年7月以来の高さとなっていました。

そして重量においては、金と同様に大きく増加し、顧客が保有する銀総量は13.8トン増の781トンと、過去12か月で8度目の史上最高値更新となっていました。

それでは、ここから分かることはどのような事なのでしょうか。

金融システムのリスクをヘッジする金と銀を購入する需要は、価格と共に先月急増したのでした。

2019年の夏はブリオンボールトにおいては、金と銀の投資家インデックスは金価格と共に、さらに金と銀の保管総量と共に高まったのでした。

このように、金・銀価格と共に、金・銀投資者数と金・銀保管総量が上昇したのは、2016年5月以来のことです。

これは、英国がEU離脱を決めた国民投票の一月前で、価格がその春の高値からさらに上昇をしていた頃でした。

この夏の新たな金と銀の購入者は近い将来に価格が大きく下げるとは思っていないようです。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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