【金投資家インデックス】地金取引が82%増の中、銀投資が史上最高を記録
金と銀価格のボラティリティの高さから、投資需要が高まっていました。
9月に経済指標が悪化していたことが明らかとなり、地政学リスクも高まる中で、一般投資家の金投資の需要は継続して増加し、銀投資においては過去最高の水準へと高まっていました。
9月に金価格は、英国ポンドとユーロ建てで史上最高値を更新し、月末に大きく下げながらも、ドル建て月間平均価格では前月比0.8%高のトロイオンスあたり1511ドルと2013年3月以来の高さへ上昇していました。
銀価格は、過去3年間で最も高い月間平均価格を記録し、前月比6.0%高でトロイオンスあたり18.17ドルを付けていました。そして、金同様に30日に大きく下げたものの、4か月連続で上昇していました。
そして、貴金属価格のボラティリティの高さからも、ブリオンボールトにおける金、銀、プラチナの日々の平均取引量は410万ポンド(5億3300万円相当)と、過去12か月平均を82%上回っていました。
9月に月間で金購入量が売却量を上回った顧客数は、前月にトランプ大統領が選出された2016年11月以来の高さへ達していた8月数値より8.6%減となっていたものの、売却量が上回った顧客数が前月比26.5%と3倍強減少していたことからも、金投資家インデックスは前月の55. 2から56.0へと上昇していた。これは13か月ぶりの高さとなっていました。
2019年の貴金属投資の増加はユーロ圏で顕著となっていました。ここにおいては、すでに多くの国々でマイナス金利が導入されており、第二のドットコムバブル崩壊への懸念もまた、一般投資家にとっては貴金属を魅力的なものとしているようです。
9月の新規顧客数は、先月の3年ぶりの高い水準からは32.8%下げてはいましたが、12か月の平均を60.7%上回るものではありました。
ここでもユーロ圏からの新規顧客数の伸びは顕著で、12か月の平均値を72.6%上回っていました。それに対し、英国からの新規顧客数は43.2%増しで、米国からの新規顧客数は0.9%下回っていましたた。
ユーロ圏の投資家は、銀の需要もけん引し、9月の月間の需要は重量にしてネットで21.2トン増と、月間増加量としては2010年1月にブリオンボールトが銀投資サービスをオンライン金地金現物市場に加えて以来の史上最高値となっていました。
これにより、顧客が保有し、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒで専門市場で認可されている保管場所で貯蔵されている銀の総量は、802トンと新たな記録を更新していました。
9月の金の需要は、重量においても73. 9キロ増となっていました。そのために、顧客によって保有され、専門市場が認可するニューヨーク、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒの保管場所で貯蔵されている金の総量は4か月ぶりの高さで38.3トンとなっていました。
銀価格は、9月の初めに2019年の最高値で、2016年以来の高値のトロイオンスあたり19.65ドルを付けて、月末にトロイオンスあたり2.4ドル大きく下げていました。
このようなボラティリティの高さからも、多くの人々が銀を購入し、9月に月間で銀購入が売却を上回った顧客数は前月の3年ぶりの高さから4.7%下げたものの、売却が購入を上回った売却者数は、前月の2.5年ぶりの高さから15.9%下げたために、前月の54.9を上回る55.9と2年ぶりの高さとなっていました。
それでは、ブリオンボールトのデータを他の市場とも比較してみましょう。
米国造幣局のデータでは、金地金コインと銀地金コインの需要は、9月の価格の上昇時に高まることなく、前年比の25%に満たない等、引き続き減少していました。
金の宝飾品としての需要は、これらの巨大市場の中国とインドでも高い価格のために伸びていなかったとのことです。
そして、銀ETFの最大銘柄のiShareシルバートラストは、9月に1.6%の資金が流出していました。
しかし、金を裏付けとする金のETFにおいてはブリオンボールト同様に、資金の流入が確認されており、2012年の史上最高値に近い水準まで上昇し、4か月の増加量は、金融危機最中の2009年初頭以来の大幅な量となっていました。
ワールドゴールドカウンシルの更新されたデータによると、6月からの金のETFへの投資は世界で産出された金の3分の1となっていました。
先をまとめると、政治上の亀裂が広がりが、金へとリスク分散をさせる動機づけとなっているのに対し、過大な財政出動への動きが、景気循環増幅性(Pro-cyclical)のある銀への需要を高めているということでしょう。
銀は工業用途需要の割合が高く、市場規模は金の1割に満たない銀は、数千年前は富を蓄え交換する用途でも使われていました。
9月のブリオンボールトでの一般投資家の動きを見ていると、金融システムの保全として地金投資を進める人々がより増えていると言えるでしょう。