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【金投資家インデックス】トランプ大統領の貿易関税発動で金価格が史上最高値をつける中で投資家の利益確定売却を続ける

しかし、新規顧客数は増加していました。
 
新年を迎え、金現物への新たな投資の波が押し寄せていることが、世界でも有数なオンライン貴金属投資サービスを提供するブリオンボールトの最新のデータで明らかとなっていました。
 
しかし、ドナルド・トランプ大統領のホワイトハウスへの復帰を受け、「安全な避難場所」である金地金が史上最高値を更新する中、欧米在住の既存の金地金保有者は、保有量を減らし、利益を上げています。
 
ブリオンボールトでは、この1月に過去12ヶ月の平均を2倍以上上回る新規顧客数を記録していました。しかし、顧客の金地金の保有量は、過去17ヶ月で16ヶ月目となる減少となっていました。
 
金価格は、投資家が売却するよりもはるかに速いスピードで上昇し続けました。そのため、顧客がロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから選択した場所で安全に保険が掛けられて保管されている地金の評価額は7.4%上昇し、40億ドル(ポンド建てで8.6%増の32億ポンド、ユーロ建てで7.9%増の38億ユーロ、日本円建てで5.9%増の6,150億円)と新たな記録となっていました。
 
これは、ブリオンボールトのユーザーによる記録的な利益確定の中で、保管されている金地金の評価額は引き続き増加していた2024年のパターンを継続させるものです。トランプ大統領の貿易関税は、金価格の記録的な高値に拍車をかける最新の危機に過ぎません。
 
実際、欧米の投資家にとっては、5年前にコロナ危機が始まって以来、貴金属は2倍以上に上昇しています。
 
しかし、トロイオンスあたり2800ドル、また2250ポンド、2700ユーロ、さらには1グラムあたり14000円を超える高値で、世界の富裕層の投資家たちは、金からは正味わずかな利益確定の売却のみをしています。
 
そのため、金地金のポートフォリオ内の配分の大部分は、2025年がすでにもたらした新たなリスクとボラティリティに対するヘッジとして、価値を高めているのです。
 
金投資家インデックスとドル建て月末金価格 出典元 ブリオンボールト
 
ブリオンボールトの英国の経済界で権威のある女王賞を革新部門で受賞したプラットフォームで低費用のサービスを利用し、安全に保管されている金地金を個人で保有し始める、もしくは追加した投資家の数は、先月12月の数字から3.7%増加していました。
 
しかし、月間で購入を上回る売却をしたネット売却者数は61.5%増加し、3ヶ月ぶりの高水準で3月以来の急上昇となりました。
 
この結果、金投資家インデックスは1.6ポイント低下し52.7となり、9月以来の低水準となり、11月の米国選挙でトランプ大統領が大勝した際に記録した18ヶ月ぶりの高水準を2.4ポイント下回ることとなりました。
 
2009年以来、ブリオンボールトで実際に行われた取引データを基に、毎月月間のネット購入者数とネット売却者数から算出している金投資家インデックスは、2020年3月にコロナ危機が世界的に広がった際に65.9で10年間のピークを記録しました。そして、昨年3月に47.5と過去最低を記録しています。このネット購入者数がネット売却者数を下回ると下回る50を割ったのは過去3度のみとなっています。
 
指数の下落を食い止めたのは、初め金地金を購入する人の数がさらに増加したことからでした。2025年1月、ブリオンボールトの口座を開設し、安全に保管された金、銀、プラチナ、パラジウムを購入する人の数は、2024年の低調なスタートと比較しても2倍以上(117.4%増)に増加していました。そして、2024年の月平均と比較すると、新規顧客数は40.8%増加し、英国在住顧客においては前年比56.0%増、ドイツは64.3%増、オランダは66.9%増となっていました。
 
対照的に、フランスはバルニエ首相の辞任と緊縮財政予算の間で政治危機が小休止したため、昨年の月平均ペースから11.9%減少していました。
 
米国は、ドナルド・トランプ氏が11月の選挙で圧勝し、ホワイトハウスへ戻ってきたことからも、静かな状態が続き、新規顧客数は、2024年の月平均から20.9%減少し、6月以来最も少なくなっていました。
 
一方、ブリオンボールトの顧客が保有する銀地金量は、重量ベースでは12月の3ヶ月ぶりの高値から変わらずに1月を終え、銀価格は金と同様に上昇し、7週間ぶりの高い水準ではあったものの、評価額ベースでは7.3%増の11億ドル(ポンド建てで8.9%増の9億4700万ポンド、ユーロ建てで8.0%増の11億ユーロ、日本円建てで5.7%増の1810億円)を超え10月以来の高水準となっていました。
 
銀投資家インデックスは49.7と、過去12ヶ月で5回目の50以下となっていました。
 
貴金属価格の高騰には常に利益確定の売却がつきまといます。しかし、貴金属価格は投資家が売却を選択するよりもはるかに速いスピードで上昇を続けているのです。   
 

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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