【金投資家インデックス】トランプ大統領の政策による混乱の深まりで金投資が急増 木曜日, 3/06/2025 15:06 2月に約4年ぶりの新規金地金購入者数を記録しました。 トランプ政権第2期目に、新大統領が選挙で約束した政策的混乱をもたらす中、金投資が急増していることが、世界有数のオンライン貴金属現物市場を提供するブリオンボールトの最新のデータで明らかとなりました。 ブリオンボールトの24時間運営されているサービスを利用している投資家が、安全に保管している金地金の評価額は、初めて40億ドル(32億ポンド、38億ユーロ、6,060億円)を上回りました。 先月は、新規投資家数が2021年5月以来最高となり、ブリオンボールトで金地金の保有を開始もしくは追加した人は、1月の数字から33.6%増加していました。 その結果、金投資家インデックスは3.6ポイント上昇し、過去10ヶ月で最も高い56.3となり、2022年10月以来の高い数値となりました。 金投資家インデックスは、2009年から毎月金の買い手と売り手のバランスを追跡しています。それは、新型コロナ危機が世界的に流行した2020年3月に65.9の10年来のピークを記録し、金価格の上昇によって既存の所有者による激しい利益確定売りに拍車をかけた昨年3月の47.5が、過去最低値となっています。 50.0を上回った数値は、その月に買い手の数と売り手の数が完全に一致したことを意味します。 何がこの急上昇に拍車をかけているのでしょうか? 欧米の投資家は、新興市場の中央銀行とともに、万能のヘッジとして金を購入しています。すべての市場のトレーダーは、今や金融政策よりもとランプ大統領のTruthsocialの投稿を注視しています。 ボラティリティも後押ししています。先月、金価格はすべての主要通貨で6%程度変動し、長期保有者に、新規投資家とともに、このボラティリティを利用した売買の機会を提供していました。 ドル建てで見ると、金は 2月に過去最高値を10回更新し、これは、金の世界金融危機時の強気相場のピークであった2011年9月に匹敵し、1978年10月に記録した月間12回以来最多となっています。 ユーロと英国ポンド建てでは、金は史上最高値を更新し続け、2024年にこれらの通貨建てでの金価格の最高値の回数の記録を更新していました。 ブリオンボールトは、11万人の顧客の9割が西ヨーロッパと北米に居住しています。ここロンドン西部のハマースミスから、ブリオンボールトが定期的に行っている投資家調査によると、ブリオンボールトの顧客は、投資可能な資産の5分の4を貴金属以外の資産で保有しています。2025年新年の調査では、2022年にロシアによるウクライナへの全面的な侵攻が始まって以来初めて、地政学が金融政策を上回り、金価格を牽引する要因のトップになったことが示されていました。 先月、初めて金地金を購入するために口座に資金を入金した新規ユーザーは、1月の数値から22.4%増加し、12ヶ月平均から62.5%急増し、2021年5月以来最大となっていました。 これは、英国(12ヶ月平均から80.9%増で2021年3月以来の多さ)、ドイツ(89.3%増で2022年3月以来の多さ)、そして米国(137.4%増で2023年4月以来の多さ)が牽引していました。 つまり、10月の米国選挙直前から報告されてきた欧州の金購入者の増加は、米国の投資家にも広がり続けているのです。しかし、歴史的には低いベースから始まっているのです。 また、世界的に見ると、この金地金需要の急増は、ゴールドラッシュとは程遠いものであることに注意してください。2月にブリオンボールトに初めて金地金を購入した投資家の数は、過去4年間で最も多かったものの、その数は2020年8月の新型コロナ危機や2011年9月の世界金融危機のピーク時の半分以下に過ぎませんでした。 ブリオンボールトの24時間体制のオンライン市場では、顧客の利益確定売りを差し引いた2月の金地金の購入量は、2023年6月以来最も多い0.2トンとなっていました。 この需要は、1月のネット売却量を上回るものであり、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの専門倉庫で安全に保管されているブリオンボールトの顧客の金地金の総量は、44.1トンを超え、3ヶ月ぶりの高水準となりました。1月の4年半ぶりの低水準から0.4%上昇し、顧客の保有金評価額は1.1%増加し、過去12ヶ月で9番目の新記録となり、初めて40億ドルを上回っていました。 銀投資家インデックスは、1月に50.0を下回り、過去12ヶ月で5度目となる買い手よりも売り手が多い結果となりましたが、2月には2.2ポイント上昇し、51.9となっていました。 しかし、ブリオンボールトの顧客は、銀を売り越し、4ヶ月ぶりに全体で保有量を減らし、約5トンの銀を売却していました。その結果、顧客の総保有量は0.4%減の1,151トンで、評価額は11億ドル相当(9億1,500万ポンド、11億ユーロ、1,730億円)となっていました。 貴金属投資は現在、安全資産である金を、産業成長の象徴である銀よりも好む傾向にあります。これは、トランプ政権二期目(Trump 2.0)が西側の軍事および貿易同盟の80年にわたる枠組みを覆す中での地政学的および経済的見通しと一致しています。しかし、両貴金属とも史上最高値で取引されており、投資家のセンチメントは金と銀の双方に対して前向きであることは間違いないでしょう。