【金投資家インデックス】トランプ大統領による混乱が深まる中で、金投資需要が急増 火曜日, 4/08/2025 15:24 トランプ大統領の不安定な米政策が金を史上最高価格へ押し上げました。 金地金価格の新高値更新は、2025年の現物投資への個人投資家の需要の回復を妨げるものではありませんでした。 安全資産とみなされている金地金の価格は、年初からの3ヶ月間で19.4%上昇し、ドル建てでは1986年第3四半期以来の四半期ベースで最も大幅な上昇となりました。また、金は1979年の記録的な年間の新高値更新回数である22回以来最も多い、20回の史上最高値を更新していました。 このような中で、個人投資家は金地金を売却したのではなく、ブリオンボールトで保有する金地金の量を、86kg(0.2%)増とわずかではあるものの44.2トンとし、6四半期に渡る利益確定売りから反転していました。 貴金属価格の急騰と相まって、ブリオンボールトの顧客が、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒで安全に保険がかけられて保管している金地金の評価額は、新記録となる44億ドル(34億ポンド、41億ユーロ、6,630億円)となり、年末からは、19.5%(ポンド建てで15.9%増、ユーロ建てで15.1%増、日本円建てで14.0%増)増加していました。 トランプ2期目が米国主導の世界秩序を根底から覆す中、金はすでに21世紀で最もパフォーマンスの高い資産となっています。米国大統領の関税政策と、ロシアのウクライナ戦争に対する彼のますます不安定なスタンスは、5年前のコロナ危機時よりも強力な、金価格最高値を続けさせる完璧な混乱を引き起こしています。 金は、地政学的な不確実性、経済のスタグフレーション、株式市場の下落で魅力を高めます。トランプ大統領はこの3つをすべて実現しているのです。 ネットの金需要と同様に、金投資家インデックスは、月間の買い手の数と売却を選択する人の数を追跡するユニークなセンチメントの指標であり、1月から3月の平均は54.5で、昨年の最終四半期から0.2ポイント上昇し、2023年春以来最も強い四半期値となっていました。 金投資家インデックスは、50.5という四半期ベースで過去最低を記録した昨年の第1四半期と比較すると、4.1ポイント上昇しており、2020年のコロナ危機以降、4四半期ベースで最も急激な上昇となっていました。 ブリオンボールトの金投資家インデックスは、50.0を上回った場合、売り手よりも買い手が多いことを示しています。この指数は、昨年3月に金が初めてトロイオンスあたり2100ドルを超え、金投資家の間で記録的な利益確定売りに拍車がかかった際に、47.5という月間最低値を記録しました。 しかし、月曜日は金がこの時点から1000ドル近く上昇したため、金投資家インデックスは54.6となり、長期的な平均値と完璧に一致し、45ヶ月ぶりの高水準となった2月からは1.7ポイント減少していました。 そのため、金の上昇のペースが見出しを飾るのは当然ですが、金投資需要の好転は今日まではとても慎重なものとなっていました。しかし、史上最高値を更新し続ける金は、新たな買い手を惹きつけています。これは金へ資金が殺到しているというのではなく、昨年の低需要と利益確定売りからまだ十分に回復はしていません。トランプ大統領の政策によって株式市場の調整が暴落に転じるようなことがあれば、金の魅力は価格と同様に、まだまだ続く可能性はあります。 先月ブリオンボールトで貴金属現物投資のために開設された新規口座数は、2月に見られた4年ぶりの高水準から4.0%減少していました。しかし、12ヶ月平均ト比較すると40.5%上回るもので、フランス、イタリア、英国、ドイツの新規顧客数の急増に牽引されたものでした。 銀価格は第1四半期にも急上昇し、ドル建てで15.5%上昇し、四半期ベースでは2022年第4四半期以来の急伸となり、四半期平均ベースでは英国ポンドとユーロの投資家にとって史上最高値を更新していました。 しかし、金地金とは対照的に、銀地金は個人投資家によるネットの(購入を上回る)売却が続いており、ブリオンボールトの顧客は、重量ベースでは新年から13.8トン(-1.2%)の保有量を減らし、2020年12月以降で最も少ない1,142トンとなっていました。 評価額ベースでは、ブリオンボールトの顧客の銀地金保有量は、第1四半期を通して14.2%増加し、月末には12億ドル(9億6,700万ポンド、11億ユーロ、1,870億円)の新記録となっていました。しかし、銀投資家インデックスは、2月の2.2ポイント上昇を半減させ、50.8となり、四半期ベースでも50.8となっていました。 2024年末から1.8ポイント下落したとはいえ、昨年初めの銀投資家インデックスの四半期ベースの過去最低を1.4ポイント上回っており、重量ベースでもこの四半期に購入量が売却量を少ないながらも上回っていました。 トランプ二期目は、要するに、現段階では「安全な逃避先」である金が、産業的に有用な銀の需要を上回っていることを示唆しています。なぜなら、金価格が上昇し、新たな強い買い需要が見られる中で、銀の需要はずっと軟調であることからです。