FOMCメンバーのタカ派とハト派を含むFOMCの基礎知識
明日と21日に開催されるFOMCでの利上げ観測によって、金を含む金融市場が揺れ動いています。そこで、ここではFOMCの基本をまとめてみました。
FOMCとは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略です。ここで、米国の金融政策の一つであるフェデラルファンドレート等の公開市場操作の方針を決定する委員会で、日本銀行の金融政策決定会合と同様の機能を持ちます。そのためFOMCは、米国中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)の理事7名と地区ごとの連銀準備銀行総裁5名の12名で構成され、米国金融政策を決定する最高意思決定機関となります。
FOMCの委員長は連邦準備制度理事会(FRB)議長、副委員長はニューヨーク連銀総裁。その他の委員は、FRBの理事全員とニューヨーク連銀総裁を除く11の連銀総裁のうちの4名が1年毎の持ち回りで選ぶ輪番制で務めています。
現在のメンバーは下記の通りで、それぞれの量的緩和終了後の利上げに対するスタンスは異なります。ここでは、過去のメンバーのコメントから雇用拡大から金融緩和を容認するハト派、そして利上げなどの金融政策の正常化を望むタカ派であるかも追記しましょう。
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FOMCメンバー |
利上げのスタンス |
委員長 |
ジャネット・イエレンFRB議長 |
ハト派(利上げ慎重容認派) |
副委員長 |
ウィリアム・ダドリー・ニューヨーク連銀総裁 |
ハト派(利上げ慎重容認派) |
委員 |
ラエル・ブレナードFRB理事 |
ハト派(利上げ慎重消極派) |
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スタンレー・フィッシャーFRB理事 |
中立派(今月のコメントは利上げ容認派) |
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シェローム・パウエルFRB理事 |
中立派 |
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ダニエル・タルローFRB理事 |
ハト派(利上げ慎重消極派) |
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エスター・L・ジョージ・カンサスシティー連銀総裁 |
タカ派(利上げ容認派) |
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ロレッタ・J・メスター・クリーブランド連銀総裁 |
タカ派(利上げ容認派) |
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エリック・ローゼングレン・ボストン連銀総裁 |
ハト派(今月始めのコメントは利上げ容認派) |
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ジェームズ・ブラード・セントルイス連銀総裁 |
タカ派(先月末のコメントは利上げ慎重容認派) |
先に加え、委員ではない連邦準備銀行総裁7名も会議に参加できますが、議決権は持っていません。
FOMCは6週間毎に8回開催され、2016年は下記のスケジュールで、そのうち4回(*の月)は議長による記者会見もFOMC後に行われます。
2016年FOMCスケジュール |
議長記者会見 |
1月26日-27日 |
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3月15日-16日 |
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4月26日-27日 |
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6月14日-15日 |
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7月26日-27日 |
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9月20日-21日 |
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11月1日-2日 |
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12月13日-14日 |
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米国は2008年のリーマン・ショック後の金融危機を乗り切るために金融量的緩和(QE:Quantitative easing)を下記のように行なってきました。
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時期 |
内容 |
量的緩和第1弾(QE1) |
2008年11月から2010年6月まで |
1兆7250億ドルが、米国債、住宅ローン担保証券(MBS)等を購入することで市場に供給された。 |
量的緩和第2弾(QE2 |
2010年11月から2011年6月まで |
追加の米国債購入で6000億ドルが供給された。 |
量的緩和第3弾(QE3) |
2012年9月から2014年10月まで |
追加でMBSを月額400億ドルと450億ドルの長期国債を購入。 |
そして、昨年12月に歴史的な低金利を続けていたフェデラルファンドレートを0.00%~0.25%から0.25%~0.50%へと引き上げ、昨年末の段階では年間4回の利上げを予定しテーパリングと言われる金融政策の正常化を目指していました。しかし、世界経済の弱含みを背景に今年3月のFOMCで利上げペースを年2回へと引き下げていました。
そして、6月の英国の国民投票においてEU離脱派が勝利しBREXITへの懸念、11月に行われる米国大統領選による先行き不安が広がっていることからも、年内1回の利上げペースへと市場予測は変わりつつあります。
そこで、明日から開催されるFOMCで利上げが行われるかについて、市場予想はFEDWachでは本日の段階で15%とかなり低い確率となっていますが、12月の利上げは56.5%まで上昇しています。