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金投資の強気傾向は前月比弱まったものの継続

5月のブリオンボールトの市場においては、金の購入者数が増加したものの、大規模投資家はポジションを縮小することとなりました。

4月の30年来の金価格の急落による、欧米投資家の金の需要は、アジアの金の需要よりもいち早く満たされたようです。ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが、5月の金投資傾向をまとめています。

4月に起こった金価格の15%下落は、世界の金現物需要を高めました。アジアの国々においては、金現物が不足し、高いプレミアムを支払わなければならないにもかかわらず、欧米においては、個人投資家の需要は既に満たされたれつつあるようです。そのため、ブリオンボールトがまとめる金投資家インデックスの、5月数値の下げは予想できるものでした。

それでは、金投資家インデックスは何を表しているのでしょうか。オンライン金現物投資サービスを欧米の個人投資家へ提供する会社としては、世界最大規模のブリオンボールトは、ユーザーが金現物の売買をオンラインで行なうことを可能とします。ブリオンボールトがまとめるインデックスは、ブリオンボールトにおいて1ヶ月間に金購入量が金売却量を上回ったネット購入者と、その逆のネット売却者のバランスを表したものです。

ロンドン貴金属市場協会で四半期ごとに発行されている「Alchemist」の記事でも説明されているように、この数値は、月初に既に金を保有しているユーザーのその月の金投資への傾向を表すものであり、50である場合は、ネット購入者数とネット売却者数が完璧に一致したことを示します。

そのため、2013年5月の53.0は、過去16ヵ月で最も高い水準となった4月の数値からは9.6%下げたものの、個人投資家は金投資へ引き続き強気傾向であることを示しています。これは、先月金利や株価が上昇しつつあった環境下においてです。さらに、ブリオンボールトのデータからは、より多くの人々が貯蓄の手段として金投資を加えていることも表しています。

このように、5月の数値において金投資への強気傾向は継続しているものの、先月重量においては、ブリオンボールトのユーザーによる売却量は、購入量を上回ることとなりました。これは、4月の傾向を引き継ぐものです。そして、大規模な投資家は、そのポジションを縮小したにもかかわらず、金所有者数は継続して増加していることも明らかとなりました。その結果、ブリオンボールトが、ニューヨーク、チューリッヒ、ロンドン、シンガポールで貯蔵するの金の総量は、1.1%減少し32.4トンとなりました。

そのため、長期保有をしている人々の中には、ポジションを縮小し、今後の状況を見極めようとしている人々がいることが分かります。もし、金融及び債務危機が落ち着きを取り戻しつつあるという見方が広がれば、この傾向は続くかもしれません。しかし、新規の金購入者が増加したことを見ると、大規模な少数の個人投資家が金投資を行なうというものから、多くの個人投資家が金融商品のヘッジ目的で金所有を行なうという傾向へと、根本的な変化が起こりつつあると言えるのかもしれません。

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エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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