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金の需要について

金の需要は総重量を見ると落ちていますが、ドル建て金価格上においては引き続き高い需要がありました。2009年の金の需要はシンプルではなかったようです。

「金価格がユーロ建てで過去最高を記録し、ドル建てにおいては、オンスあたり1,100ドルを維持していることから、金の需要は今まで以上に高いことは確実です。」と一般投資家及び機関投資家向け投資情報をオンラインで提供しているHard Assets InvestorのJulian Murdoch氏は述べています。

そのように考えてよいのでしょうか?

先月のワールド・ゴールド・カウンシルが発表した最新の需要と供給のレポートでは、いくつかの驚くべき情報が含まれています。それは、2009年には実際の金の需要は、総重量においては、前年比11%落ちていたということです。しかし、オンス当たりの平均価格が2009年は高かったために、ドル建て金評価額上の需要は、2008年とほぼ同等レベルとなっています。

金の需要は、金地金、金貨、宝飾品用、歯科医療用、電子機器用、工業用など様々なところからのものがあります。そして、その用途によって、本質的に需要への影響力がよりあるものがあるとしても、四半期ごとに、その需要が用途によって移行していることも見ることができます。

ワールド・ゴールド・カウンシルの金需要のレポートでは、金価格連動型上場投資信託(ETF)は、金需要の全体においては、あまり大きな影響力を持っていないことが表されています。事実、2010年の現段階においては、金価格連動型上場投資信託への需要はあまり高くないようです。

SPDR Gold Trust(NYSEにおいてはGLD) によって保有されている金地金は、年間で1.6%減少し1,115.51トンとなっています。これは、一昨年45%保有量を増加したことと比べると、大きな変化です。しかしながら、この45%という数値は、多少誤解をまねく可能性があります。確かに、2009年全体では、GLDと他の金価格連動型上場投資信託(ETF)にとって良い年だったといえるでしょう。しかし、前年度比87%上昇しているとはいえ、新規投資需要は、2009年第二、三、四半期においては、急激に落ち込んでおり、ETFへの長期の需要は確実に落ちているようです。

現物金貨、また金地金を購入する人々は、2008年と2009年の暮れの正常ではないレベルの需要と比べると投資額を減らしていますが、ETFへの投資への需要が前年比67%減少したのに対し、55%の減少となっています。供給不安のため金貨の販売も8%の減少となっています。

新規の金への投資需要の総重量が減少しているのに対し、評価額上は需要のレベルは維持しています。また、昨年宝飾品向け需要は回復の徴候が見受けられます。

この需要の回復は緩やかですが、中国のような一部の地域においては、数年にわたって需要は増加しています。中国の需要は、総重量においては6%増加し、その評価額においては19%増加しています。しかしながら、大部分の市場は、このように順調ではありません。宝飾品市場の年間総重量の需要は、20%減少し、評価額では10%減少しています。電子機器用の需要のみが、2009年4半期に前年度比で増加しています。

ワールドゴールドカウンシルは、景気の後退は電子機器用の在庫を減少させるため、良いことであろうと述べています。それに代わり、2009年のセミコンダクター販売の多少の上向きは、2008年第四半期と比べ、即座に25%の需要増加として現れました。歯科医療用のように、金の使用が一つの選択肢である場合は、高い価格が継続してその需要を抑えています。歯科医療用需要は、前年度比5%減少しており、他の工業用需要は13%減少しています。

ワールドゴールドカウンシルによると、2009年の金の供給量は前年度比11%増加しています。それは、第一四半期にリサイクルされた金が市場に持ち込まれたことによる、一時的増加のためです。

ワールドカウンシルは、昨年一年間を通して、リサイクルされた金の供給量は、過去の記録をはるかに上回ったことをレポートしています。

金の換金サービスを行う、新会社が多く設立したことから、2009年の供給量は過去最高を記録しました。しかしながら、世界各国の中央銀行が、引き続き世界の金地金の主の購入元です。

金鉱からの供給量は、オーストラリアなどの主要金産出国が、10-11%産出量を2010年に増加することを予定していることからも、今年も引き続き増加すると予測されます。これにより、価格は影響されるでしょうか。全ては、その残高に依存します。現段階では、需要に十分にこたえられる供給量があります。しかし、この供給量の柔軟性の多くは、価格に影響を受けやすいスクラップの量からきています。オーストラリア農業資源経済局(ABARE)は、2010年金価格は、供給過剰からトロイオンスあたり900ドルに下落する前に、トロイオンスあたりの平均値は、1,080ドルであろうと予測しています。またそれに対し、HSBCは、今後5年間に5,000ドルまで上げるだろうと予測しています。

それでは、どちらの予測が正しいのでしょうか。需要と供給を見る限りでは、市場はそれぞれの四半期にすべて供給過剰となることが予測されます。

この事実を考慮すると、昨年3月から200ドル値を上げたという事実は、非常に興味深いものがあります。しかし、供給を超える実際の需要が発生しない限りは、5,000ドルどころか、1,500ドルを信じることは難しいと考えます。

金の投資について?

Hardassetsinvestor.comは、自然資源への投資に関するリサーチを中心としたウェブサイトです。これは、Van Eck Associates Corporationによって運営され、サイトは、3つの主となる分野である商品市場、商品先物市場及び金で構成され、この市場に興味を持つ、個人また機関投資家のための関連情報を提供しています。

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