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日本経済:その見通しと問題点-低成長下、東日本大震災を超えて(その1)

専修大学経済学部教授で、金融政策の専門家である田中隆之経済学博士が、日本経済の見通しと問題点について、東日本大震災の影響と、経済低成長の背景を説明し、解説しています。このレポートは、4回にわたりお届けいたします。

日本経済:その見通しと問題点-低成長下、東日本大震災を超えて

1. 2012年度日本経済見通し-短期的な動き

(1)東日本大震災は経済成長にどう影響したのか

①2009年3月から第15景気循環の拡張局面

②東日本大震災による拡張局面の中断

  • 生産設備損壊、サプライチェーン寸断による供給途絶→個人消費、純輸出の減

~阪神淡路大震災とのコントラスト鮮明

  • 自粛による個人消費減

③ただし、景気は腰折れせず

④震災による落ち込みから急速に回復

  • サプライチェーンの復旧、電力のデマンド・マネジメント
  • 2011年7~9月期は前期比年率7.6%の高成長

⑤その後、踊り場を経て回復継続

  • 10~12月期は0.1%、12年1~3は4.4%
  • 鉱工業生産は8月以降回復が緩やか

⑥デフレ気味の展開続く

  • 消費者物価指数(除く生鮮食品)3月は前年同月比0.3%~日銀の「目途」(1.0%)に達せず

図表1 バブル崩壊後の景気状況

図表2 鉱工業生産指数の推移

図表3 実質GDP水準の推移

図表4 東日本大震災と阪神・淡路大震災の比較

 

(2)日本経済見通しとその考え方

①2012年度、成長続くが夏場にかけて景気停滞のリスク

  • 引き続き公共投資と個人消費(自動車販売)の増加が景気押し上げるが、夏場に弱まる可能性
  • 海外景気の回復で輸出が持ち直すが、タイミングの後ずれや、欧州情勢がリスク要因

②13年度は、勢い鈍化するが成長続く

  • 復興需要がピークアウトして公共投資減少
  • 民需は底堅さを維持
  • 外需も、輸出持ち直しの勢い増加(欧州情勢は外需のリスク要因)

図表5 シンクタンク各社の2012年度経済見通し

図表6 シンクタンク各社の2013年度経済見通し

図表6 シンクタンク各社の2013年度経済見通し

図表7 IMFの世界経済見通し(2012.4)(1)

図表8 IMFの世界経済見通し(2011.1)(2)

 

この続きは、「日本経済:その見通しと問題点-低成長下、東日本大震災を超えて(その2)」をご覧ください。

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1957年長野県生まれ。1981年東京大学経済学部卒業、日本長期信用銀行入行。産業調査部、調査部ニューヨーク駐在、市場企画部調査役、長銀総合研究所経済調査部主任研究員、長銀証券投資戦略室長チーフエコノミストなどを経て、現在専修大学経済学部教授、博士(経済学)。専門は財政金融政策、日本経済論。著書に、『「失われた十五年」と金融政策』(日本経済新聞出版社、2008年)、『金融危機にどう立ち向かうか』(ちくま新書、2009年)などがある。

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