ゴールド・マーケットの「現物市場」の現状
貴金属ディーリングの世界でも第一人者である、スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」でゴールドマーケットの現状を語っています。
今週は、歴史的高値をまたも更新したゴールド・マーケットの「現物市場」の現状をレポートします。現在のマーケットにおいて、実需の動きは相場の底値と高値を形成する大きな要因となっています。ヘッジファンドのようにマーケット大きく一方に動かすというものではありませんが、相場の両端で確実にそれ以上の動きを抑える働きをしています。
その視点からも実需の動きをつかむことは非常に大切なことです。しかしこれを具体的につかむ方法は実際にそのビジネスをやっていないとわかりません。そういう意味でこの指数は投資家にとっても大変有意義なものだと思います。これからは定期的に更新していきたいと思います。
「Standard Bank Gold Physical Flow Index updates 15 June 2010」
これはStandard Bankがその世界中の支店での現物のゴールドの動きを指数化したものです。0以上は、顧客の金買いを表し、0以下は顧客の金売りを表します。つまり世界の実需の動きをまとめたものです。ほかのところにはない非常にユニークで貴重なものだと思います。手前味噌ながら。
Graph 1: Daily Standard Bank Physical Gold Flow Index**
Graph 2: Weekly average of Standard Bank Physical Gold Flow Index (annual comparison)*
・上昇する金相場に対して、実需からは売りが出て頭を抑える形になっている。(5月の上旬からの動き、チャート上の赤い矢印)
・しかしながら実需の買いのレベルも上がってきていて、現在では1210ドル近辺まできている。またスクラップの売りも1220ドル以下では見られなくなり、これは強材料。現時点(6月半ば)での実需の動きでは1210-1250ドルレンジといえる。
・過去の動きを考えるとスクラップの売りのレベルは相場の上昇とともに上がってきている。2009年2月は900ドル、2009年9月では1000ドル、 2010年4月では1000ドルだったのが、現在は1240-50ドルレベルまで上がってきている。
・背景には強い投資需要が存在する。ETFの金の保有残高は2000トンにまで増加。5月初旬から200トンも増えている。
・ゴールド価格は2010年下半期は1300ドルに向かっている。現物マーケットは宝飾需要の季節性により、上値への抵抗感は低い。特に第四四半期はそれが強いと思われる。宝飾需要が一番盛り上がるのが第四四半期であるから。
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