BREXIT後に金投資需要が2012年の高水準へと上昇
4年ぶりの記録的な高水準でブリオンボールトの顧客は先月8月に500キロ近い金を購入、保管しました。
ブリオンボールトの個人投資家による金投資需要は、8月に2012年後半以来の高いものとなりました。そのため、BREXIT(英国のEU離脱を決めた国民投票)後のショックによる金価格の上げを戻す中で、ブリオンボールトの顧客の金保有総量は500キロ近く増加することとなりました。ここで、リサーチ主任のエィドリアン・アッシュが解説しています。
顧客が購入し保管した金総量は、8月に470キロとなり、ほぼこの全てがブリオンボールトの保管場所の中でもスイスのチューリッヒに保管されています。(ブリオンボールトでは、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロントでも金を保管することができます。)これにより、個人投資家がブリオンボールトで保管する金総量は35.7トンへと増加することとなりました。
この金保管量の評価額は約15億ドル(約1550億円相当)で、この量は、多くの中央銀行の金準備量や、世界で84の金の上場投資信託(ETF)のトップ12を除く72の金ETFの残高を上回ります。
過去に金の需要がこのように高まったのは、2012年夏に高値をつけた後に金価格が急落した時でした。しかし、2016年8月はドル建て金価格が4ヶ月継続して上昇している時であり、このようなパターンは世界金融危機後に金価格がピークを記録した2011年夏からは見られていません。
2016年8月の平均ドル建て金価格は0.3%上昇していますが、4月以来の低い上げ幅となりました。そのため、金保管量を増加させた個人投資家数は6%減少しましたが、金を売却した個人投資家が49%減と大幅に減少したことで、ネットの購入・保管量を押し上げることとなりました。
そのため、ブリオンボールト金投資家インデックスは、2013年4月以来の3年ぶりの高水準の56.0へと上昇し、7月の53.4も上回りました。
金投資家インデックスは個人投資家の金現物投資傾向を表します。これは、24時間運営されているブリオンボールト社の市場でユーザーによって売買された取引データから産出されたいます。この指標は、その月の金のネット購入者数とネット売却者数のバランスを表し、この数値が50の場合は、その月のネット購入者数とネット売却者数が完璧に一致したことを意味します。
金投資家インデックスは、2011年7月に71.7と最高値、そして2014年から2015年の冬には50.5という最低値を記録しています。これらの数値は、実際に取引されたデータを基に算出されているために、投資家へのアンケート等を基に出されている、投資をする意図を表すデータとは異なります。
銀の需要の高さも8月に続く中、BREXIT後に銀価格が付けた2年ぶりの高値から8月の月間平均が1.5%下げる中、銀の売却量も大幅に下げ、月間のネット購入者数は7月から6%下落しているものの、売却者数は前月比47%減と大きく下げることとなりました。
そのため銀投資家インデックスは、8月に57.3と、前月の53.0を大きく上回ることとなりました。これは、2013年4月の銀価格急落時に需要が急増して以来の高い数値となります。
これにより、顧客が保有する銀の保管量は、重量にして1.8%増で11トン増の614トンと、評価額3億7000万ドル(約380億円)と過去最高の水準となっています。