金市場ニュース

2016年末の金相場のまとめ

2016年の取引も本日で終わります。ロンドン昼過ぎまでの年末の市場価格を利用して、年末の市場についてまとめてみましょう。ブリオンボールト・リサーチ主任エィドリアン・アッシュが解説しています。

世界最大のロンドンの金現物市場は2016年を本日金曜日にトロイオンスあたり1159.10ドルで終えました。これは、前年末比9.1%上回るものとなります。

銀市場は金曜日の正午のLBMA銀価格ではトロイオンスあたり16.24ドルと昨年までの3年連続の前年終値ベースの下落に終りを告げ、17.5%上昇と、2010年の80%上昇に次ぐ強いものとなりました。

米国ドルは、主要通貨国通貨(ユーロ、円、ポンドなど)に対する米国ドルの総合的な価値を指数化したドルインデックスにおいて、為替市場において4年連続の年間の上昇となっており、2002年のピークに近づいています。

米国株式は、年間10%の上昇に向かっており、S&P500指数は、12月半ばの史上最高値に近い価格で取引を始めています。

そのために、先の金価格の年間上昇率は、2005年から2011年まで米国株式を上回った後に、5年連続で米国株式を下回ることとなります。

しかし、今年の金地金現物の年間上昇率は、2011年の11.7%以来の高さとなりました。そして、1992年までの5年間の下落率以来の最悪の5年の下落に終わりを告げるものともなりました。

米国債10年物の利回りは、ほぼ動きがなく2.47%を保っています。

これは、2015年末の2.27%を僅かに上回っています。しかし、今年英国のEU離脱ニュースが金融市場へショックウェーブを引き起こした7月の記録的な低さの長期金利の1.37%より上昇しています。

また、本日発表の最新のデータによると、ロンドン貴金属市場協会の清算を執り行うメンバー間の取引量は、11月までの12ヶ月間で6兆2000億ドルと、2015年の同数値比16.4%増と、この記録が残る1996年以来の高さとなっています。

市場アナリストは、実際のロンドン市場の金取引量は、先の数値の3倍から5倍と推測しています。また、ロンドン貴金属市場協会のメンバーへ行った2011年春のアンケートによると、実際には先の数値の10倍ほどの規模とも考えられています。

これまでは、ロンドン貴金属市場協会のメンバーによる実際の取引量はLBMAから発表される数値から推測する以外に方法はありませんでしたが、今後はこれらの数値を含むレポートが2017年から必須となることが今年発表されていることからも、明らかになっていうことでしょう。

金の世界最大の消費国の中国の上海黄金交易所(SGE)における取引規模が今週から制限されることが発表されています。

中国人民元は、2016年末に2007年以来の低さで終えています。しかし、上海交易所における1キロバーの金価格は、ロンドン価格を23ドル上回るプレミアをつけており、これは、年間の平均的プレミアムの10倍となっています。これは、中国政府による新たな金輸入規制の影響とも考えられています。

世界最大の金消費国であった、昨年2位のインドにおける、インド政府が11月初旬に突然導入した、ブラックマネーや脱税対策のための高額紙幣(500と1000ルピー)を廃止する規制では、これらの紙幣を銀行へ入預金できる期限は今年末でした。

今回の規制で廃止された 総額2300億ドル(約26兆5000億円相当)は、市場に流通する紙幣の80%を超えています。このうちの90%は、現段階までに銀行に預金されたとのことです。

その結果、インド国内では現金が不足しており、本日のEconomic Timesによると、「農家や小規模な商店や低所得層の日々の生活を困難なものとしている」とレポートしています。この規制は、当初は金の需要を急増させましたが、その後は業界の販売量は急減し、インドの消費者が国外で利用するドバイの金業界へも悪影響が出ていることをインドの国内ディーラーがコメントしています。

インド政府は、20%の紙幣が違法に保有されていると推測しており、この紙幣は銀行に預金されることなく利用できなくなるであろうと考えられています。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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