2013年の暴落に次ぐ急落をした金相場によって金投資センチメントは上昇
9月に金相場が下げる中、欧米の個人投資家の金投資のセンチメントを示す指標は、過去7ヶ月で最も高い水準となりました。
静かであった夏を終え、金相場は2013年の暴落以来の下げを見せました。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが、9月のブリオンボールトの市場の動きを解説しています。
欧米の個人投資家においては、購入者数が売却者数を上回り、金投資家インデックスは過去7ヶ月で最も高い水準となるなど、去年の相場暴落時と同様に反応しました。
金投資家インデックスは、24時間運営されているオンライン金・銀現物取引市場を提供するブリオンボールトにおける実際の取引データを基にまとめられています。そのため、これは今後の投資計画をアンケートした結果を基にまとめられた指標などとは全く異なります。
この指標は、ブリオンボールトで金を保有する全ての顧客のうち、その月に金を積みました顧客数と減少させた顧客数をのバランスを算出し、これらの数値が完璧に一致した際に50となるように調整されたものです。
先のチャートでも分かるように、購入者数と売却者数のバランスを示すこの指標は、2013年の金相場暴落時に急激に上昇しました。そして、先月も同様に上昇しています。しかし、このような金融システム上のリスクをヘッジするための保険として、金を低価格で購入する傾向はこれからも継続して増加していく中、アジアの宝飾品を購入する消費者、もしくは欧米の個人投資家による低価格を狙った金購入のみでは、金相場は必ずしも押し上げられることはありません。
9月は、特にドル建て金相場が上昇しました。通常9月は1968年以来、年間で最も良い収益率を上げる月です。しかし、金相場は、先月トロイオンスあたり1216ドルと、5.8%下げています。これは、2013年6月以来の急激な下げです。
昨年は、過去3年間で最も低い水準の1180ドルまで下げ、14.5%を失うこととなりました。これは、四半期としては25%減となります。しかし、2013年春の金相場の暴落は、個人投資家の金購入熱を呼び覚ましたのでした。ただし、新たな金購入者の購入量は、既存の金保有者の売却量よりも少ない傾向ではありました。
2014年9月は、ポンドとユーロ建て金相場は、それぞれの通貨が対ドル下げたことからも、その下げ幅は限られたものとなりました。それは、第3四半期末に、それぞれ750ポンド、964ユーロで終え、前月比それぞれ3.7%と1.7%減となったことからも明らかです。しかし、この下げに対する欧米の個人投資家の反応は、ドル建て同様に、バーゲンハンティング的購入が進むものでした。
重量においては、2013年春とは異なり、ブリオンボールトの顧客保有の金地金の量は33.2トンと0.3%増となり、過去最高を記録しました。これは、資産運用管理者などとは異なる動きとなりました。Markit調査会社によると、金の上場投資信託は、月間の残高減少が今年最大となるなど、評価額16億7千万ドルほど減らしています。また、コメックスの先物オプションの投機家取引においては、ロングポジションは50%減と、今年最低の水準まで下がっています。
現段階までは、金相場は資産運用管理者の金資産の配分減少やショートポジション増加などによって動かされています。
しかし、個人投資家は、価格が下げた際に購入を続けています。それは、個人投資家は、短期の利益を追うのではなく、彼ら自身の資金とリスクを管理しているからなのです。