150億ドルの偽装金取引が伝えられる中、中国の金輸入量が減少
銅を担保とした不正ファイナンスと同様な不正が金取引においても行われていることが伝えられている。
金の中国への輸入が5月に前年比半減し、「金属取引ファイナンス」のスキャンダルが銅の取引から貴金属へと広がる中、今後も更に減少する可能性があるとアナリストが述べている。
香港から中国への金の輸入は、先月ネットで52トンとなったことが今週木曜日に明らかとなった。
これは、2013年1月以来の低水準となり、中国の金の輸入量は前月比20%減で、3ヶ月連続で減少することとなった。
この間、中国の審計署(会計検査院に相当)は、青島に保管されている銅が複数の融資担保として使われたように、2012年以来偽装された金取引が944億元(約1兆5400億円)相当の融資の担保となっていることが判明したとする報告書をウェブサイトで公表した。
世界第7位の取引規模を持つ港の青島で継続した調査が行われているように、現在「金属の所有者を特定しようとしている」と仏ブリオンバンクのNatixisは述べ、「中国の銅の輸入は大幅に減少している」と特筆している。
「このパターンは金においても繰り返される可能性がある。それは、投資家が状況が明らかになるまで新たなファイナンス取引を控える可能性があるためだ。」と続けている。
キャピタル・フューチャーズ(北京)のシニアアナリスト、リュウ・シュー氏は「銀行が金を担保とする融資を控えれば、中国の輸入が短期的に減少するとともに、返済を目指す企業による金の売りが加速する可能性がある」との見方を示したと、ブルームバーグが伝えている。
この審計署の報告書では、中国の金加工会社25社がこれらの融資から得た利益は総額9億元を超えるとのこと。
業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の推計によると、中国で融資とリース契約に利用された可能性のある金は最大1000トンに上る可能性があるものの、投資ではなく投機的に利用された割合は少ないと見ている。
2014年は、中国への金の輸入は「ほぼ横這い状況」と、スタンダードバンクのコモディティ部門は述べ、「価格が下げない限り、アジア、特に中国から需要は増加することはないだろう。」と続けている。
ロイターは上海のトレーダーの「(ファインス取引の)金取引が解消され始めた場合、急激な減少にはならないとしても、輸入を減少させる可能性はある」というコメントを取り上げている。