金市場ニュース

銀の値決め(ロンドン・フィキシング)が8月14日に終了

ロンドンで行われている銀の値決め(フィキシング)が、今年8月14日に終了することが5月14日に明らかとなった。

銀の値決め(フィキシング)をとり行うロンドン・シルバー・フィキシング・リミテッドは、117年にわたり続いていた、銀の世界基準価格を今年8月14日に終了することを昨日発表した。

銀の値決め(フィキシング)は、銀現物市場の日々の基準価格で、フィキシングメンバーのドイツ銀行、HSBC、ノーヴァ・スコシア銀行が電話会議で決定し、日々12時に発表される。この電話会議では、それぞれのメンバーが、顧客とその銀行自身の売買注文をすりあわせ、売買の数量が見合う価格で「固定(Fixed)」と宣言する。

この価格は、週末や英国の祝日を除き日々公表されるために、産出会社や工業用としての大規模な取引においては、この価格が使用されることが多い。しかし、現物(スポット)は、24時間取引がされていることから、価格のボラティリティーを利用した取引を好むトレーダーもいる。

ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)スキャンダルをきっかけに、金融市場の世界指標が規制当局によってその公正さを調べられており、金と銀の値決め(フィキシング)についても調査が進められていた。

ドイツ銀行は、コモディティ事業の縮小に伴い、金と銀のフィキシングメンバーを辞退することを4月に発表した。これにより、銀のフィキシングメンバーは、HSBCとノーヴァ・スコシア銀行となり、2行では機能を果たさないということから、英金融監督当局(FCA)が、ドイツ銀行に撤退を予定していた4月29日を先延ばし、8月14日までこのメンバーとして値決めを行うことを依頼し、残りのメンバーもこの日を最後に撤退することとなった。

ちなみに、ドイツ銀行は当初フィキシングメンバーのポジションを売却することを試みたが、合意に至らなかったことが伝えられている。

ファイナンシャル・タイムズによると、米国ではこの不正操作に絡んだ少なくとも20件の集団訴訟が起きているとのこと。なお、銀先物市場の銀行による不正疑惑は、米国商品先物取引委員会による5年間の厳密な調査を経て、その不正の証拠が見つからないと、昨年結論づいている。

ロンドン貴金属協会(LBMA)は、既にコンサルテーションを開始し、銀のフィキシングが終了する8月14日までに、今後利用できる何らかの銀の値決めメカニズムの最善の方法が確立されることを目指すという声明を昨日出している。

銀のフィキシングが終了となると、金を含む他のフィキシングへも注目が集まることとなる。金のフィキシングは、ドイツ銀行を除く4行(ノーヴァ・スコシア銀行、バークレイズ、HSBC、ソシエテ・ジェネラル)で継続して行われる。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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