金購入傾向は5年ぶりの長期間のものとなる
個人投資家の金投資へのセンチメントは、過去5年間で最も高かった1月から、2月に下落していました。しかし、購入総量から売却総量を差し引いたネットの金需要総量は引続き増量し、2012年以来の長期間のネット金需要総量の増量となっていました。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが解説をしています。
金価格は、インフレ上昇懸念からも、2月末までにドル建てベースで2017年初めから8.3%上昇していました。
そのため、ブリオンボールトにおける金購入者数は、2月に前月から20%下げ、過去1年で最も低い水準となり、金価格が上昇する中利益確定も進み、金売却者数は33%増加していました。
このようなことから、個人投資家の金投資傾向を示す金投資家インデックスは、2月に51.8と前月の54.3から下げ、英国のEU離脱(BREXIT)を決めた国民投票の結果で、金相場が2年ぶりに上昇したことで売却が進んだ2016年7月以来の低いものとなっていました。
金投資家インデックスが50の場合は、その月に金の購入が売却を上回った顧客数と売却が上回った顧客数が完璧に一致したことを意味します。この数値は、昨年11月にドナルド・トランプ氏が米国大統領に選出された際に59.3と5年ぶりの高い水準となっていました。
銀価格は2月に金を上回る年初来12.6%の上昇となり、やはり短期での利益を狙うトレーダー等によって利益確定の売却が進んでいました。
そのために、銀投資家インデックスは2月に49.0と前月の50.3から更に下げ、BREXITのショックによって銀価格が過去2年間の最高値を付けたことで売却が進んだ、昨年6月の48.6に次ぐ低い数値となっていました。
しかしながら、2月末にブリオンボールトの顧客は、金保有量を1キロ増加させ、その金保有総量は37.7トンと史上最高となっていました。
これにより、7ヶ月連続で保管量が増加したことになり、これは2012年半ば以来の最長の期間でもあります。
そして、ブリオンボールトの顧客の銀保有量もまた2月に8.5トン増量し、13ヶ月連続で保管量が増加し、総保管量は過去最高の659トンとなっていました。
これは、2016年3月以来、ブリオンボールトの顧客は111トンの銀を購入し保管したこととなり、これは2012年8月までの12ヶ月間以来の最大の保管量の伸びでもあります。
2月の価格の急騰は、短期の利益を狙うトレーダーに利益確定の機会を与えましたが、2017年の安定した貴金属投資からのリターンは今後も続くと予想しています。
金と銀の価格は、3月に共に下落しています。これは、ポートフォリオの多様化でリスク分散を望む長期保有の投資家へ、より低い価格で貴金属を買うことができる、買い機会を提供していることとなります。