金相場の下げが個人の金投資を急増させる
2015年に第3四半期に、全世界の金貨や金地金などの金投資が需要が増加し、リサイクルは下げ、ETFの残高は減少した。
過去5年間で最も低い水準へと金価格が下げる中、個人投資家による金投資需要が急増したことが、ワールド・ゴールド・カウンシルが本日発表した金の需給の最新レポートで明らかとなった。
2015年第3四半期の全世界の金の需要は、金投資需要に牽引され、重量においては前年同四半期比8%増の1121トンとなった。しかし、評価額においては、5四半期連続で価格が下げる中、前年同四半期比6%減となっている。ちなみに、このように長い期間金価格が下がるのは、1996年から97年以来。
金投資分野の需要は、前年同四半期比、重量で27%増、評価額(ドル建て)で11%増となっている。
この需要は、金地金の需要が20%増の199トン、記録的な販売量が伝えられている米イーグルや豪フィルハーモニーなどの金貨需要が111%増の76トンと牽引している。
米イーグル金貨の需要の推移(金融危機以来の高さを記録)
しかし、金に裏付けされた上場投信(ETF)は、66トン残高を減らし、過去11四半期で10回減少を続けている。
金ETFは2015年第1四半期に25トンを増加させたものの、2013年初頭から四半期毎にその残高は減少を続け、総残高を1120トン減らしている。これは、世界の金産出量の3分の1と同量となる。
小規模な金地金と金貨の需要は、米国では四半期においては2010年以来の最高の水準で、前年同四半期比207%増の32.7トン、欧州においては、35%増の60.9トン、中国の需要は、70%増の52.3トン、インドの需要は6%増の57トンとなっている。
また、日本が小規模な金地金と金貨の需要において、第3四半期の価格の下げによって、2014年第1四半期以来初めて購入量が売却量を上回り、10.8トンとなったことも明らかとなった。
宝飾品においては、インドの需要が前年同四半期比15%増で211.1トン、中国は4%増の187.6トン、世界全体の需要は6%増の631.9トンとなった。
中央銀行は、19四半期継続して金購入を続けており、今四半期では175トンで、史上最高となった2014年第3四半期とほぼ同水準となった。
しかし、LED照明などで利用される、工業向け金の需要は、代替製品への移行が進むと共に、金を利用した工業製品の販売量も減少し、第3四半期4%減少した。
それに対し供給サイドにおいては、金産出量は3%増の848トンとなり、過去5年間の平均産出量を14%上回ることとなった。
また、リサイクル量は、6%減少し252トンと、2008年第2四半期以来の低い水準となった。これは、7月の価格の下げで、価格に敏感な消費者、特に北米消費者が金の売却を控えたことから。
インドルピー建て金価格の上昇は、インドにおける金のリサイクル量を「多少」増加させた。また、かつて世界第4位の金消費国で、今四半期にタイとドイツにその地位を奪われたトルコにおいては、トルコリラ安が進み、トルコリラ建て金価格は上昇したものの、将来の上昇を見込んで売却が控えられたことからも、リサイクル量は増加することはなかった。